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余不の印 よふのいん
亀の恩のおはなし
中国に敬康という人がいた
旅の途中で
子どもたちが一匹の亀をかごに入れ
これをおもちゃにしていじめていた
これを見た敬康は
かわいそうに思い
買い取って川に放してやった
亀は水の中で数回
左に首を傾けふり返って
水中に帰っていった
後に敬康が大臣となり
公印を鋳造させたところ
印鑑の飾りに付けた亀の頭が
左に傾いている
印を作る職人は
3回作り直しても同じように曲がるので
敬康にその旨申し出ると
敬康は以前助けた亀のことを思い出し
その印を使用した
その後
敬康はその印によって守護されていった
同じく
行持の巻き
この故事も
蒙求にでてきます
これを引いて
道元さまは
いわれます
雀や亀のような
小さな動物でさえ
恩を忘れない
ましてや
我々人間は
恩義を大切に
していかなければならない
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