本書は、聖学院大学教授であり
児童文学や劇評なども手がける著者による
女子中学生を主人公にした長編小説。
吹奏楽部に所属する主人公が
不思議な転校生と出会い
クラスや学校の中でさまざまな経験をし、
成長する様子を描きます。
信じていた人物からの裏切り
仲良くしていたはずの同級生が向ける悪意
そして、今まで気づかなかった自分の一面
楽しいはずの学園祭が近づくにつれ、
主人公はどんどんと内にこもってしまうのですが・・・
ときには、絶望やにがい経験をしながらも
周囲の人と触れ合い、助け合うことことを通じて、
自分自身を知り、自分の居場所を見つけて行く様子は、
とてもたくましく感じられました。
また、個人的に印象深かったのは、
本作のクライマックスである吹奏楽部の演奏の場面。
どんな音楽かもわからず描写も短めなのに、
まるで、目の前で演奏が行われているような感覚になります。
同じく現代の中学生を描いてながらも、
「ケータイ小説」等とは正反対の
どこまでもさわやかなストーリーが印象的な本作。
中高生向けの作品というだけで敬遠することなく
多くの方に読んでいただきたい著作です。
<感想文について>
今回の課題図書の中で、感想文を一番書きやすい本だと思います
学校や部活での出来事など、身近な体験と比べて、
どういうところが自分と同じか、どういうところが自分とは違うか―
そうした点に注意して読めば、
どんな風に感想文を書けばいいのかもイメージしやすいように思います。
部活に熱中している方などには特におススメです。
<これから書き始める方へ>
感想文をこれから書き始めようとする方には、
直接原稿用紙に書き始めるのではなく、
まずはパソコン等で下書きをすることをおススメします。
パソコンで描くと、全体の構成をねりやすく、書き直しも簡単なことに加え
多くの人が頭を悩ませる文字数の調整も楽になりますよ。
<あらすじのまとめ方>
本全体や、ある場面のあらすじをどう書くか?
―について、感想文を書く上で頭を悩ませる方が、多くいます。
あらすじの一番簡単な形は、「誰が」、「どうした」様子を描いた作品―というもの。
この本では、「二人の少女が」「成長する」様子を描いた作品―といった感じになります。
そして、これに「どんな人が」、「どんな風に」、「どうして」などの要素を付け加えると
「吹奏楽部の果南と転校生の透子が」、「時には反発しあいながらも、徐々に心を通い合わせ」、「成長していく」様子を描いた作品。
となりますし、より細かく出来事を見ていくと、より長く詳細なあらすじになります。
個別の場面でも、たとえば透子を果南がぶった場面では
「果南が」、「透子をぶった」というのが一番簡単な形ですが、
「果南は」、「透子を吹奏楽部に誘うが」、「嘲るような態度に怒りを抑えられず」、「ついに透子をぶってしまった」
―という感じに書くことができます☆
<とにかく終わらせたい、どう書いていいのかさっぱり・・・という方へ>
どういう構成で書けばいいのか見当がつかない
とにかく早く終わらしたい!!―という方には、
①本を選んだ理由→②読んでいて面白かったところ
→③深く考えたところ→④この本を読んで学んだ点
という構成をおススメします。
①本を読んだ理由は、
部活をやっている主人公が身近に感じたから
―でも、学校生活でいろいろと悩む点に共感したから
などでもいいし、
タイトルが気になった
チラッと読んだときに、気になるセリフがあったから
というものもよいと思います。
②読んでいて面白かった―というのは、
本の内容が、自分の経験と重なるところがあった
音楽のシーンに迫力があった
シーナが人間的な魅力に溢れていた
などということです。
この物語のどういうとことが自分を夢中にさせたのか
それをセリフや描写を引用したり、
自分の感想と比較するなどして書くとよいと思います。
③の、深く考えたところ―では
自分の体験とひときわ強く重なるところ、
どうしてこういうセリフになったのか
この人はどうしてこんなことをしたのか
―など、自分が気になったところをあげ、それについて考えてみます。
登場人物の性格や本文には書かれていないことを、
物語の内容から推測してみたり
自分と登場人物はどういうところが同じで、どう違うのか?
などをたっぷりと考え、自分なりの答えを出してみるのもよいでしょう。
全体のバランスではここをたっぷり書くのがよいと思います。
④の学んだことは
たとえば
自分の中のこれまで気づかなかったところに気づいたときどうするか?
人と協力することの大切さ
など、この本を読んで、自分は何を学んだのか
あるいは、どういうことを強く思ったのか。
そして、それをこれからの生活にどう活用するかを書きます。
他にも、読むきっかけと学んだことを結びつける
あるいは、読む前は疑問だったことが解決した―という終わらせ方もよいと思います。
なんにせよ、単におもしろかった、感動した
というだけではなく、
なにが?、どうして?、どういう風に?
を丁寧に、読む人が読みやすいように書けば、
きっとすばらしい感想文になると思います☆
<書き出しが思いつかないとき>
書き出しに関しては、多くの方が悩むようです。
私としては、ある程度下書きをすれば
書きたいことも整理され、
書き出しで、あまり悩まずにすむと思うのですが・・・
どうしても、時間がない!!という場合は
なぜ、この本を読もうと思ったのか?
について書くといいでしょう
たとえば、
主人公が中学生だから共感しやすいだろうと思った
自分も同じ吹奏楽部に入っているから、
とか、
タイトルが気になった
という書き方があります。
また、
偶然開いたページに書いてあった「・・・・・・・・・」
という言葉に強く心引かれた
などというのもよいと思います。
<どうしても書くことがない!!!>
5枚書けるだろうと思って書いていったら
ページ数が足りない!!
1ページ以上残ってしまった場合は、
最後の手段、物語のその後を考えてみましょう。
透子がドイツへ行ってしまった後、
果南はどんな学校生活を送っているのか?
これを考えると、ページ数を埋めることができるのはもちろんですが
くだらない嫉妬や優等生意識をどう乗り越えたのか
周囲との接し方はどう変わったのか・・など、
果南がどのように成長したのかを、見つめなおすことができます。
なので、ページが余った方に限らず
この点はけっこうおススメです
<透子について>
読書感想文では、個人的な経験とどう結びつけるか
何を学んだか―ということが重要になりますが
「読書」感想文である以上、本をキチンと読み解くことも不可欠で、
キチンと本を読めている感想文は、高い評価を受けます。
そして、この本は、主人公である果南の視点から語られているので
果南の心情の変化はつぶさに語られますが、
もうひとり、大きく成長を遂げた透子の内面については
ほとんど語られません。
それだけに、透子の内面をしっかりと読み解くことができれば
とても優れた「読み」であり、感想文としての評価も高くなると思います。
<タイトルについて>
タイトルに注目し、その意味を考えてみるのも感想文を書く上で大切なことです。
この作品の『8分音符のプレリュード』というタイトルについては
4分音符を一拍とするのが一般的ですから
8分音符はその半分、つまり8分音符が2つで1拍になります。
また、プレリュードは前奏曲
つまり、メインの演奏が始まる前に演奏される楽曲です。
あるいは、始まりの曲と言い換えることもできます。
この2つが合わさった『8分音符のプレリュード』が
どういう意味かは・・・・
<シーナについて>
この物語は、果南と透この関係を中心に進行しますが
シーナもまた、重要な登場人物です。
ですから、シーナについて一切描かないという書き方もありますが
その一方で、シーナの視点や行動に注目した書き方もできます。
個人的には、異性のとても親しい友人がいる方には、シーナに注目した書き方もおススメしたいです。
<コメントについて>
もしかしたら、おちからになれるかもしれないので、
疑問などありましたら、いつでもコメントに書いてください。
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