樹業人~風の通心

持続可能な社会や森林・建築・木製品について、気ままに こそっと考える為のネタ帳です。

森林の一丁目一番地

2013-12-16 | 持続可能な社会
最近、頭がショートしそうになる位、林野の政策を読む機会に恵まれている。実に色々な事に配慮されているなぁと関心すると共に、どんな素晴らしい計画を立てても、現場では実行する為に根本的に必要な森林所有者の把握もできていないのにどうするんだろうと気になって仕方がない。

どれだけ、国産材の安定供給を叫んでも 基本的には所有者の了解なしに木は伐れない。
森林所有者の把握が、一丁目一番地である。わが町では、半分弱位がつかめてないかもという感じらしい。これは全国的に特別な事ではない。結構に地域がかかえている問題だ。全国では300万人の森林所有者がいる事になっているらしい。(未確認情報ですが)1m2以下の所有者もけっこういるとの事。

現実の森林は一つなのに、森林簿、法務局のデータ、森林組合の施業履歴などリンクしていないデータがいくつもあり、既に亡くなられた人(見るからに明治生まれとわかるお名前)が所有者という割合は相当高いし、面積も地図も実際とは随分違う。図面のようなものもあるけれど、昔のことなのでザックリ「このあたり」というだけで、そもそも、税金をとる為に庶民の所有にしたらしいので、少なめに申告してあったりもする。
森林簿というのは林野関係の行政が持っているデータで、かなり色々なデータが収集されていて、それを元に計画もされているのだと思うのだけど、計画は持主がわからなくても出来るので市町村によっては所有者の欄がないものもあるとか。

例えば、今、間伐が必要な樹齢50年の森林。30才で植林した人は80才。
山の場所は知っていても、日に日に山に行ける体力はなくなってくる。五年が勝負。それを逃すと、そのツケは所有者ではなく行政に回ってくるのは明らかだ。所有者がわからない森林は、誰がどうするの?所有を放棄されても困る。皆が近所の人とは限らない。遠い所の人が相続して分割されたり名字が変わったり、持主間では売買されていても登記されていない場合もあるそうだ。

これは、林野庁や森林組合だけではどうにもならない。というか、そもそもそれ以前の問題で責任を持つのは違う部門だと思う。そのデータが整った上で、本業の林業に専念してもらうべきなのではと思う。

隣地があるので個人で頑張っても限界がある。個人情報保護法を作ったところや管轄している部署に動いてもらわねば、どうしょうもない。所有者は全国に散らばっているので、森林のある市町村だけで何とかなるものでもない。市町村の担当者が他の地域を訪ねて行っても教えてもらえない事もある。
それでも探す手立てやヒントは、やはり地域の高齢者に聞くのが一番だったりする。

それを専門に動ける職員さんの余裕もないだろう。各省庁が一丸となって全国に指令を出し、予算をつけてもらえないと市町村も動けない。国土の7割もある森林。そのうち、民有林で把握できていない森林がどれくらいあるのか。国家の問題である。先延ばしにすればする程、困難になっていく。そういう政策もあるけれど、ちよっと利用しにくい。

とにかく、きちんと計っている時間はない。登記なんてしようものなら相続問題になるし、きちんと決めるとなると隣といさかいがおこって、これも進まない。又、登記してしまうと簡単に売りやすくなってしまう。
そっこん税金にはリンクさせないと約束しないと、協力もしてもらえない。

山を知っている人の寿命と体力。これが優先事項だと思う。時間に限りがある中で、やらねばならない事を想像すると、単年度の政策ではなくせめて五ヶ年計画。
ちゃんと出来ている市町村と全くできていない所、所有者のありようも違うだろう。どこにお願いすればいのかわからないが、各市町村がPDCAで計画をたて実行にうつせるようにサポートして頂きたい。

森林においては、これからますます市町村の役割が大きくなってくるのではと思うし、期待したい。

今度の予算で、こんな政策がでてくるとうれしいのだけど。。。もう 決まっているのよねー。たぶん。

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