わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

ネーとネー

2014年03月20日 | できごと

私のあるクラスにNさんという大学生が入ってきました。
大学で日本語を勉強しているということです。
ですから、そこそこ話せるのですが、『ない形』を言うとき、「ねい」と発音するのです。
私が「ない」と直しても「ねい、ねい」と言います。
クラスの他の学生たちはちゃんと「ない」と言っていますから、ベトナム人が「ない」と言えないというわけではないのです。
私はふと、あることに気づきました。そこで、Nさんに「ない」と言って、リピートさせました。
N:ねい
私:先生はナイ、Nさんはネイ。じゃ、Nさん、なー。
N:ねー
私:なー  N:ねー
私:ねー  N:ねー
ここで、クラスの他の学生に聞きました。
「Nさんの『な』と『ね』は、ちがっていますか」
みんながこたえました。
「ちがっています」
そうです、Nさんは日本人にはわかりませんが、ちゃんと『な』と『ね』を違えて発音していたのです。
ベトナム人にはそれが明瞭に聞き取れるため、いままでだれにも注意されてこなかったのです。
日本人と話すときにはこれでは困りますから、はっきりと『あ』を発声するように直しました。
でも、微妙な発音の違いを聞き分ける耳を持った彼らがちょっとうらやましくなりました。

(2006/10/20起稿)



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