TS-780 #e と一緒に手に入れたHL-63Uをいじってみました。
オークションの説明では「プリアンプは動作しているようです。パワーが20W程度しか出ません。」とのことでした。
初見確認すると
・外観・内部とも大変きれい
・電源ケーブルなし
・入力10Wで送信出力20W
・受信未確認
1.清掃・洗浄
きれいでしたが、一応バラして洗浄と清掃しました。
元々きれいなので見た目は変わらず。
2.電源入力部改造
電源ケーブルが無く、コネクターも入手できそうもないので電源入力コネクターを改造しました。
ケーブルを穴から直接出してT型の電源コネクターを取り付けました。
3.トリマーコンデンサー破損
出力が出なかったのは電力増幅TRのコレクターにあるトリマーコンデンサーが破損していたためでした。調整しようと回したら、バチバチ音がして放電しました。
フィルムトリマーをこんなところに使うのはどうかとも思うのですが、メーカーがちゃんと評価試験したのでしょうから大丈夫なのでしょう。
セラミックトリマーに取り替えました。
4.出力確認
TS-790Sをつないで出力特性を測定しました。
周波数は433.00MHz、入力15Wで出力58Wくらいでした。電源電圧13.8V
ちょっとメータが見にくいですが・・・・上のSX-1000が入力電力(20Wレンジ)、下のRW-120Dが出力電力(120Wレンジ)
この後、エキサイターをTS-811D(25W機)に取り替えて試験してみました。
エキサイターが変わるとアンプの入力側の整合が変化するために入力のトリマーを調整しないとベストの状態にはなりません。TS-790Sで入力側のSWRを最小値(1.1)にした状態でTS-811Dに交換するとSWRは1.4になりました。調整で1.1には出来ます。
この状態で15WのINPUTで出力はやはり58Wくらいでした。試験を続けているとヒートシンクはどんどん熱くなって出力も徐々に減少してきます。FMモードで数分で50Wくらいまで下がりました。
出力58Wの時の流れる電流は13.8Vで8.9Aでした。消費電力123Wです。
パワートランジスタだけに電流が流れているわけではないので正確ではないですが、直流入力120Wとして、効率48%になります。120Wの52%の電力が熱になっているわけですから熱くなるのも当然です。ちょっとヒートシンクが小さすぎませんか?
このアンプの評価試験をすることが目的ではなく修理が目的ですから試験はこのくらいにしておきます。ベストの状態を作るには・・・
1.実際に接続するエキサーターに合わせて再調整する。
2.出力電力は無理に上げない。50Wまで・・・入力は12W(特にFM)
3.風通しの良い状態で使う。出来れば小型扇風機設置。
4.電源は十分電流容量のある電源で使う。(58W出力時の電流は8.9A)
5.受信プリアンプ確認
RX AMPのスイッチをONにすると確かにSメーターは振れるようになります。S=1の信号がS=4くらいまで上がります。
しかし本当に感度は上がったのか?Sメーターが振れるようになっただけなのか?
ノイズレベルも高くなる訳で・・・・・・さて??
0.13μVでS/N 10dBの受信機(TS-811D)につないでみると0.13μVの信号に対してS/Nが12dBくらいに改善されていました。やはり感度は良くなっているようです。効果があるんですね。受信プリアンプの効果を再認識しました。