志賀草津道路へ

農道というと、多くの人は田んぼのあぜ道みたいなものを想像するかもしれない。
でも、これが広域農道となるとちょっと話が違ってくる。
きちんと舗装された、そこらの３桁国道が逃げ出すくらいの立派な２車線道路で、
交通量も少なければ信号も無い、ライダーズ・パラダイスなのだ。
本来の主役である軽トラやトラクターの邪魔をしない限りにおいて、だけど。

今は「なんだかすごい」という評判の広域農道、嬬恋パノラマラインを南から北へ
抜けて、志賀草津高原道路に向かう途中。志賀草津は例年この時期に雪の回廊を
走ることができるので毎年楽しみにしているのだ。
・・・って、これは４月の末のことなんだ。









パノラマラインは高原を渡るゆるやかなアップ＆ダウンに加えて、南に浅間山、
北に白根山を望む絶景ロードでもある。あいにく曇り＆緑がまだ、だったけど
本来のシーズンにまた来たい道だ。
キャベツ畑がきれいだと聞いていたんだけど、残念ながらこれもシーズンを
外したみたいだ。

ここを抜けると、国道２９２号の草津に出る。ここから志賀草津高原道路だ。
白根山手前のＶ字谷は、いつ来てもきれいだ。













今年は４月末に気温の高い日が続いたせいか、雪融けが早め。
それでもけっこうな高さのある回廊を抜けると、それまで自分が走ってきた
回廊を見渡すことのできるお気に入りの場所に出る。
ここだ。



止まってＧ７に替えて一眼レフを取り出したいところだったけど、後ろが
迫ってきていたので走りながら勘で１枚撮って通過した。
横手山で折り返すから、あとで谷側に止まって撮るほうがいいや。




横手山リフトの駐車場で見つけた雪形。大きさがわからないかもしれないけど
実物大。この人型にはまって写りたかった。うーん。駐車場で身支度している
人たちの視線がなければ、まちがいなくはまって撮ったんだけど。



渋峠を過ぎてしばらく。横手山のドライブインにオートバイを停めて横手山頂へ
登ってみることにした。いつもはここの混雑が苦手で通り過ぎてしまうので、
実は初体験だったりする。



スカイレーターという、ベルトコンベヤでしずしずと運ばれていく。
一人だけなので、間が持たないことことうえない。ああ、だるい。



なーんて言ってたら、次のリフトは猛烈な角度で登っていく。
おお、これは怖いぞ。高所恐怖症なのに高いところに登るなんて、やめとけば
よかったなぁ。後ろはどうなってるんだろ・・・。カメラだけ向けて撮ってみよう。



おんがぁあぁ！
高いよーっ！
こわいよーっ！

・・・と一人で騒ぐアホライダーを乗せて、リフトは山頂駅へ着いた。
周りはスキーヤーばっかり。レーシングブーツを雪にもぐらせて、看板犬の
ユキちゃんに冷たい目で迎えられながら（生意気な犬だなぁ）山頂名物の
おいしい牛乳とパンにありついた。
やせがまんして外で食べる。ライダーの耐寒装備をなめんなよ。





うん。この惑星の牛乳はうまい。昼飯にビールを飲んで虚脱しているスキーヤーが
かなりうらやましいけど。

・・・なんか、急に風が冷たくなってきたなぁ。気のせいかな？そろそろ降りよう。



にょええぇ～～っ

しまったぁ！帰りは前向きだから、よけい怖いんだったぁ！うおお。
ケーブルさん、下までよろしくお願いします。



ああ、疲れた。リフト乗り場（降り場）の雪焼けしてミラーグラスをかけた
係員さんとしばしスキーウェアｖｓ.ライディングウェアで議論を交わす。
しかしこの人、おれにはどーーーしても某紅さんにしか見えん。

紅さん激似の係員さんに見送られて、雪の大谷ルートを上から撮るために
草津方面へ戻った私を、コーナー３っつ目くらいで出迎えたもの。

それは。

キリ。



さっきから強く、向きの変わった風で雲が発生してあっという間に押し寄せてきた。
周りより高い峰の悲しい宿命である。なんも見えん。

こりゃあ今年はだめだなぁ。さっき走りながら手撃ちでスナップしたのが唯一の
写真になってしまった。何度も経験していながら、いまだにはまる落とし穴。

『山の写真はその時撮れ。次は無い。』 Ｊｏｎｍａｎ ｓａｉｄｓ

Ａｈ．最高地点の碑も白い壁の前に置いたみたいだぜベイベ。
晴れた日に、また来るよ。