◇juri+cari◇

ネットで調べて、近所の本屋さんで買おう!!

マイケル・シェイボン『ユダヤ警官同盟』

2009-04-28 22:08:38 | 読書
ピュリッツァー賞を授賞した著者による本作は、

第二次世界大戦中に、アメリカがユダヤ人を受け入れ

アラスカにユダヤ人居住区が誕生した―という架空の世界を舞台にした作品。


居住区の返還が間近に迫り

続々とユダヤ人が立ち退くシトカ特別区。

そこにある安ホテルの一室で、頭を撃たれ死んでいた若者が発見された。

彼の死の真相を追究する刑事は

やがてユダヤ人社会とアメリカのの闇

全世界を巻き込む大きな陰謀を知ることになる―


デビュー作の以来、架空の設定を構築することに定評のある著者が

満を持して著したミステリー。



単なる謎解きミステリーの範疇にとどまらず

SF、政治サスペンス、ヒューマン・ドラマ、思想書、

―と、あらゆるジャンルを包括した壮大かつ荘厳な物語。

そのうえ、読者を退屈させないエンターテイメント性すら備えています。


設定がわかりにくいことに加え

人物名の覚えにくさ、遅々として進まない捜査など

物語に没頭するには時間がかかるかもしれません。


しかし一度、物語の世界へと迷い込んでしまうと


暗鬱なアラスカの空、吹きすさぶ北風、立ち並ぶ廃墟―

自分もその中にいるように感じ、

時を経つことすら忘れてしまいます。


気軽には読みにくいので、

通勤中などに読むのには不向きかもしれませんが、

じっくりと腰をすえて読むには、この上なく最適な本作。

ゴールデン・ウィークのおともとして、強くおススメします☆

最新の画像もっと見る