◇juri+cari◇

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大社充さん『奇跡のプレイボール』

2010-08-30 23:56:39 | 感想文2010

本書は、松下政経塾出身で、

町おこしやスポーツ解説など幅広い活躍をしてきた著者が、

自身も関わった日米の交流野球を描いたドキュメントです。


筆者は、太平洋戦争で戦った日米の元兵士たちが、

ハワイで交流野球を行うまでの経緯だけではなく

参加する選手たちの戦争体験や、交流試合に向けた想いも描きます。


召集令状が来たことを告げる球場アナウンス

元米兵の言葉への違和感とアリゾナ記念館で受けた衝撃

そして、交流試合を成功に導いた不思議な縁―

などどの記述もとても印象深いのですが


とりわけ印象深かったのは、交流試合後の夕食会のエピソードです。

一人の人物が下した決断が、多くの人々の未来を切り開き、

それがさらに多くの未来へと繋がる

その様子に、思わず目頭が熱くなりました


それぞれに抑えがたい想いを抱きながらも、

スポーツを通じて、未来に向けた関係を築く姿を

温かく、つまびらかに描いた本書


中高生に限らず、一人でも多くの方に読んでいただきたい著作です。

 

<感想文について>

戦争と平和

スポーツを通じた和解、

過去のつらい記憶や、抑えられない想いとどう向かうのか?

この本は、非常に多くのテーマを含んでいます。

そのため、この本を読めば何かは感じるでしょう。

そういう意味では、感想文を書きやすいのかもしれません。

しかし、内容をまとまったものにし、人が読めるレベルにするには

時間がかかりますし、相当な苦労が必要です

もちろん、そうやって書いた感想文は、間違いなく、すばらしいものになります。

ですから、7月中に本を読み終え、

一月かけてじっくりと文章を練りたいという方には強くおススメしますが

早く終えたいという方には、他の2冊を強くおススメします☆

 


八束澄子さん『明日につづくリズム』

2010-08-30 13:28:36 | 感想文2010

本書は、児童文学者である著者による、

心温まる青春小説。


千波は瀬戸内海にある因島で暮らす女子中学生。

因島出身のロックバンド・ポルノグラフィティの大ファンで、

メンバーの母親の顔を見るため、クラスメートと実家に行き

ピンポンダッシュまでしている。


そんな彼女の悩みの種は、里子として家に来た大地。

いつも自由ほん放に遊ぶ大地にも、

そんな大地を甘やかす母にもイライラは募るばかりだ。


将来への希望と自分のしたいことが見つからない不安。

大地や大地を迎えた母への複雑な気持ち

そして、ある日起きる大事件とその傷跡―


どの場面も印象的でしたが、とりわけ印象的だったのは

千波が大地の寝顔を見ながら、

いとしいと悲しいは同じことなのかもしれない―と思う場面です。


時に迷い、揺れ動きながらも、

心優しい周囲や大好きな音楽に助けられ、

一歩一歩前に進む様子をさわやかに描いた本書。


中高生に限らず、多くの方にオススメしたい著作です。
       

<感想文について>

この本は、ポルノ・グラフィティ音楽が好きな人であれば、

間違いなくおススメの本です。

ぜひ、ご自分の経験や音楽に対する想いと比較しながら書いてみてください。

また、そうでない方にとっても、主人公は現代の中学生なので、

とても読みやすい作品であるように思います。

感想文を書く際にも、主人公はこうだったけど、

自分だったらこうした、あるいは、自分はこうしなかっただろうと

想像を巡らせやすいでしょうし、

また、兄弟や姉妹に対して複雑な気持ちを抱いた

友人と誤解が原因でけんかをしてしまった・・・・・など、

身近にある話題が多いので、自分の経験と比べてみるのもいいかと思います。

詳しい書き方については、このブログの感想文の書き方という記事に書きましたが

何かあればいつでもコメント欄に書いてくださいね

 

<くまさんの詩について>

本作で、ポルノ・グラフィティの曲と同じくらい重要な意味を持つのが

大地が朗読する『くまさんの詩』です。

この詩を読む大地の姿に、母と千波それぞれがなにを感じたのか

それを丁寧に読み取ると、感想文の内容もグッと深くなると思います。