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菅原正子さん『占いと中世人』

2011-03-12 20:22:34 | 読書
本書は中世における占いについて論じた著作です

幕府や朝廷での占いや、

安倍氏や賀茂氏など占いを行った陰陽師たち、

さらに、政治的に重要だった星占いを紹介したうえで、


戦国期へと移行する中で、占いの位置付けがどのように変容したかを論じます


山本勘助や島津家の占い


名門・土御門家が辿った数奇な運命

そして、多人数で占うため、『外れ』のリスクを軽減できた陰陽師

など興味深い記述ばかりでしたが、

とりわけ印象的だったのは、足利学校と易の密接な関係です

占いを通じて、中世全体を俯瞰する本書

中世史や占いに関心がある方に限らず、多くの方にオススメしたい著作です。

『たぶらかし』

2011-03-10 21:24:50 | 読書
本書は、著者による風変わりなサスペンス。


経営者としてのイメージ作りに執心する母親から依頼され、その代役を勤める主人公のもとへ、不思議な若者が弟子入りしたことから、事態は思わぬ方向へと向かいます。


役者同士の壮絶な化かし合い


代役をたてる母への子の複雑な想い

そして、本当の人格を見せない奇妙な弟子


どの場面も印象的でしたが、とりわけ心に残ったのは、

ある役者が見せた見事な引き際です。


軽妙な語り口や次々と様相を変えるストーリーに、夢中になること間違いなしの本書

著者やミステリーのファンに限らず、多くの方にオススメしたい著作です。