◇juri+cari◇

ネットで調べて、近所の本屋さんで買おう!!

柿崎明二さん『「次の首相」はこうして決まる』

2009-02-28 23:19:04 | 読書
本書は共同通信社に勤める著者が、

自民党の派閥政治の終焉と、自民党政治そのものの変容を論じる著作です。


【構成】

1,2章ではそれぞれ雪崩を打つように大勢が決した

2006年、2007年の自民党総裁選挙について概観。

3章では、80年代にピークを迎えて自民党の派閥政治が

90年代以降、どの様に変化したのかを論じる。

4章では、小選挙区制導入以降に国会議員となった人々の動向を見ながら

近年の総裁選挙の特徴を指摘。

5章では、世論調査重視による弊害を述べた上で、

6章では、こうした現状で政党や国会議員がとるべき姿勢について論じる。


【主張】

かつては派閥の論理で決められた自民党総裁も

小選挙区制度下では、選挙での「集票力」が重視されるようになり、

現在では、世論調査の結果が総裁選に大きな影響を与える。

これには評価できる点もあるが、その一方で政権運営能力の欠如や

政治が世論調査に振り回されることになりかねない。

こうした小選挙区制度の下で、与党であろうとするのであれば

不透明な妥協や調和に頼るのではなく、

世論を尊重しながら、公約を実行し続けるしかない。


【感想】

菅(義偉)さんが好きなんだぁ~という感想は誰もが抱くでしょうが

それはさておき



詳細な議論や分析を示すのではなく

新聞の記事を詳しくしたような内容なので

予備知識なしに、気軽にサラッと読むことができますが、

政治記者として、政治家に身近で接した経験と

分析に対する真摯な姿勢が垣間見え

政界ウラ話的な、軽薄さは感じられません。



また、世論調査を国会議員が重視するようになったことを

透明性の観点からは評価しつつも

代議制をとっていること(←厳密には、議員が「委任的代表」ではないこと)

の観点から危惧を呈する点には

視野の広さをを感じ、好感を持ちました。



ただ、総裁選には国会議員だけでなく、

地方党員の票が重要な役割を果たしていること

そして、2001年以降、地方票も「雪崩」を起こしていることなどを考えると

小選挙区制度の導入とそれによる派閥の影響力の低下だけで

世論調査が総裁選の結果に影響を与えることを説明しきれるのか

疑問が残りました。



なお、筆者は


80年代以降は(中略)「純血自民」が総裁候補の条件となっていた。

それどころか、所属派閥の一貫性さえ重視されていた。


―と述べているのですが、このきっ術は

河野洋平さん(一時離党後、総裁に出馬。二期総裁を務める)

石原慎太郎さん(一時離党後に、総裁選に出馬)

などを看過した誤解であるように思います。

土屋公二『テオブロマ土屋公二の板チョコで作るチョコレートお菓子』

2009-02-25 01:14:23 | 読書
バレンタインはとっくに終了し

もらったり、渡しそびれたチョコレートも

だいたい食べ終りました・・・が!!


最後にいつも残るのがタブレット

いわゆる板チョコです


いま私の手元には

プラリュやベルナシオン、それにテオブロマなどの

タブレットがあるのですが

そのまま食べる気はなし


せっかくだから、より美味しく食べようと

購入したのが本書


著者はテオブロマのショコラティエ・土屋公二さん

日本のチョコレート界の第一人者です。


本書では


フォンダンショコラや、生チョコもち

クレープ・ショコラやチョコプリンなど


板チョコを使う、家庭でも簡単に作ることができるお菓子が

25種類紹介されています。



全編カラーで見やすく

特に難しい工程のあるお菓子はないので

気軽に作って楽しむことができます


個人的に気になったのが

チョコレートを使ったオムレツ


卵に、砂糖に、生クリーム

それにチョコレート


一つ食べるだけで、立派なコレステ仮面になりそう!!


また、いが栗ショコラは

揚げたそうめんで飾り付けるというアイディアが

いろんなことに応用できそうだなぁと思いました☆



今のところ試したのは

生チョコもち(←もちろんテオブロマ使用)

チョココロッケ(←こちらはベルナシオン使用)

フォンダン・ショコラなど数種類のみ

ですが、


どれも美味しくできたので


ぜひ、他のレシピにも挑戦してみたいです☆


なお、本書ではロッテのガーナチョコを使用していますが


ぜひ、テオブロマなど有名なショコラティエのチョコレートを

使ってみてください☆


とくにテオブロマのキャレデギュスタシオンや

プラリュのピラミッドなどはいろんなタイプを

ちょっとずつ一度に味わえるので

生チョコもちにピッタリです☆

U2『No Line on the Horizon』

2009-02-25 00:33:14 | 音楽
日本人カメラマン杉本博司さんが撮影した

水平線の写真をジャケットに使用した

U2の待望の最新アルバム『No Line on the Horizon』


今回は、プロデューサーとしてブライアン・イーノと

を迎え入れ、これまでのアルバムとは一味違う

奥行き感じさせる内容になっています


力強い『No Line on the Horizon』

そして、ダンサブルな『Magnificent』で始まる本アルバム


ノミネートもされてないのに

グラミー賞のオープニングで披露した『Get on Your Boots』で

エモーションは最高潮に達したのち、次第に転調


レコーディングの最中に滞在した

モロッコにインスパイアされたと思しき

エスニックなイントロが印象的な『Fez Being Born』


落ち着いたメロディで

しっとりと聞かせる『White as Snow』は

童謡を思わせる、どこか懐かしい雰囲気


そして、ラストを締めくくる『Cedars of Lebanon』は

陰影にとんだ内省的な楽曲


Child drinking dirty water from the river bank


Soldier brings oranges he got out from a tank

―と悲しい情景が描かれるが

Return the call to home

という美しいハーモニーに救われる



強靭さと繊細さ、アグレッシブとメランコリック

都会とエスニック、未来と郷愁


相反する部分が止揚され、一体感が醸成されています


年齢を重ねるとともに、いっそうの洗練と

新たな挑戦を続けるU2―


ついつい社会的な活動のほうに目を向けがちですが

音楽でも、まったく目を話せない存在であると再認識させられる本アルバム


ぜひ多くの人に聞いていただきたいなぁと思います☆☆


なお、ガーディアン誌とのインタビューによれば

本作のためにレコーディングされた楽曲のうち

収録されたなかった楽曲を収めたアルバムが今年中に発表する予定

―とのこと

そちらも楽しみです☆

『平成二十一年度 大相撲力士名鑑』

2009-02-25 00:16:00 | 読書
お相撲への関心は、人並み程度なのですが

ついなんとなく買った本


各部屋ごとに所属する力士、親方、行司、呼出、床山の名前や

簡単なプロフィール


それに、十両以上の力士が化粧まわしをつけた写真や

昨年の各場所の結果などが掲載されています。



はじめのうち、目に入るのは

テレビでよく見る力士や親方ですが



しかししばらくすると

気になり始めるのが


名前や顔を知らない若い行事や呼び出し、そして床山


10代の半ばで肉体的にも、精神的にも重圧の多いと思われる角界

―しかも、その裏方になることを決意し

日々努力をしている人たち



あるいは、長年裏方として

自らの職責を果たしてきた方々


こうした人々のことを思うと

目頭が熱くなります



そしてそれだけに、

この本にも

立派な化粧回しをつけた写真が、掲載されているにもかかわらず

くだらない理由で相撲界を去る人がいることが

本当に悲しく感じました


その一方で、笑いどころもちゃんとあって

中でも一番笑ったのが琴光喜関の写真


獅子が宝刀をくわえた立派な化粧回し

獅子の絵の下には


燦然と輝く


デヴィ・スカルノ


の刺繍


・・・・へぇ~~



ちょっとでもお相撲がある方には

まさに必携といえる本書


この本があれば、

今年一年間のお相撲を、いっそう楽しむことができますよ☆

飯山雅史さん『アメリカの宗教右派』

2009-02-23 02:06:39 | 読書
アメリカの現代政治について、日本語の著作を読むというのは

強い抵抗感があるのですが、


本書は読売新聞者に勤める筆者が

アメリカのキリスト教系団体について

その教義や歴史的沿革、政治的立場や活動態様などを

とてもコンパクトにまとめた著作です。


【構成】


1章から7章では、年代を追いつつ

ヨーロッパで迫害された清教徒らが中心となった合衆国憲法制定()

20世紀前半に起きた、プロテスタントの分裂


中絶容認、同性婚の禁止、公共の場での祈りの禁止など

「行き過ぎたリベラル」の風潮に疎外感を抱いた人々による

宗教右派運動とその政治的敗退


90年代以降のキリスト教連合の興隆と

ギングリッジによる保守革命の挫折


そしてJ・W・ブッシュ政権の誕生と

再選を目的とした福音派の再編成


―とアメリカにおける宗教右派の歴史的沿革を解説


これをふまえて、

8章では、データーに依拠しつつ宗教団体の政治傾向を分析し

9章では、衰退が始まった―とも評される今日の宗教右派の動向を見る。


【本書の主張】

宗教右派運動は、本来信心深いアメリカの人々が

リベラルな風潮の中で抱いた疎外感が原動力となって展開した。

今日において、その影響力の低下も指摘されるが、

世論調査では依然として、公の場での祈りの禁止に反対を示す人も多い。

政教分離を前提としつつも、

国家と宗教はどの程度、分離するべきなのか

その答えは、宗教右派の人々も加わった民主的な議論の中で、

見出すべきである。



【感想】


とっつきにくい印象のある

アメリカ政治と宗教の関係について、

歴史的経緯も踏まえつつも

コンパクトで平易な文章で書かれており

日々のニュースをより深く理解したり

また、ある程度専門的な著作を読む前提として

うってつけの内容であると感じました。



一方、疑問に感じたのは、たとえば、


著者は、宗教右派運動(あるいは保守層)の増加について

いくつかの見解を紹介したうえで


恐らく、これらの見解が(←宗教右派運動とは「行き過ぎたリベラル」への不満、ポピュリズムの反乱)

最も実態を反映しているのだと思う。


と続けるのですが、

根拠を示さずに「思う」というのではなく

なぜ、そう「考える」のか根拠を示してほしかったなと思います。



なお、本書が依拠するPew Forumでは

2008年の大統領選挙について

宗派ごとの投票傾向やそれについての詳細な分析も載せています


本書を読み、アメリカの政治と宗教の関係について

興味を持った方はそちらもあわせてご覧になることをおススメします☆

グナル・ハインゾーン『自爆する若者たち』

2009-02-22 01:03:03 | 読書
メソポタミア文明からアウシュビッツまで


広範囲に渡る、大量の著作がある社会学者グナル・ハインゾーンの代表作

『自爆する若者たち』(Soehne und Weltmacht)


20世紀後半のジェノサイドや紛争を、

「ユース・バルジ」という概念を用いて、説明する独創的な著作です。


【構成】


1章ではユース・バルジ概念の説明と、

現代においてその重要性が増していることを説明


2章では現在の若者について概観した上で、

紛争や虐殺との間に相関関係があることを説明。


3章では、西欧諸国が世界を席巻したこともユースバルジによって説明できると主張

4章では、ユースバルジと所有権概念を用いることによって

西欧諸国が植民地を多数保有する大国となったことを解説。

5・6章では、今日の社会が直面するテロと移民問題について、

ユースバルジの観点から検討を加える


【筆者の主張】

ユース・バルジとは15歳から24歳の人口が全体の30%以上に達している状態である。

この現象は、若者が希望するポストを得ることができないことと結びつくことで

社会の不安定化や内戦、虐殺へ繋がる危険性を持つ。

現に、20世紀後半においては

ユース・バルジと紛争・内戦の間に相関関係を見出すことができる。


また、現在では先進国では若者の人口・割合が減る一方で

中東やアフリカではユース・バルジは増加しているし、

移民の増加によって、欧州では都市の内部でユース・バルジが生じる可能性もある。



【感想】

アサド大統領を独裁者呼ばわりしたり

一言、二言多いのが玉にキズですが

どの方向にも、舌鋒鋭いので不快な印象はなく、

議論そのものは、とても興味深く読みました。


特に、口調の強さにもかかわらず

「ユース・バルジ」と紛争との間にあるのは相関性であると強調したり

紛争や虐殺を長期化させるのはユース・バルジだけではない

とするなど、安易に答えに飛びつかない点には、強い好感を持ちます。



ただ、人口の増加については検討している一方

ユース・バルジにとって決定的な要素であると強調する

「名声や影響力のあるポスト」の数やその内容について

あまり言及がなかった点は、

せっかくの議論が中途半端に終わってしまったという印象を受けます。



また、個別の紛争について詳細な検討はしていないので

どのような状況でユース・バルジが虐殺や紛争に繋がったのか

そもそも、因果関係は認められるのか

という実質的な検討は

今後、各読者が個別の紛争について論文を読むにあたって、

していくしかない・・・んですかね



あくまで一つの視座を提案―という本作

視座を増やしたい方におススメです☆


なお、原著はどういうわけかWEB上で無料で読めます

占有と所有権の話などは、ドイツ語で読んだほうがわかりやすいので

そちらも併せて読むことをおススメします☆

内藤淳さん『進化倫理学入門 「利己的」なのが結局、正しい』

2009-02-20 23:56:22 | 読書
「進化倫理学」とは聴きなじまない言葉ですが

生物進化の観点から倫理を研究する学問のこと


本書は、一橋大学研究員で進化倫理学を研究する著者が

まだ一般には知られていない最新の学問について

平易な文章で解説した著作です。


【構成】

1章では進化倫理学の見地から、進化と利己主義、人間の行動基準の関係を解説

これを踏まえて、

2章以下では友情や愛情に基づく利他的な行為や道徳、人権といった価値も、

「利己主義」の観点から説明できることを解説する。


【筆者の主張】


「進化」とは、「自分の遺伝子」を残す上で「有益」な性質が受け継がれることでおきる。

、生物の一生とは、「進化」のために必要な生存・繁殖を行うためのものである。

このように考えれば、生物(人間も含む)が「自分の遺伝子」を残すために「有益」な行動をとるのは当然である。

そして、人間は快・不快を基準に行動するが、これは遺伝子を残すという目的と合致している。

愛情や友情による利他的な行為や、道徳、人権といった価値・概念も

こうした観点から説明のつくものである。


【感想】

①各章の冒頭で問いを出し、それについて考える材料を本文で示す、

②各章の末で、短くその内容をまとめる

という構成は、抽象的な内容の本書を理解しやすいようにしていたと考えます。


また、他の研究者の言葉を引用したり、紹介するのではなく

あくまで自分の言葉で、進化倫理学という学問を説明する点には

強い好感を持ちます。



一方、本書を読んでいてずっと疑問だったことが2つあります。


1つは、


本書のように、「遺伝子を残す」ことを重視する立場をとった場合に


同性愛や、中絶、信仰のための殉教、あるいは戦場で死ぬこと


―などに意義を見出すことができるのか?ということ



もう1つが、



道徳や人権といった価値は、自分の利益にかなっている


―ということは、単に現在の支配的な価値観を正当化するだけではないかということ


これらの点について、著者や進化倫理学はどのように考えているのか

ぜひ、他の著作も読んでみたいと思いました



本書で示された考え方については、

すべての読者が賛成する必要はないと思いますが

<思考のトレーニング>という観点からは、まさにうってつけの著作。



倫理学や社会科学、生物学などに興味を持っている方のみならず

小論文対策として高校生の方などにも読んでもらえたらいいなぁ☆―と思います

Annie Lennox 『 The Annie Lennox Collection 』

2009-02-20 08:43:53 | 音楽
グラミー賞で、再び日本でも脚光を浴びた

アニー・レノックスの最新作はベストアルバム『The Annie Lennox Collection 』


実最初のシングルであるPut a Little Love in Your Heartや

さっぱり売れなかったWaiting in Vain"やSomething So Right

ダウンロードでのみの"Wonderful"を除いた全シングルと

最新作シングルShiningを収めたとっても豪華な内容


15年も前に発表された楽曲もあるので

聞いていて<時代>を感じる曲も多々あるものの

Light me up like the sun
To cool down with your rain
I never want to close my eyes again
Never close my eyes
never close my eyes ...
That is everything I have to say


と言った歌詞や、

サウンドが持つ「明るさ」や「前向きな姿勢」は古びることがありません。




また、最新のShiningやKeaneをカバーしたPattern of My Lifeからは

これまでの自分を踏まえつつも

いつまでも、新しい物や良い物を取り込んでいこうとする

彼女の「心の芯」が伝わり、勇気が湧いてきます☆☆



とはいえ、やっぱり個人的なベストは

Love Song For A Vampire

―吸血鬼マニアとしてはははずせない一曲です☆

牧野雅彦さん『ヴェルサイユ条約』

2009-02-19 00:19:49 | 読書
本書は広島大学教授で、ウェーバーを専門とする牧野雅彦さんが


ヴェルサイユ条約の締結過程を概観しつつ

交渉の過程にドイツ外相・のスタッフとして参加した

ウェーバーについて

その議論と現実の交渉の場面で、彼がどのように行動・主張したのか

―を描くとっても欲張りな作品



理想主義を掲げて参加してきたアメリカと


これにうまく乗って「公正な講和」を獲得しようとするドイツ


それに対して、膨大な賠償金や皇帝の戦争責任を問おうとするイギリスやフランス


かみ合いようのないそれぞれの利益が

条約という形で収斂していく様子は、

まさに手に汗握る展開。


また、『職業としての政治』を引用しながら

ウェーバーの理論とその実践を対比させる記述には

単なる思想史に終わらない重厚さがあります。


特に、「戦争責任」をめぐる箇所は、

読み応えがあり第1次世界大戦の「戦争責任」だけでなく、

様々な議論に関する示唆に富んでいたように思います。



ヴェルサイユ条約の締結過程や

ウェーバーの理論については、

きっちり勉強したことがないのでよくわからないのですが


ただ、読んでいる最中すっと疑問だったのが

ウェーバーが重視したという「名誉」概念。


著者は

ウェーバーが講和条約の締結に際して「名誉」を重視した

という趣旨を述べるのですが

帝政から共和制に移行し、皇帝や帝政の「名誉」を守る必要がなくなった後に

ドイツの「名誉」を守ること

を重視したのはどういった理由によるのか

―が理解し切れませんでした。


あくまで、体制の安定という実利を目的としたのか

それとも「名誉」という価値そのものを重視していたのか


この点をどう評価するかによって

本書で描かれた、ヴェルサイユ条約に関するウェーバーの態度を

どう評価するかも、大きく変わるように考えます。



なお、筆者は本書によって

ウィルソン外交の基本的性格を描いた―と述べていますが

私が読んだ印象では

本書の記述の中心は、

ドイツ側の交渉とこれに対するウェーバーの姿勢

であり、ウィルソン外交までというのは

欲張りすぎのように感じました。



最近ではめっきり少数派になった<硬派な新書>

問題意識を多角化・深化させたい方におススメです

Kikiさん『あたし彼女』

2009-02-17 23:07:43 | 読書
これは・・

ビックリした!!!


ケータイ小説が・・

本当に、おもしろいのですよ―



2月初頭に単行本化された

Kikiさんの『あたし彼女』は

ケータイサイト『Lgimo』に掲載されたケータイ小説


男を次々に変え、

奔放な日々を送っている主人公が

事故で恋人を失った男性と出会い、

次第に変化していく様子を描いた作品です



ストーリーは、

いくつかの有名なケータイ小説のように

次々と事件が起きるのではなく、

あくまで、トモと二人の関係に重点をおいた

堅実なもの。



遊んでいる女の子と

亡き恋人を想い続ける男

―という枠組みは

小説一般の中で考えれば

きわめてありがちな内容かもしれませんが



昼まで

爆睡のアタシ

携帯見ても

やっぱり

トモからの

連絡は

無し



―と細く区切った文章は

テンポがよく、読みやすいです(最初は読みづらいけど)。


また、とことん個人の視座に徹した語りに

読者を、グイグイと物語に引き込む

強い説得力を感じます。



お互いを強く想いながらも

すれ違ってしまう様子が

時に優しく、時に突き刺すような残酷さで描かれた物語



まじめに面白い作品なので

本当に本当におススメします!!!!