黒幕~及川ミッチーさん
平清盛~坂口憲二さん
本書は、松下政経塾出身で、
町おこしやスポーツ解説など幅広い活躍をしてきた著者が、
自身も関わった日米の交流野球を描いたドキュメントです。
筆者は、太平洋戦争で戦った日米の元兵士たちが、
ハワイで交流野球を行うまでの経緯だけではなく
参加する選手たちの戦争体験や、交流試合に向けた想いも描きます。
召集令状が来たことを告げる球場アナウンス
元米兵の言葉への違和感とアリゾナ記念館で受けた衝撃
そして、交流試合を成功に導いた不思議な縁―
などどの記述もとても印象深いのですが
とりわけ印象深かったのは、交流試合後の夕食会のエピソードです。
一人の人物が下した決断が、多くの人々の未来を切り開き、
それがさらに多くの未来へと繋がる
その様子に、思わず目頭が熱くなりました
それぞれに抑えがたい想いを抱きながらも、
スポーツを通じて、未来に向けた関係を築く姿を
温かく、つまびらかに描いた本書
中高生に限らず、一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。
<感想文について>
戦争と平和
スポーツを通じた和解、
過去のつらい記憶や、抑えられない想いとどう向かうのか?
この本は、非常に多くのテーマを含んでいます。
そのため、この本を読めば何かは感じるでしょう。
そういう意味では、感想文を書きやすいのかもしれません。
しかし、内容をまとまったものにし、人が読めるレベルにするには
時間がかかりますし、相当な苦労が必要です
もちろん、そうやって書いた感想文は、間違いなく、すばらしいものになります。
ですから、7月中に本を読み終え、
一月かけてじっくりと文章を練りたいという方には強くおススメしますが
早く終えたいという方には、他の2冊を強くおススメします☆
本書は、児童文学者である著者による、
心温まる青春小説。
千波は瀬戸内海にある因島で暮らす女子中学生。
因島出身のロックバンド・ポルノグラフィティの大ファンで、
メンバーの母親の顔を見るため、クラスメートと実家に行き
ピンポンダッシュまでしている。
そんな彼女の悩みの種は、里子として家に来た大地。
いつも自由ほん放に遊ぶ大地にも、
そんな大地を甘やかす母にもイライラは募るばかりだ。
将来への希望と自分のしたいことが見つからない不安。
大地や大地を迎えた母への複雑な気持ち
そして、ある日起きる大事件とその傷跡―
どの場面も印象的でしたが、とりわけ印象的だったのは
千波が大地の寝顔を見ながら、
いとしいと悲しいは同じことなのかもしれない―と思う場面です。
時に迷い、揺れ動きながらも、
心優しい周囲や大好きな音楽に助けられ、
一歩一歩前に進む様子をさわやかに描いた本書。
中高生に限らず、多くの方にオススメしたい著作です。
<感想文について>
この本は、ポルノ・グラフィティや音楽が好きな人であれば、
間違いなくおススメの本です。
ぜひ、ご自分の経験や音楽に対する想いと比較しながら書いてみてください。
また、そうでない方にとっても、主人公は現代の中学生なので、
とても読みやすい作品であるように思います。
感想文を書く際にも、主人公はこうだったけど、
自分だったらこうした、あるいは、自分はこうしなかっただろうと
想像を巡らせやすいでしょうし、
また、兄弟や姉妹に対して複雑な気持ちを抱いた
友人と誤解が原因でけんかをしてしまった・・・・・など、
身近にある話題が多いので、自分の経験と比べてみるのもいいかと思います。
詳しい書き方については、このブログの感想文の書き方という記事に書きましたが
何かあればいつでもコメント欄に書いてくださいね
<くまさんの詩について>
本作で、ポルノ・グラフィティの曲と同じくらい重要な意味を持つのが
大地が朗読する『くまさんの詩』です。
この詩を読む大地の姿に、母と千波それぞれがなにを感じたのか
それを丁寧に読み取ると、感想文の内容もグッと深くなると思います。
本書は、児童向けの歴史物語を数多く手掛けた著者による、
児童向けの長編小説です。
舞台は18世紀のアメリカ
12歳の少年マットは、家族が越して来るまでの7週間、
誰もいない新しい居住区で一人過ごすことになる。
最初は意気揚々としたマットだったが
しかし、大切な銃や小麦粉を盗まれ、落ち込んでしまう。
そんなある日、マットはあるできごとをきっかけに、
近くに住む先住民たちと知り合うのだが……
風習も考え方も違う先住民への驚きや困惑
先住民の少年エイティアンから聞く神話
そして、先住民たちを追い出した白人に対する複雑な気持ち
どの場面も印象的でしたが、なかでも一番印象的だったのは、
マットが最後に下す重大な決断です。
本を閉じてから、あの先マットとエイティアンはどんな風に生きたのか、色々と想像してしまいました
見渡す限りの大自然の中、他者との出会いを通じ、
少年が人間的に成長する姿を丁寧に描いた本書
中高生に限らず、一人でも多くの方にオススメしたい著作です。
<感想文について>
個人的には、この本はとても感想文が書きやすいと思います。
もし自分がマットのような状況におかれたらどうしよう・・?
自分ならエイティアンたちについて行っただろうか?
などと「もし自分だったら?」という観点から考えることができます。
また、マットはその後どんな人間になっただろうか?
自分はマットにどんな人間になってほしいだろうか?
などと「物語のその後」を考えることもできます。
さらに、マットとエイティアンの考え方が違ったように、
自分も友人と意見が食い違ったことはないか?
その時、自分はどうしたか?
なぜ、マットと自分の対応は違ったのだろうか?
など、「似たような自分の経験」と結びつけて書くことも可能です。
何か疑問などがあれば、あればコメント欄に気軽に書き込んでくださいね
感想文を書く作業は、本を読む前から始まっています
たしかに、
本を読み、何かを感じ、それを感想文に書く
―というのが、感想文の正しい書き方であることは間違いありません。
しかし、読んでもいまいちよくわからなかった
とくに何も感じなかった・・・ということはよくあることです。
しかも、感想文を書かなくてはいけないタイムリミットは決まっています。
そこで、前もってどんなことを書くか?を決めることで
本を効率よく読み、それによって余った時間を、
感想文の内容についてより深く考えたり、
いっそう読みやすい文章にする工夫へと回すことができるのです。
では、具体的にどのようなことを前もって決めるのか?
私がおススメするのは
①感想文とは何を書くものか?を知ったうえで
②感想文をどのような順序・構成で書くかを決めることです
こうすることで、何となく読むよりも本の内容が頭に入りやすくなり
好きなセリフを見つけたり、登場人物の細かい気持ちの変化にも気づきやすくなるのです。
なお、①②についての具体的な私の考えは、
すでにこのブログに書いてますので、そちらをご覧ください。
感想文って何から書いていいの?
私が、この季節に毎年聞かれる質問です。
そういう時に私が、おススメするのは
なぜその本を選んだのか?―から、書きはじめ
と続ける書き方です。
たとえば、
「主人公が自分と同じ中学生だから」
「自分も音楽に興味があるから」
という風にすると、
自分にも同じような経験があり、同じように感じた
同じような経験があるけど、考えたことは違う
などと続けることで
②どういうとこが心に残ったか
③一番印象的なのはどこか?それはなぜか?
という後の文章にもつなげやすくなります。
また、「なんとなく手にした」というきっかけでも、
「読み始めてみると夢中になって読んだ」
などと書くことで
②どういうとこが心に残ったか
③一番印象的なのはどこか?それはなぜか?
に続けることができるのです。
そして、②③を書いたうえで最後に
④この本を読んで、自分の何が変わったか?
を書くと、時系列に従った内容になるので、
読む前後の変化がわかりやすく、また全体として流れのある文章にできます。
さらに、こういうことを書くと前もって考えておくことで、
本を読むときに、ポイントを押さえたムダのない読み方が可能になるのです。
もちろん、最初から一番気になったことについて書き始め
最後までその話題で通すという書き方もあります。
ただ、2000字はなかなかの量ですし
全ての人がどうしても書きたいことを持っているわけでもありません。
そこで、あくまでも感想文全体の構想を作りやすい書き方として
以上の書き方をおススメしているのです。
長々と書いてしまいましたが、
この文章が何かのお役に立てれば、とても嬉しいです☆
感想文の書き方を紹介する本や論文は数多くありますが、
それらに共通する点をあげれば、
読書感想文を書く時に大切なのはたった3つのこと。
この3つを意識するだけで、感想文は書きやすく
また、出来上がった感想文もグッと良いものができると思います。
① 感想文とは『その本を読んだという体験の感想』を書くもの。
まず、何より重要なことは、読書感想文は「本そのものの感想」や書評とは別物。
本を読み、自分の体験と本の内容を比べ、何かを学ぶ―
こうした体験の感想を書くものだということです。
② その本の内容と自分の経験の関係
①でも書いたように、読書感想文では、自分の経験と比べることが重要になります。
ですから、
登場人物と似たような経験はないか、そのとき自分はどうしたか?
登場人物とどういうところが同じで、どこが違うか?
などを考えることはとても大切です。
たとえば、
この本を読んでいて自分は・・・というところが心に残った。
なぜなら自分も似たような体験があるからだ
そのとき自分は・・・としたけど、主人公は・・・
なぜこうした違いがあったのだろうか
―と、自分の体験と本の内容を比べながら本を読み、
それを文章に書くことで、感想文は説得力のあるものになります。
③ その本を読んだことによる考え方の変化
これも①で書いたことですが、読書という体験を通じて、
自分がどのように成長・変化したかを書くことも欠かせません。
②からの続きでいうと、たとえば
主人公と自分は・・・というところが違っていた。
主人公はなぜこうした行動をとることができたのだろうか。
それは・・・だからだろう。
自分はこうしたところを見習おうと思った。
―こうした文章を感想文の終わりに持ってくると
全体がまとまった印象になります。
他にも、感想文を書くためのポイントには、このようなこともあります。
④ 「感動した」、「おもしろかった」はできるだけ使わない
もし使うとしても、どういうところが?、どうして?を具体的に書いた方がいいでしょう。
⑤ 心に残った表現・フレーズを使ってみる
読んでいて心に残ったセリフや文章は、感想文に引用すると、感想文の印象が良くなります。
他にも、いろいろな書き方やコツはあるので、これが一番いい!!とはいえませんが
何かの参考になればとてもうれしいです☆
「人の印象は、話の内容ではなく、話し方で決まる」
ということが言われますが、私はそれは文章も同じだと思います。
感想文の場合、先生や審査員は
最低でも1クラス分の(似たような内容の)感想文を読むことになります。
ですから、読みやすく書くだけで、印象は格段によくなるのです。
では、読みやすい文章とはどのような文章でしょうか。
文章を読みやすくするには、色々なポイント・工夫がありますが、
① 字を丁寧に書く
② 文章にリズムがある
③ バランスの良い構成
という3点を備えれば、十分に読みやすくなると考えます。
以下では、この3点について詳しくみてみます。
① 字を丁寧に書く
これは、言い換えると、
読む人のことを考えて書く、ということです。
殴り書き、薄い字、小さい字、誤字などは絶対にいけません。
一画一画をキチンと「止め」、大きく、濃く書くよう心がけて下さい。
そうすれば、たとえ上手な字でなくても、良い印象を与えるはずです。
② リズムの良い文章
リズムの悪い文章は、読む側にとって大きな苦痛になります。
そして、リズムの良し悪しを見分けるには、声に出して読むのが一番です。
スラスラと読めれば問題なし、違和感があれば修正が必要と考えて間違いありません。
ぜひ、何度も声に出して読んでみてください。
③ バランスの良い構成
これは、自分が書きたいことを重点的に、
しかも、流れよく書くということです。
構成の一例として、私は感想文について
①なぜその本を選んだのか
②どういうとこが心に残ったか
③一番印象的なのはどこか?それはなぜか?
④この本を読んで、自分の何が変わったか?
の順で、とくに③④を多めに書くことをオススメしてます。
こうすることで、本を読む前後の変化を流れに沿って書けるうえ、
何を言いたいのかもわかりやすいからです。
もちろん、構成はこれに限られませんから、
ご自分が書きたい内容にピッタリの構成を探してみて下さい。
以上の3点を意識するだけで、感想文はさらによくなりますし
ここで紹介したことは、感想文以外の文章にも応用できると思います
長々と書いてしまいましたが、この文章がなにかのお役に立てればとても嬉しいです。