『サライ』等ではおなじみの江戸初期の茶人・古田織部を主人公にしたマンガ
山田芳裕さんの『へうげもの』
『BSマンガ夜話』でも取り上げられ、ますます絶好調です。
最新刊7巻(←正しくは、七服)では、
山上宗二の処刑から織田長益の剃髪までが描かれています。
メインのストーリーでは
少し前から、ジワジワ広がりつつあった秀吉と利休の溝が決定的になる一方、
織部が茶人として自らの道を模索中といったところです。
そんな本巻、見所はなんと言っても、
宗二の処刑を知ったときの支障・利休の表情。
憤怒、憎悪、悲しみ、己の無力さを知った虚しさ……
さまざまな表情が混ざった実によい(?)表情をしております
ちょっと、狂言面の『武悪』に似ているように感じました。
この絵があるからこそ、その後の利休の無表情さがとても活きます。
私がこの巻のウラテーマだと思ったのは、2つの『光秀の遺産』
一つは、政治的遺産。
それは、
すでに明らかになりつつある、徳川家中のしたたかさ
そして、天海。
2~3巻で光秀をかなり好意的に取り上げていたので、
「明智光秀=天海」説を山田芳裕さんはどう料理するのか?
か気になっていた方も多いと思われますが
この巻でようやく、著者ならではの天海が描かれます。
これは天海の実際の経歴に一致するものですし
のちの「明智が原」、「桔梗紋」なども合理的に説明のつくものです
こうした虚実皮膜をたくみに縫い合わせる様子
さらに、天海が登場する場面で徳川家康が着ている着物の模様は
光秀が家康に以前贈った足袋の模様と同じであること
にも見える細かい書き込みも、本作の魅力です
もう一つの遺産、文化的な遺産―真っ白な安土城―は
思いがけない、日本美術史の巨人に受け継がれていました。
その人物とは、小堀遠州。
彼の茶道が、白を重視していること
代表作である忘筌席や金地院の八窓庵を思い起こせば、
光秀-遠州という系譜はうなずけるものです。
しかも、
遠州が近江出身で、幼い日に真っ白な安土城を目にした可能性があることを考えれば、
これは単なる思い付きなどではなく、真っ白な安土城を登場させたときから、
計算していたように思われます。
-スゴすぎです
本巻には
他にも、「のぼうの城」で一気に有名になった忍城攻めや
「伊達の白装束」、江戸が風水に基づいていること
などの有名エピソードや
「しま模様」、「すき焼き」のようなタイプのエピソードまで
とても多くの情報が盛り込まれています
その量は、これまでの巻に比べてとくに多いように感じました。
メインのストーリーは、
利休の切腹に向けて着々と進行中
織部も〈武人〉と〈茶人〉、そのどちらとして生きるのか再び葛藤します
どちらも小説等で、古くから扱われたテーマ
筆者がそうした旧作品の蓄積を踏まえつつ、どんな新説を打ち出すのか
とても楽しみです。
本作は、純粋にマンガが好きな方から
美術に興味のある方
さらに、細川忠興の顔の傷が本当はもう一箇所あることに気がついている
少しどの過ぎたマニアの方まで幅広く楽しめる作品
まだ、読んだことのない方は、ぜひご覧ください☆
山田芳裕さんの『へうげもの』
『BSマンガ夜話』でも取り上げられ、ますます絶好調です。
最新刊7巻(←正しくは、七服)では、
山上宗二の処刑から織田長益の剃髪までが描かれています。
メインのストーリーでは
少し前から、ジワジワ広がりつつあった秀吉と利休の溝が決定的になる一方、
織部が茶人として自らの道を模索中といったところです。
そんな本巻、見所はなんと言っても、
宗二の処刑を知ったときの支障・利休の表情。
憤怒、憎悪、悲しみ、己の無力さを知った虚しさ……
さまざまな表情が混ざった実によい(?)表情をしております
ちょっと、狂言面の『武悪』に似ているように感じました。
この絵があるからこそ、その後の利休の無表情さがとても活きます。
私がこの巻のウラテーマだと思ったのは、2つの『光秀の遺産』
一つは、政治的遺産。
それは、
すでに明らかになりつつある、徳川家中のしたたかさ
そして、天海。
2~3巻で光秀をかなり好意的に取り上げていたので、
「明智光秀=天海」説を山田芳裕さんはどう料理するのか?
か気になっていた方も多いと思われますが
この巻でようやく、著者ならではの天海が描かれます。
これは天海の実際の経歴に一致するものですし
のちの「明智が原」、「桔梗紋」なども合理的に説明のつくものです
こうした虚実皮膜をたくみに縫い合わせる様子
さらに、天海が登場する場面で徳川家康が着ている着物の模様は
光秀が家康に以前贈った足袋の模様と同じであること
にも見える細かい書き込みも、本作の魅力です
もう一つの遺産、文化的な遺産―真っ白な安土城―は
思いがけない、日本美術史の巨人に受け継がれていました。
その人物とは、小堀遠州。
彼の茶道が、白を重視していること
代表作である忘筌席や金地院の八窓庵を思い起こせば、
光秀-遠州という系譜はうなずけるものです。
しかも、
遠州が近江出身で、幼い日に真っ白な安土城を目にした可能性があることを考えれば、
これは単なる思い付きなどではなく、真っ白な安土城を登場させたときから、
計算していたように思われます。
-スゴすぎです
本巻には
他にも、「のぼうの城」で一気に有名になった忍城攻めや
「伊達の白装束」、江戸が風水に基づいていること
などの有名エピソードや
「しま模様」、「すき焼き」のようなタイプのエピソードまで
とても多くの情報が盛り込まれています
その量は、これまでの巻に比べてとくに多いように感じました。
メインのストーリーは、
利休の切腹に向けて着々と進行中
織部も〈武人〉と〈茶人〉、そのどちらとして生きるのか再び葛藤します
どちらも小説等で、古くから扱われたテーマ
筆者がそうした旧作品の蓄積を踏まえつつ、どんな新説を打ち出すのか
とても楽しみです。
本作は、純粋にマンガが好きな方から
美術に興味のある方
さらに、細川忠興の顔の傷が本当はもう一箇所あることに気がついている
少しどの過ぎたマニアの方まで幅広く楽しめる作品
まだ、読んだことのない方は、ぜひご覧ください☆