試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ100-210[ツヌ116F] 動力ユニット整備 (段付加速解消:モーター軸受部注油,導電板・台車集電板研磨施工) ※旧製品

2020-01-30 23:50:24 | 国鉄/JR101系
6号車。

KATO製国鉄101系ツヌ116F(T'c91:旧製品)は1両毎の改修入場が続いている。
平時に於ける回着整備や改修では動力ユニット搭載車を入場後半へ廻す場合が殆どである。
だが諸事情によりモハ100-210(ツヌ116F:動力ユニット搭載車)はクモハ101-154以下5両(ツヌ116F)に先んじての入場となった。


国鉄101系モハ100-210(ツヌ116F:動力ユニット搭載車)。
※旧製品。

五代目ツヌ118F(Mc155:旧製品→旧ツヌ123F:Tc78)には車体が湾曲したモハ100-208(動力ユニット搭載車)が含まれていた。
導入前に症状を把握していたが矯正策は側面窓セルと車体の間へ流し込み接着剤を投入する粗雑な方式が採用される。
そのツヌ123Fクハ101-78(弁天橋区仕様:車体更新車)のウエイト腐食進行が明らかとなり次期改修入場編成に急浮上した。
よってモハ100-192(ツヌ123F←モハ100-208:五代目)は分解が避けられなくなっている。
2014年6月に竣工したモハ100-210の種車はモハ100-208(ツヌ118F:六代目)だが同一方式にて修正が施された車両であった。


入工中のモハ100-210。

そこで改修入場が控えるモハ100-192の予行演習代わりにモハ100-210を抜擢した。
モハ100-210の改修工程は動力ユニット整備及び車体改修が並行作業となるため単独入場が決定していた。
側面窓セルの撤去に大きな差異は生じないはずでありモハ100-192を意識した入場順へと改めている。
モハ100-210用動力ユニットは初回起動時に段付加速が現れる傾向が強かった。
但し毎回発症する訳ではなく通電性能低下よりも接触不良の可能性が高いと思われた。


撓む1-3位側用導電板(1エンド側)。

ウエイト腐食とは無縁の動力ユニット搭載車であるがモハ100-208(ツヌ118F:旧製品)の台枠は側面が灰色に変わっていた。
モハ100-210用台枠では天面に一部変色が見られたため油脂被膜で覆う共通の老朽化対策を施した。
また台車集電板先端部と導電板には経年相当の酸化が確認され研磨が決定する。
モーター軸受部への注油を行う関係から台枠天面よりモーター支持部品を押し出し導電板ごと撤去した。
導電板は1-3位側用,2-4位側用とも脱落しなかったが逆に両端の嵩が大きく異なる事実と直面している。


均等化された両導電板嵩(2エンド側)。

この嵩高差は凹形に変形した1-3位側用導電板が原因であり取り敢えず研磨と整形を同時進行させた。
しかし研磨程度の圧では一向に変形は解消されず本格的な1-3位側用導電板矯正へと取り掛かった。
全体を∩字形に撓ませても殆ど効果は無く約2cm毎に区切り水平へ戻す作業を繰り返した。
どうにか1-3位側用導電板は直線形状に戻り台枠へ取り付けた後も症状再発には至っていない。
なおモーターの単独駆動試験結果は良かったが高経年品に変わりはなく従来通り注油を行った。


重点清掃が行われたDT21動力台車用金属部品(2エンド側用)。

DT21動力台車の内部は目立った埃侵入も無く経年劣化を感じさせないように思えた。
ところが分解が進むに連れて金属部品の大半は薄い油脂で覆われていると判明した。
中でもスパイラルギア周りはワッシャーとギア軸が固着していたためクリーナープールに浸け溶解させている。
動軸先端部,台車集電板もスパイラルギアと同様の状況を示しておりクリーナーでの拭き上げを施した。
続けてラプロス#4000にて台車集電板全体の研磨を行い酸化箇所を廃している。


整備が完了したモハ100-210用動力ユニット。

2エンド側用DT21動力台車枠はギアボックス内部に油脂と緑青の塊が付着するほど思わしくない状態であった。
幸い事無きを得たが整備が遅れていればスパイラルギア一式は少なからずその影響を受けていたと思われる。
組み立てたDT21動力台車は車輪回転が軽やかになり摺動抵抗軽減の手応えを得られた。
モハ100-210用動力ユニットは駆動試験で滑らかな挙動を示すと同時に起動電流が低下するおまけまで付いてきた。
1-3位側用導電板と台車集電板の接触も不具合は無く今後段付加速に襲われる事態から逃れられると思う。


溶着痕が残る車体内側(2-4位側)。

約55分で動力ユニット整備に区切りが付き問題の側面窓セル撤去へと突入した。
2-4位側の一部だけが外側へ張り出していたモハ100-208(→モハ100-210)だが2箇所で湾曲部を挟む矯正方法が採られた。
当該箇所を避ける側面窓セルの固定方式は歪み具合が酷かったモハ100-192を踏襲したと思われる。
だがKATO製101系用側面窓セルには垂直方向の切り込みが設けられておらず枕木方向しか撓ませられない。
そのため1エンド側,2エンド側双方から車体と側面窓セルの隙間へ爪楊枝を差し込む剥離方式で取り外しに挑んでいる。


湾曲矯正を行ったPS16形パンタグラフ台枠。

溶着箇所付近まで爪楊枝を突き立てたものの側面窓セルは強力に固定されており撤去には至らなかった。
止むを得ず鋭角化した爪楊枝を側面窓セル溶着部の間に挿入する強引な手法で取り外した。
クラフトナイフは車体内側を抉る危険性が高く敢えて持ち出さなかったが溶着跡を見ると同じ結果になっていたと思う。
屋根板,車体,側面窓セルの現状は思いの外良好で何れも磨きクロスでの拭き上げを施したのみに留まった。
その代わりPS16形パンタグラフは折畳姿勢が芳しくなく修正を要した。




[モハ100-210]:2-4位側。

屋根板に深く押し込まれたPS16形パンタグラフは台枠が凹形に歪んでしまい着脱だけでは症状改善まで持ち込めない。
但し上枠,下枠に異常は感じられずパンタグラフ台枠さえ整形すれば原形復旧が可能と思われた。
スライダー部品への負荷を軽減するため下枠片側をパンタグラフ台枠から分離させ直線状に押し戻した。
杯形だった折畳姿勢は水平に改められ昇降にも不安を抱かせない仕上がりに復している。
このまま竣工へ向かうはずだったモハ100-210だが埃を取り込んだ2-4位側の車両番号標記インレタに気付いた。


[モハ100-2[10]]:2-4位側。

モハ100-210への改番時に繊維状の埃を巻き込んだ模様でその経年から引き抜きは困難だと予想された。
恐らく[モハ100-210]インレタを突き破っただけだと思われるが駄目元で行った埃除去に成功している。
この最中に[モハ100-210]のずれが気になり始めたため節約式での修正転写へと進む。
だがモハ101-217(ツヌ116F)と同じく[モハ100-210]の下には消去しきれなかった[モハ100-208]標記跡が隠されていた。
初期ペイントリムーバー式改番車ではインレタによる印刷消去痕隠蔽策が多用されており2両続けて塗装被膜修正に迫られた。




モハ100-210(動力ユニット整備,PS16形パンタグラフ・2-4位側車両番号標記修正施工)。
※旧製品:車体改修。

修正転写により2-4位側車両番号標記インレタは[モハ100-2]+[10]の組み合わせへと変更された。
多少フォント太さに違いがあるがまずまずの配置を保つ1-3位側との差異は縮小したように映る。
なおインレタ転写完了まで2-4位側用側面窓セルを固定せずに車体湾曲が再発しないか様子見していた。
長らく補正され続けた側板は垂直へ戻ったらしく湾曲対策の廃止に踏み切りモハ100-210(ツヌ116F)を竣工させた。
側面窓セルの撤去方法に再考の余地が残るもののひとまずモハ100-192へ繋がる整備にはなったと思う。
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