山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

礼を失する態度

2009-08-14 17:24:28 | Weblog
 昨日のニュースで自由民主党、民主党の党首討論会が流れていた。討論の内容についてはともかく、自分の目を疑ったのは討論が終わり、麻生総理と鳩山党首が退場する場面である。鳩山氏は握手をしようと麻生氏へと歩み寄った。しかし、麻生氏は鳩山氏には目をくれることもなく、背を向けてその場を立ち去った

 もちろん、現状をみれば麻生氏の苦しい立場や鳩山氏への恨み、つらみがあるであろうことは理解できる。しかしながらである。一国の総理大臣ともあろう人間があのような「礼を失する態度」をとることは非常に残念であると同時に失望した飲み屋での態度ならあり得るかもしれないが、公の場でああいった態度は許されない海外の要人を相手にしてもあんな態度が許されるのか?子供に躾するようなことを自国の総理大臣に指摘しなければならないとは・・・情けない

 柔道は「礼に始まり礼に終わる」という精神を大事にしている。どんなに激しく闘った後であっても礼をすることによって気持ちを収め、闘ってくれた相手に敬意を示す。これは柔道の精神というよりは日本人が持つ精神であり、美しい習慣であると信じたい

 しかしながら、実際には日本人は「水に流す」という行為が実は下手なのではないかとも思う。会議などであっても建設的な議論や討論などはあまりみられないなぜなら、何かを言うと会議の席であっても「敵をつくる」「嫌われる」のではという心配があるからではないだろうか。飲み会の席で「無礼講」といわれても上司に気をつかう姿を見てもそうだ。相手の意見にあわないようなことを言って対立すれば遺恨を残すのが日本の現状のようだ

 先日、ある人に言われた「世の中には様々な人がいる。そして、様々な意見や考え方がある。そういったことも受け入れられる人でいて欲しい。」私自身も思い込みが激しく、自分の我を通すことも多々ある。会議の席でも突っ走ってしまい、反省することも多い。しかし、それでも大人なのだからそういった議論や意見の食い違いを引きずって話もしない!などということはないし、そうあってはならないと意識もしている(つもり

 「日本人は礼儀正しい」などとはもはや言えない時代になってしまったようだ。日本人の倫理観や道徳観はどこへいってしまったのか。あの映像には本当にがっかりした