本書は、大学講師であり
怪談専門誌『幽』を中心に活躍する著者による初の短編集。
町会館の片隅で、ふと目にした『今昔奇怪録』
どうやら、町で起きた不思議な事件を記録した本らしいが
軽い気持ちで読み始めた若夫婦の周りでは、
次第に不思議な出来事が起こりはじめる(表題作『今昔奇怪録』)
圧倒的な取組み成績で人気を博したが
熱狂的なファンによって殺された伝説の力士
彼の死をモチーフにしたアトラクションを舞台にした『釈迦狂い』
愛娘を次々に疱瘡で失った豪商。
彼の悲しみに追い討ちをかけるかのように、娘の墓が荒される。
遺体の頭だけが持ち去られ、巨大な墓石すら動かす凶行を
人々は、死者の屍肉をむさぼる疱瘡婆の仕業と噂するのだが・・(『疱瘡婆』)
実話系、時代物、サイエンス系・・・と
まったくタイプは異なるものの、
巧みな構成と繊細な人間観察に裏打ちされた珠玉の5編を収めます。
どの作品も、類書にはない魅力を放ちますが、
個人的にとりわけ印象深いのは
被験者、観察者、干渉者、体験者という
何らかの実験を行っている4人の独白で描かれる『狂覚(ポンドゥス・アニマエ)』
次第に明らかになる実験の目的もさることながら、
じわじわと迫りくる恐怖の正体にとても驚き
読後しばらくの間、冷や汗が引きませんでした。
怪談の定石を踏まえつつも
独創的な設定・展開を惜しげなく披露する本短編集
怖さはあるものの、過剰な暴力や残虐さとは無縁ですので
怪談・ホラーファンに限らず
一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。
怪談専門誌『幽』を中心に活躍する著者による初の短編集。
町会館の片隅で、ふと目にした『今昔奇怪録』
どうやら、町で起きた不思議な事件を記録した本らしいが
軽い気持ちで読み始めた若夫婦の周りでは、
次第に不思議な出来事が起こりはじめる(表題作『今昔奇怪録』)
圧倒的な取組み成績で人気を博したが
熱狂的なファンによって殺された伝説の力士
彼の死をモチーフにしたアトラクションを舞台にした『釈迦狂い』
愛娘を次々に疱瘡で失った豪商。
彼の悲しみに追い討ちをかけるかのように、娘の墓が荒される。
遺体の頭だけが持ち去られ、巨大な墓石すら動かす凶行を
人々は、死者の屍肉をむさぼる疱瘡婆の仕業と噂するのだが・・(『疱瘡婆』)
実話系、時代物、サイエンス系・・・と
まったくタイプは異なるものの、
巧みな構成と繊細な人間観察に裏打ちされた珠玉の5編を収めます。
どの作品も、類書にはない魅力を放ちますが、
個人的にとりわけ印象深いのは
被験者、観察者、干渉者、体験者という
何らかの実験を行っている4人の独白で描かれる『狂覚(ポンドゥス・アニマエ)』
次第に明らかになる実験の目的もさることながら、
じわじわと迫りくる恐怖の正体にとても驚き
読後しばらくの間、冷や汗が引きませんでした。
怪談の定石を踏まえつつも
独創的な設定・展開を惜しげなく披露する本短編集
怖さはあるものの、過剰な暴力や残虐さとは無縁ですので
怪談・ホラーファンに限らず
一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。