ミストラル 鎮魂（レクイエム）

珠玉の鎮魂歌　随想です。
転載。FaceBookより。
（一部、添削）


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＞mistral、なくなるらしい。

このジムは駅からは遠い。
車で行くと、看板が小さ過ぎて危うく通り過ぎそうになる。
日が沈むと周囲が暗過ぎて、恐い。
女子一人でその扉を開けられるようになるまで、かなり時間がかかった。
貴重品ロッカーなんてない。更衣室のドアは、カーテン一枚。
最悪なのが、トイレが外。
緊急事態を除きほとんど入った事がない。ウォシュレットなんて当然無い。
水道は公園より冷たい水しか出なかった記憶しかない。
帰る前に手を洗いにいくと、田舎の親戚の家に来てるのか？ってくらいの生活感丸出しのシンクに、
三角コーナーにうどんやラーメン、野菜の切れ端がある。

ミストラルの冬は、御岳の陽当たりのいい発電所エリアなんかよりも、ずっと寒かった。
屋内とは思えないほどに。
春先でもダウンが必須。
ある年の真冬の日、ストーブ灯油代の募金箱が置かれていた。
寒いのでつい募金してしまう。

ミストラルにいるのは、黙々と登る、愛想の無いクライマーが大部分だった。
私が行くと、ほぼ女子紅一点になることが多かった。
時々、女○更衣室に入る人を目撃し、『え、この人、●○だったの！？』とゆう感じ。

いつ行っても私が一番下手だった。
皆、強い。
私はいつも、登れない課題に打ちひしがれた。
遠いから、ではなく、派手にダイノしないと取れないから、でもなく。
なんか絶妙にヨレる。
なんか絶妙に持てない。
足自由5級が難しく、最初まったく登れなかった。
登れるようになった時は、本当興奮するくらい嬉しかった。

・…・…・…

『久しぶりだね』
と、柴田さん。
顔を覚えてくれていた！

足自由5級は、やっぱり難しくて登れなかった。
あれ今日、何時まででしたっけ？
訊くと
『20時まで。皆んな帰んないね』と、商売っ気なし。笑う。
最近、老眼鏡かけてたんですね。

ミストラル、新しく生まれ変わっちゃうのかな…
流行りの大きなボテや、カラフルで可愛いホールドが付いちゃうのかな…

大宮にあるジム、
駅から歩いて行けて、綺麗で、お湯で足洗うとこもあって、いつもカップルや学生でいっぱい。
暖房も冷房も完備。インスタ映えもバッチリ。

でも、
そこの△は☆に人が登っていても、平気でその○■を凹くし、
見てる☆も％▽しない！
ストレッチスペースがない。
常連客はストレッチせず登る習慣が付いている。
ビレーヤーを避けて誰も登っている人のいないマットに座ったら規則で注意された。規則は分かるけど。
なんだかイライラする。

ミストラルには
いつ落ちてくるか分からないクライマーの、真下を歩く奴なんて
見たことなかったのに。
そもそも、課題が辛くて登れなくて当たり前だった。

＞変わって欲しくないジムがなくなってしまうのが、寂しい。

copyright 2018 Inamon

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