わたしは六百山

サイゴンでの365日を書き直す 

18万ドンのサンダル ベトナム便り 50

2006年04月12日 | できごと
こちらk-603.
ちいさな出来事がありました。
ベトナムではよほどの場でない限り、足元はサンダルでOKです。これは、独立の父ホーチミンが、いつもサンダル姿で民衆の前に立ったことと関係があると聞いたことがあります。
私も、ホーチミン主席にならって、授業はサンダル履きです。
このサンダル、こちらに来たときスーパーで買いました。75,000ドンでした。とにかく毎日、これをはいているので、かかとに回す帯などは、とっくに切れて、自分で針と糸で縫い合わせて使っていました。
でも、もう限界です。そこで昨日、靴屋に行って新しいサンダルを探し始めました。
ところが、高い。ちょっと気に入ったのだと、400,000ドンとか、高いのは650,000ドン とか言ってきます。
何軒か回った時、にせADIDASですが、まあまあのデザインのものが、200,000ドンでありましたので、交渉して180,000ドンで買いました。
ところが、これが、3時間ほど授業の時に履いただけで、靴底と、甲の部分がはがれてしまったのです。中国製の粗悪品でした。縫い合わせてあると見せかけて、ただ接着してあっただけなのです。
18万ドン といえば、昼飯20回分です。
「ああ、やられた!」

でも、このときの私の反応が自分でもおもしろかったのです。
ベトナムに来た当初は、切手代を、2,000ドンごまかされただけで腹が立って、『ベトナム人は最低だ』などと思ったものですが、今回180,000ドンも損をしたのに、『あっ、失敗した』と、思っただけなのです。
安物買いの銭失いか・・・と、自省して、『あした、国営スーパーで定価表示のあるサンダルを買いなおそう』と思いました。
腹が立たないのです。
『日本なら、とりかえに行くんだけど』と思いながら、ごくふつうに、その粗悪サンダルをゴミ箱へ捨ててしまいました。
決して私が太っ腹になったわけではありません。
ベトナムの空気に溶け始めているのでしょうか・・・?


翌朝(今朝ですが)企業研修の学生が7:30に登校してきてて、自習を始めます。
私は、この自習の時間を使って、すこし彼らにディベートをやらせてみようかと思っていましたから、教室に顔をだして、ラジオ と テレビ のいいところ と悪いところ というテーマで、学生を2つのグループに分けて、日本語で討論させました。(これは、けっこうおもしろかったです)
そして、さいごに、サンダルをみせました。(ゴミ箱から出してきてありました)
すると、学生の反応は「それは、だめです。どこですか、店ですか、かえることができます、かえてくれます」というのです。

そうかなあ、と学生の意見に押されるようにして、昨日の店に行ってみました。
ずるがしこそうな、おにいちゃんがいます。(きのうは おじちゃんだったはずだが・・・)きのういた おばちゃんもいます。
『だめだろうなあ』と思いながら、はがれてしまったサンダルを、おばちゃんに見せました。すると、
「うひゃあ」という声をあげて、ベトナム語で何やら言っています。
お兄ちゃんが 椅子をだしてくれて、ここへすわれ と仕草します。
私が、かえてくれ と英語で言うと、意外や意外、お兄ちゃんはOKと言って、店の他の品を指差すのです。

つまり、ベトナムにも商道徳というものがちゃんと存在していたというわけです。

新しいしっかりしたものと交換できました。
ただし、値引きの20,000ドンは、しっかり取られてしまいました。
ベトナム商人は、したたかです。でも、正直さも持っているようです。

まあ、18万ドンで、頭に来なくなったわたしも、したたかなアホですが・・・。


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