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木内昇さん『漂砂のうたう』

2011-01-18 11:18:19 | 読書
本書は、『茗荷谷の猫』などで知られる著者による長編時代小説


芸娼妓解放令が出された後の根津遊郭を舞台に、

かつては武士だった立番と、

楼主、遣手、妓夫太郎、花魁ら

彼を取り巻く人々を趣のある文章で描きます。


主人公に近付く怪しげな噺家

没落の憂さを一夜の享楽で晴らす士族たち

そして、厳格だった父や兄への追想

どの場面も哀惜に溢れ印象的でしたが、

とりわけ印象的だったのは、

圧巻ともいうべき気高い花魁道中です。


鉄道が走り、士族が各地で叛乱をおこす―

一見、激しく移り変わるかに見える世で、

変わることも、変わりようもなく生きる人々を情感豊かに描いた本作



著者の作品や時代小説が好きな方に限らず、

多くの方にオススメしたい著作です。

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