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経営者のための聖書講座

永遠のベストセラー、聖書からビジネスのヒントを学ぶ

No.162 ネヘミヤ(13):もう一つの再建

2008-12-20 23:04:23 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
これまでネヘミヤの城壁再建工事からリーダーシップを学んできた。

城壁は完成した。
だが、ネヘミヤの仕事は終わらなかった。

ネヘミヤは町の人々を広場に集めた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
彼らは神の律法の書を翻訳し、意味を明らかにしながら読み上げたので、
人々はその朗読を理解した。

総督ネヘミヤと、祭司であり書記官であるエズラは、
律法の説明に当たったレビ人と共に、民全員に言った。
「今日は、あなたたちの神、主にささげられた聖なる日だ。
 嘆いたり、泣いたりしてはならない。」
民は皆、律法の言葉を聞いて泣いていた。

彼らは更に言った。
「行って良い肉を食べ、甘い飲み物を飲みなさい。
 その備えのない者には、それを分け与えてやりなさい。
 今日は、我らの主にささげられた聖なる日だ。悲しんではならない。
 主を喜び祝うことこそ、あなたたちの力の源である。」
レビ人も民全員を静かにさせた。
「静かにしなさい。今日は聖なる日だ。悲しんではならない。」

民は皆、帰って、食べたり飲んだりし、備えのない者と分かち合い、
大いに喜び祝った。
教えられたことを理解したからである。

  ネヘミヤ記8:8-12
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

広場に集まった人々に、
イスラエルに授けられていた「モーセの律法の書」の朗読と解説がなされた。

人々は、それまで律法の書を知らずに生活していた。

律法の言葉を聞いた人々は、それを理解した。
理解したと同時に泣いた。

彼らは知らずに律法に背いていたのだ。

嘆き悲しむ住民にネヘミヤは言った。
「今日は、我らの主にささげられた聖なる日だ。悲しんではならない。」

がっかりするのではなく、今日をもって律法を知れたことを喜ぶべきだと
ネヘミヤは人々を励ました。

ネヘミヤは、上等の肉を食べ、甘い飲物を飲んで祝うよう住民に勧めた。

人々はその日、食べ、飲み、分かち合い、
律法を理解したことを大いに喜び祝った。


ネヘミヤが望んでいたのは城壁の再建だけでなかった。
彼は人々の信仰の再建も成し遂げたのであった。


経営者の役目は、業績向上だけではない。

従業員に仕事を通して成長する場を提供する。
それも無視することのできない大切な役割だ。

No.161 ネヘミヤ(12):城壁の完成

2008-12-16 21:25:45 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
神経戦を乗り越えることができるか?
これは、リーダーがプロジクト遂行のため自らに問わねばならない質問だ。

ネヘミヤの城壁再建工事も完成まであと僅かである。
だが、敵は本当に執念深い。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
わたしが、メヘタブエルの孫でデラヤの子であるシェマヤの家に行くと、
彼は閉じこもっていた。彼は言った。
「神殿で会おう、聖所の中で。聖所の扉を閉じよう。
 あなたを殺しに来る者がある。夜、あなたを殺しにやって来る。」
しかし、わたしは言った。
「わたしの立場にある者は逃げることはできない。
 わたしのような者で、聖所に入って、
 なお生き長らえることのできる者があろうか。
 わたしは入らない。」
彼は神が遣わした者ではなく、
トビヤとサンバラトに買収されてわたしに預言したのだということを
わたしは悟った。

なぜ彼を買収したのか。
それはわたしが恐怖心から彼らの言いなりになって罪を犯せば、
彼らはそれを利用してわたしの悪口を言い、
わたしを辱めることができるからである。

わが神よ、トビヤとサンバラトのこの仕業と、
わたしを脅迫した女預言者ノアドヤや他の預言者たちを覚えていてください。

城壁は五十二日かかって、エルルの月の二十五日に完成した。

わたしたちのすべての敵がそれを聞くに及んで、
わたしたちの周囲にいる諸国の民も皆、恐れを抱き、
自らの目に大いに面目を失った。
わたしたちの神の助けによって
この工事がなされたのだということを悟ったからである。

そのころ、ユダの貴族は頻繁にトビヤに手紙を送り、
トビヤの手紙も彼らに届いていた。
ユダの多くの人は彼と互いに誓約を交わす関係にあったからで、
トビヤはアラの子シェカンヤの娘婿であり、
トビヤの子ヨハナンはベレクヤの子メシュラムの娘をめとっていた。

彼らはわたしの前ではトビヤへの賛辞を述べ、
トビヤにはわたしの言葉を密告した。
トビヤはわたしに脅迫の手紙をよこした。

  ネヘミヤ記6:10-19
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


買収、罠、密告、脅迫。

城壁完成前後に、ネヘミヤの身の回りに起きていた事がらである。
実際の工事とはかけ離れた場所で、凄まじい神経戦が繰り広げられていたのだ。

城壁再建を妨害するサンバラトとトビヤは
ネヘミヤを罠にはめようと彼の身近にいる者を買収した。
買収されたシェマヤはネヘミヤを脅し、彼に罪を犯させようとした。

その他にも彼らは女預言者を使ってネヘミヤに脅迫を加えた。

また、ネヘミヤの陣営にいた貴族の中にはトビヤと密通する者がおり、
情報操作や密告を行っていた。
トビヤはそれらの情報をもとにネヘミヤに脅迫の手紙を送りつけた。

得てしてプロジェクト遂行の障害は、プロジェクトそのものよりも、
このような反対者からの妨害であったりするものだ。
リーダーの目的が曖昧であると、
妨害対策で神経を消耗してしまい、プロジクトが未完に終わることもある。

ネヘミヤはしっかりとした信念を持っていたので、
それら妨害に惑わされずに済んだ。

城壁は工事着工から五十二日で見事完成した。

ネヘミヤの信仰の勝利だった。


プロジェクトの完遂にはリーダーの強い意志が不可欠である。

No.160 ネヘミヤ(11):脅迫との闘い

2008-12-12 22:44:00 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
意欲的で斬新なプロジェクトを指揮していると、
誘惑や脅迫に遭遇することもあるだろう。
リーダーの反応は士気に影響をもたらす。

難関を極めた城壁再建工事も
あとは城門に扉を据え付けるだけとなった。
完成まであと一歩である。

そこで、敵が行動を起こした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
サンバラト、トビヤ、アラブ人ゲシェム、その他わたしたちの敵は、
わたしが城壁を再建し、崩れた所が一つとして残らず、
あとは城門に扉を付けるだけだということを耳にした。

サンバラトとゲシェムはわたしのもとに使者をよこして、
「オノの谷にあるケフィリムで会おう」と言った。
彼らはわたしに危害を加えようとたくらんだのであった。

そこでわたしは使者を送って言わせた。
「わたしは大きな工事をしているので、行けません。
 中断して出かけたのでは、どうして工事が終わるでしょうか。」

彼らは同じことを四度も言ってきたが、わたしも同じように返事を繰り返した。

五度目にサンバラトは、配下の者を同じ言葉をもってわたしのもとによこしたが、
その手には開封の手紙があった。
そこには、こう書かれていた。
「あなたとユダの人々は反逆を企てていると、
 諸国のうわさにもなっているし、ガシュムも言っている。
 城壁を建てているのはそのためであろう。
 あなたはユダの人々の王になろうとしているということだ。
 また、あなたはあなたのことを宣言する預言者をエルサレムに立てて、
 ユダの王だと言わせているそうだ。
 今このうわさは、王のもとに届こうとしている。
 早速相談しようではないか。」

そこでわたしは返事を送った。
「あなたの言うことは事実に反する。あなたの勝手な作り事だ。」

彼らは皆、わたしたちの手が弱り、工事は完成しないだろうと言って、
わたしたちに恐怖を与えている。
神よ、今こそわたしの手を強くしてください。

  ネヘミヤ記6:1-9
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

あとは扉を据え付けるだけ。
このタイミングで敵がネヘミヤのもとに使者をよこし、面会を求めてきた。
ネヘミヤに危害を加えようとしたのだ。

ネヘミヤはそのたくらみに乗らなかった。
プロジェクトがほぼ完成という段階でも
ネヘミヤは決して油断しなかった。

敵は四度も同じ言葉でネヘミヤを誘った。
ネヘミヤは頑として折れなかった。
彼も負けずに同じ返事を四度繰り返した。

敵は五度目の誘惑を試みた。
今回はある手紙も付け加えられていた。
内容は次のようなものだった。

あなたが反逆を企てているということが諸国の間でうわさになっているぞ。
城壁を建てているのはそのためだろう。
あなたはユダの王になろうとしているのだろう。
ペルシャの王にもこのうわさは届こうとしている。
会って相談しよう。

まったくのでたらめであった。
ネヘミヤは自分が王になるために城壁を再建していたわけではなかった。
謀反を起こすつもりなど毛頭なかった。

これはネヘミヤを動揺させるための敵の作り話だった。
ネヘミヤを恐怖に陥れ、城壁の完成を妨害しようという敵の策略だった。

この攻撃に対しても、ネヘミヤは冷静に対応した。
罠にはまって、敵に会いに行くようなことをしなかった。

ネヘミヤはこれまでもそうであったように、
自分の気持ちを神に打ち明け、
心を健全に保つよう努めた。


プロジェクトの完成を喜ばない者がいる。
その者らの妨害は執拗かつ巧妙である。

彼らの脅しに心を怯ませてはならない。

特に完成の一歩手前は油断に陥りやすい。

リーダーはプロジェクトが完成するまで決して手を抜いてはならない。

No.159 ネヘミヤ(10):愛のマネジメント

2008-12-08 23:16:15 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
言葉だけで人を動かすことができるだろうか?
優れた制度だけで人は動機づけられるだろうか?
決してそうではあるまい。

ネヘミヤは憐れみ深いリーダーだった。
彼の心意気は日常生活にも顕著に表れていた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
アルタクセルクセス王の第二十年に、わたしはユダの地の長官に任命されたが、
その日から第三十二年までの十二年間、
わたしも兄弟たちも長官の給与を一度も受け取らなかった。

わたしの前任者は民に重荷を負わせ、
パンとぶどう酒に加えて、銀四十シェケルを徴収した。
彼らの配下の者も民を圧迫した。

しかし、わたしは神を畏れ、そのようなことを決して行わなかった。
わたしはこの城壁の工事にも力を注ぎ、土地を買収したりはしなかった。
配下の者も皆、工事のためにここに集まっていた。

ユダの人々と役人合わせて百五十人、それに周りの国々から来た人々も、
わたしの食卓に着いた。
毎日用意されたものは、牛一頭、特選の羊六匹、鳥で、わたしのために用意され、
十日ごとにはあらゆる種類のぶどう酒が十分用意された。
だが、このためにも長官の手当を要求しなかった。
再建作業がこの民にとって重荷となっていたからである。

神よ、わたしがこの民に尽くしたすべてのことを快く心に留めてください。

  ネヘミヤ記5:14-19
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ネヘミヤはユダを治める長官として、この地に赴任していた。
だが彼は、報酬として支給される長官の給与を受け取らなかった。
十二年間、一度も。
ネヘミヤは民に重荷を負わせなかった。

それは歴代長官の慣習だったのだろうか?
決してそうではない。
ネヘミヤの前任者は当然のごとく給与を受け取っていたし、
民に重税を課すことを何とも思わなかった。

ネヘミヤは純粋に城壁の再建という目標に邁進した。
土地を買収するなど蓄財には目もくれなかった。

ネヘミヤは再建工事の「同僚」たちに毎日、食事を振る舞った。
牛や特選の羊は民に食べさせ、彼自身は鳥を食した。
これらをすべて自費で賄った。

再建作業に携わる民をいたわりたかったのだ。

あなたがネヘミヤのもとで働く民の一人だったら、どのように感じるだろうか?

働く者の動機はどこから来るのだろう?


あなたは従業員を動機づけるリーダーだろうか?

No.158 ネヘミヤ(9):生活者目線

2008-12-04 19:36:45 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
世界的な不況の波が押し寄せている。
周囲では嘆きの声を発する人も少なくない。

今日も「ネヘミヤ」を読むことにしよう。
不屈の闘志を持って城壁再建を指揮するネヘミヤに心を許したのか、
ユダの民は日頃の窮状を彼に訴え出した。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
民とその妻たちから、同胞のユダの人々に対して大きな訴えの叫びがあがった。
ある者は言った。
「わたしたちには多くの息子や娘がいる。
 食べて生き延びるために穀物がほしい。」
またある者は言った。
「この飢饉のときに穀物を得るには畑も、ぶどう園も、
 家も抵当に入れなければならない。」
またある者は言った。
「王が税をかけるので、畑もぶどう園も担保にして金を借りなければならない。
 同胞もわたしたちも同じ人間だ。
 彼らに子供があれば、わたしたちにも子供がある。
 だが、わたしたちは息子や娘を手放して奴隷にしなければならない。
 ある娘はもう奴隷になっている。どうすることもできない。
 畑とぶどう園はもう他人のものだ。」

この嘆きと訴えを聞いて、わたしは大いに憤りを覚え、
居たたまれなくなって貴族と役人をこう非難した。
「あなたたちは同胞に重荷を負わせているではないか。」
わたしはまた大きな集会を召集して、言った。
「わたしたちは異邦人に売られていた同胞のユダの人々を、
 できるかぎり買い戻した。
 それなのに、あなたたちはその同胞を売ろうというのか。
 彼らはわたしたち自身に売られることになるのに。」
彼らは黙りこみ、何も言えなかった。

わたしは言った。
「あなたたちの行いはよくない。
 敵である異邦人に辱められないために、神を畏れて生きるはずではないのか。
 わたしも、わたしの兄弟も部下も金や穀物を貸している。
 わたしたちはその負債を帳消しにする。
 あなたたちも今日あなたたちに負債のある者に返しなさい。
 畑も、ぶどう園も、オリーブ園も、家も、
 利子も、穀物も、ぶどう酒も、油も。」
彼らはそれに答えた。
「返します。何も要求しません。お言葉どおりにします。」

わたしはこの言葉どおり行うよう誓わせるために祭司たちを呼んだ。
わたしはまた衣の折り重ねたところを振るいながら言った。
「この約束を守らない者はだれでも、
 このように神によってその家と財産から離され、振るい落とされるように。
 このように振るい落とされて無一物となるように。」
会衆は皆で、「アーメン」と答え、神を賛美した。
民はその言葉どおり行った。

  ネヘミヤ記5:1-13
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「食べて生き延びるために穀物がほしい。」
「畑も、ぶどう園も、家も抵当に入れなければならない。」
「息子や娘を手放して奴隷にしなければならない。」

人々は口々に自らの置かれている状況を訴えた。

ネヘミヤは民の惨状を聞いているうちに憤りを抑えられなくなった。

ネヘミヤは貴族と役人に向かい、彼らを非難した。
そして、すぐさま大集会を催し、同胞の苦難に無関心な人々を糾弾した。
ネヘミヤの演説を聞いた人々は何も言えねえ、状態に陥った。

ネヘミヤは率先して自らの決意を人々に表明した。
自分と兄弟たち、そして側近の部下たちは、債権を放棄する、
すなわち民の負債を帳消しにすると。

その上で、他の人々にも同じように帳消しにするよう勧めた。

話を聞いていた人々はネヘミヤの提案に同意した。
ネヘミヤは祭司を呼び、人々の決意を固めさせた。
人々は決意を実行に移した。

こうしてユダの民は皆、負債から解放された。

なんと憐れみ深い指導者だろう。
ネヘミヤのいる時代に生活したかった、
あるいはネヘミヤが今の時代、国家のリーダーであれば、
などと思ってしまう人は多いかもしれない。特に昨今は・・・。

憐れみに富んだネヘミヤのリーダーシップのもと
城壁の再建は着々と進められていくのだった。


「憐れみ深い人々は、幸いである、
 その人たちは憐れみを受ける。」
              (マタイによる福音書5:7)

「人に憐れみをかけない者には、
 憐れみのない裁きが下されます。
 憐れみは裁きに打ち勝つのです。」
               (ヤコブの手紙 2:13)


さて、あなたの他者に対する憐れみやいかに?

No.157 ネヘミヤ(8):危機管理2

2008-11-30 22:16:55 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
状況に応じ、即座に、柔軟な対応策を講じることができる。
それは優れたリーダーに必要な資質の一つだ。

城壁工事の攪乱を目論んだ敵の襲撃情報をキャッチしたネヘミヤは
緊急措置を取り、攻撃を未然に防ぐことに成功した。
だが、敵の妨害行為がいつ起こるともわからない危機的状況はなおも続いていた。
ネヘミヤは再建工事の作業体制を変更する決断をした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
その日からわたしの部下たちは、半分が作業に従事し、
他の半分が槍と盾、弓と鎧を身に着け、将校たちがユダの家全体の背後に控えた。
城壁を築く者、もっこを担いで運ぶ者は、一方の手で作業をし、
もう一方の手には投げ槍を取った。
建築作業をする者は、各自腰に剣を帯びて作業した。

わたしはそばに角笛を吹く者をつけた。
わたしは貴族と役人と他の戦闘員に言った。
「仕事が多く、範囲は広い。
 わたしたちは互いに遠く離れて城壁の上に散らばっている。
 角笛の音を聞いたら、わたしたちのもとに集まれ。
 わたしたちの神はわたしたちのために戦ってくださる。」

夜が明けてから星が現れるころまでわたしたちは作業に就き、
部下の半分は槍を手にしていた。

このころわたしは戦闘員に言った。
「各自、自分の部下と共にエルサレムの城壁内で夜を過ごしなさい。
 夜は警備に当たり、昼に仕事をしよう。」
わたしも、兄弟も、部下の者も、わたしに従う警備の者も、わたしたちはだれも、
服を脱がずにいて、各自投げ槍を右の手にしていた。

  ネヘミヤ記4:10-17
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ネヘミヤは作業員を二つのグループに分けた。
一つのグループが作業している間、
もう一方のグループが武装して作業をガードした。
作業する者たちにも片手に投げ槍を握らせたり、剣を携帯させたりした。

まさに臨戦態勢である。

ネヘミヤは角笛を吹く者をそばに置いた。
角笛の音が響くと、各持ち場の責任者は
すぐにネヘミヤのもとに集合することになった。
必要があれば素早く集結し、意志統一が図られるようにしたのだ。

この危機的状況においてネヘミヤは
部下とのコミュニケーションを重要視したようだ。

当然、作業効率は落ちたであろうが、彼らは懸命に働いた。
夜明けとともに作業は始まり、星が現れるころまで続いた。

警備は夜間も行われた。
ネヘミヤをはじめ部下たちは夜中でも服を脱がず、
投げ槍を傍らから離さなかった。

徹底した警備体制である。


あなたにはネヘミヤのような、臨機応変に危機に対応する柔軟性があるだろうか?

No.156 ネヘミヤ(7):危機管理

2008-11-26 22:34:03 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
反対者の妨害、従業員の不満、顧客のクレーム・・・、
リーダーは様々なプレッシャーと戦わねばならぬときがある。
対応にまごつくと指導者としての評価を落としかねない。

ネヘミヤの再建工事は順調に進み、城壁は半分の高さまで完成した。
しかし、ここでプロジェクトはトラブルに見舞われる。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
サンバラトとトビヤ、それにアラブ人、アンモン人、アシュドドの市民は、
エルサレムの城壁の再建が進み、破損の修復が始まったと聞いて、大いに怒った。
彼らは皆で共謀してエルサレムに攻め上り、混乱に陥れようとした。
わたしたちはわたしたちの神に祈り、
昼夜彼らに対し、彼らから身を守るために警戒した。

しかし、ユダもこう言うのだった。
「もっこを担ぐ力は弱り 土くれの山はまだ大きい。
 城壁の再建など わたしたちにはできません。」
わたしたちの敵はこう言っていた。
「気づかれず、見つからないように侵入し、
 彼らを打ち殺して、工事をやめさせよう。」
彼らの近くに住むユダの人々がやって来て、十度もわたしたちに、
「あなたたちが戻ると、あらゆるところからわたしたちは攻められます」
と言った。

そこでわたしは城壁外の低い所、むき出しになった所に、
各家族の戦闘員を、剣と槍と弓を持たせて配置した。
わたしは見回して立ち、貴族や役人やその他の戦闘員に言った。
「敵を恐れるな。偉大にして畏るべき主の御名を唱えて、
 兄弟のため、息子のため、娘のため、妻のため、家のために戦え。」

わたしたちが気づき、神がその計略を破られたことを敵が知ったので、
わたしたちは皆、城壁に戻り、それぞれ自分の作業に就いた。

  ネヘミヤ記4:1-9
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

サンバラトとトビヤ。ネヘミヤの城壁再建に批判的な例の反対者らだ。
彼らは再建工事が進むのを見て大いに怒った。
彼らは武力攻撃により混乱を引き起こし、工事を中止させようとした。

その噂が影響したのだろうか、工事に従事する者たちが弱音を吐きだした。
「もっこを担ぐ力は弱り 土くれの山はまだ大きい」、
「わたしたちにはできません」。

近所の住民たちも、それに呼応したかのように工事に対する不満を訴え出した。
住民の抗議行動は十度に及んだ。

プロジェクトはいきなり窮地に陥った。
ネヘミヤは敵、労働者、住民の三方から同時に責められていた。
ピンチである。

どうするネヘミヤ?

ネヘミヤは神に祈り、素早く対応した。

まず彼が取り組んだのは、労働者と住民の安全を確保だった。
外敵の侵入に備え、武器を携えた戦闘員たちを要所に配置することにした。

その後、彼は指導的立場にある者たちを招集した。
彼らを励まし、奮起を促した。
誰のために戦うのか目的を再確認させた。

城壁の空気が一気に引き締まった。
状況の変化を嗅ぎ取った外敵は攻撃を控えざるを得なくなった。

作業に従事する者らはそれぞれの持ち場に戻った。
疲れを感じ始めていた労働者が再奮起したようだ。

ネヘミヤの迅速で的確な危機管理により、再建工事は中止を免れた。


ピンチをチャンスに変えるのも優れたリーダーの資質の一つなのだ。

No.155 ネヘミヤ(6):雑音対処

2008-11-22 13:57:30 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
リーダーの精神状態は全体の士気に影響する。
だが日々様々なストレス要因が襲いかかってくる。
さて、どうするか?

ネヘミヤの城壁再建工事がついにスタートした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
サンバラトは、わたしたちが城壁を建てていると聞いて怒り、激しく憤慨した。
ユダの人々を嘲笑い、彼は仲間とサマリアの兵士を前にして言った。
「この哀れなユダの者どもに、何ができるか。
 修復していけにえをささげるつもりなのか。一日で仕上げようとでもいうのか。
 灰の山から焼け石を拾い出して、生かして使おうとでもいうのか。」
アンモン人のトビヤはそばから言った。
「できたとしても、そんな石垣など、狐が登るだけで崩れてしまうだろう。」

わたしたちの神よ、お聞きください。
このように辱めを受けているのです。
彼らの投げつける侮辱が彼ら自身の頭上に降りかかり、
捕らわれの身となって異国で辱めを受けるようにしてください。
その悪を赦さず、その罪を御前から消し去らないでください。
彼らは再建に励む者を嘲っています。

わたしたちは城壁の再建を始め、その全長にわたって高さの半分まで築いた。
民には働く意欲があった。

  ネヘミヤ記3:33-38
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

城壁の再建に反対するサンバラトとトビヤは、ネヘミヤの再建工事を愚弄した。

「この哀れなユダの者どもに、何ができるか」
「できたとしても、そんな石垣など、狐が登るだけで崩れてしまうだろう」

このような輩は必ず存在するものだ。

とはいえ、必死にプロジェクトに取り組む立場としては、
このような罵詈雑言は決して気分のいいものではない。
全く気にしないというのも無理があろう。

こんなとき指導者はどうするか?

ネヘミヤは神に自分の感情を訴えた。


指導者が落ち込んでいては士気にかかわる。
かといって、自分の気持ちを偽り感情を押し殺しているのは精神的に不健全だ。

感情の整理は指導者にとって大切な作業なのだ。
どこかでしっかりと処理しなければならない。

城壁は順調に半分の高さまで築かれた。
民に働く意欲があったからだ。

サンバラトとトビヤの嫌がらせは奏功しなかったようだ。
ネヘミヤの精神が民に反映されていたともいえよう。


あなたは自分の感情を健全に消化できているだろうか?

No.154 ネヘミヤ(5):適材適所

2008-11-18 20:10:33 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
人事を見れば指導者の力量がわかるという。
どこに誰を配置するかによってチームの生産性は変わってくる。

いよいよ城壁再建プロジェクトは実際の工事段階に突入した。
ネヘミヤは効率よく目標を達成するためにどのような工夫をしたのだろう?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
大祭司エルヤシブは、仲間の祭司と共に羊の門の建築に取りかかり、
それを奉献し、扉を付けた。
次いでハンメアの塔まで、更にハナンエルの塔まで奉献した。
その傍らにはエリコの住民が一方に、
イムリの子ザクルが他方にいて建築に携わった。
魚の門を築き上げたのはハセナアの子らである。
彼らはそれを組み立て、扉と金具とかんぬきを付けた。
彼らの傍らではハコツの孫でウリヤの子であるメレモトが補強に当たり、
またその傍らではメシェザブエルの孫でベレクヤの子であるメシュラムが
補強に当たり、
その傍らではバアナの子ツァドクが補強に当たり、
  ネヘミヤ記3:1-4
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

羊の門から始まり、
その傍らでは・・・、その傍らでは・・・、
続いて・・・、
「ネヘミヤ3章」は、このような記述が延々と続く。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
馬の門の上からは、祭司たちがそれぞれ自分の家の前を補強し、
続いて、イメルの子ツァドクが自分の家の前を補強した。
続いて、東の門の守衛シェカンヤの子シェマヤが補強し、
続いて、シェレムヤの子ハナンヤとツァラフの六男ハヌンが
第二の部分を補強した。
続いて、ベレクヤの子メシュラムが自分の収納庫の前を補強し、
続いて、鋳物師マルキヤがミフカドの門の前にある神殿の使用人と商人の家まで、
また城壁の突端の階上まで補強した。
城壁の突端の階上から羊の門までの間は、鋳物師と商人が補強した。
  ネヘミヤ記3:28-32
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

続いて・・・、続いて・・・、続いて・・・、
とうとう最初の羊の門に到達した。
城壁をぐるりと一周したわけだ。

エルサレムの街を取り囲む城壁。
ネヘミヤはそれを約40の工区に分けた。
そして、それぞれに担当者を割り当てた。

城壁の損壊状態は場所ごとに違っていた。
ネヘミヤは技能やモチベーションを見極めたうえで
人材を適所に配置した。

工事は同時に行われた。
どの工区がはかどっているか、どの部分が遅れているか、
それらは一目瞭然だったに違いない。
互いにいい刺激になったことだろう。

城壁再建プロジェクトは順調な滑り出しを見せた。


御社では役割分担がうまく行われているだろうか?
社員たちは自分の能力を活かす場が与えられ、イキイキと働いているだろうか?

適所に配置し、人を活かすことも経営者の大事な役割である。

No.153 ネヘミヤ(4):プロジェクトへの確信

2008-11-14 23:08:55 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
周囲を動機づける人、
一生懸命語っているのにそっぽを向かれる人。
その違いは何だろう?

いよいよ城壁の再建に取り掛かる時が来た。
工事に携わる人々を前に、ネヘミヤは呼びかけた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
やがてわたしは彼らに言った。
「御覧のとおり、わたしたちは不幸の中であえいでいる。
 エルサレムは荒廃し、城門は焼け落ちたままだ。
 エルサレムの城壁を建て直そうではないか。
 そうすれば、もう恥ずかしいことはない。」
神の御手が恵み深くわたしを守り、
王がわたしに言ってくれた言葉を彼らに告げると、
彼らは「早速、建築に取りかかろう」と応じ、この良い企てに奮い立った。

ところが、ホロニ人サンバラト、アンモン人の僕トビヤ、アラブ人ゲシェムは、
それを聞いてわたしたちを嘲笑い、さげすみ、こう言った。
「お前たちは何をしようとしているのか。王に反逆しようとしているのか。」

そこでわたしは反論した。
「天にいます神御自ら、わたしたちにこの工事を成功させてくださる。
 その僕であるわたしたちは立ち上がって町を再建する。
 あなたたちには、エルサレムの中に領分もなければ、
 それに対する権利も記録もない。」

  ネヘミヤ記2:17-20
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ネヘミヤが人々を前に檄を飛ばすと、彼らは奮い立った。

「早速、建築に取りかかろう」・・・、
人々は駆り立てられていた。

どのようにしてネヘミヤは彼らを動機づけたのだろうか?


さて、ネヘミヤの言葉を聞いた者の中には批判的な者らもいた。
サンバラト、トビヤ、ゲシェムは、ネヘミヤを嘲笑い、さげすみ、罵倒した。

「良い企て」を実行に移そうとすると、必ずと言っていいほど反対者が現れる。
そういうものだ。
ただそれはごく一部だ。皆がそうであるかのように誤解してはならない。

ネヘミヤは毅然とした態度で反論した。
「天にいます神御自ら、わたしたちにこの工事を成功させてくださる」。
「わたしたちは立ち上がって町を再建する」。

ネヘミヤは城壁の再建は天命であるとわきまえていたのだ。


人々を動機づけるリーダーが備えているもの、
それは揺るぎない信念だ。

この仕事は天命であると確信している者には、周りの人たちを巻き込む力がある。

反対者にもたじろがなかったネヘミヤ。
そんな彼の確信がエルサレムの人々を動機づけたのだ。


あなたは現在の仕事に天命を感じているだろうか?

No.152 ネヘミヤ(3):リーダーの現状認識

2008-11-10 22:52:24 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
リーダーの役割とは何だろう?
ネヘミヤ記はリーダーシップの教科書のような本である。

「エルサレムの城壁を再建する」。
強い熱意を胸にエルサレムに乗り込んだネヘミヤ。
彼が現地で最初に取り組んだ仕事とは?

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
わたしはエルサレムに着き、三日間過ごしてから、
夜、わずか数名の者と共に起きて出かけた。
だが、エルサレムで何をすべきかについて、
神がわたしの心に示されたことは、だれにも知らせなかった。
わたしの乗ったもののほか、一頭の動物も引いて行かなかった。

夜中に谷の門を出て、竜の泉の前から糞の門へと巡って、
エルサレムの城壁を調べた。
城壁は破壊され、城門は焼け落ちていた。
更に泉の門から王の池へと行ったが、
わたしの乗っている動物が通る所もないほどであった。
夜のうちに谷に沿って上りながら城壁を調べ、再び谷の門を通って帰った。

役人たちは、わたしがどこに行き、何をしたか知らなかった。
それまでわたしは、ユダの人々にも、祭司にも、貴族にも、役人にも、
工事に携わる他の人々にも、何も知らせてはいなかった。

  ネヘミヤ記2:11-16
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

長旅の末、エルサレムに到着して三日、
いよいよネヘミヤが活動を開始した。

それは隠密行動だった。
夜中、起き上がると、ネヘミヤはかねてから打ち合わせていた数人と落ち合い、
エルサレムを取り囲む城壁の谷の門に向かった。

一行は谷の門を出ると、竜の門、糞の門と巡りながら城壁の状態を調査した。
城壁は無残にも破壊され、それぞれの門が焼失していた。
特に泉の門から王の池にかけては損壊が激しく通行も困難だった。

ネヘミヤは夜中の内に、破損状況を丹念に調べながら城壁を一周すると
再び谷の門を通って宿舎に帰った。
彼のとった行動は誰にも知らされなかった。

ネヘミヤは自分の目で、これから再建工事に取りかかる城壁の状態を確かめた。
ネヘミヤは現状を認識したうえで工事の計画を練ることにしたのだ。
仮に部下が現状とかけ離れた報告をしたとしてもすぐに見破ることができる。
この隠密行動は適材適所の人材配置をも可能にしたのだ。

的確な現状認識なくしてプロジェクトの成功はありえない。

あなたは現場にどれほど精通しているだろうか?
最近、人知れず「城壁を一周」したのはいつだろう?


N0.151 ネヘミヤ(2):プロジェクトの構想

2008-11-06 10:38:07 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
成功するプロジェクトと失敗するプロジェクトの違いは何か?
“Set up to win”
勝利のための準備を入念に行うかどうかで結果はおのずと決まる。

ペルシア王に献酌官として仕えていたユダヤ人ネヘミヤは、
まだ見ぬ故郷エルサレムが荒れ果てた状態にあるのを耳にし、心を痛めた。
彼は、自ら赴き、町の再建に着手する計画を王に願い出た。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
すると王は、「何を望んでいるのか」と言った。
わたしは天にいます神に祈って、王に答えた。
「もしも僕がお心に適い、王にお差し支えがなければ、
わたしをユダに、先祖の墓のある町にお遣わしください。
町を再建したいのでございます。」

王は傍らに座っている王妃と共に、
「旅にはどれほどの時を要するのか。いつ帰れるのか」と尋ねた。
わたしの派遣について王が好意的であったので、
どれほどの期間が必要なのかを説明し、
更に、わたしは王に言った。
「もしもお心に適いますなら、
わたしがユダに行き着くまで、わたしを通過させるようにと、
ユーフラテス西方の長官たちにあてた書状をいただきとうございます。
また、神殿のある都の城門に梁を置くために、
町を取り巻く城壁のためとわたしが入る家のために木材をわたしに与えるように、
と王の森林管理者アサフにあてた書状もいただきとうございます。」
神の御手がわたしを守ってくださったので、王はわたしの願いをかなえてくれた。

こうして、わたしはユーフラテス西方の長官のもとに到着する度に、
王の書状を差し出すことができた。
王はまた将校と騎兵をわたしと共に派遣してくれた。

  ネヘミヤ記2:4-9
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

王はネヘミヤに、「どれほどの時を要するのか」尋ねた。
ネヘミヤに好意を持つ王と王妃がネヘミヤの不在を寂しく思い
聞いたのかもしれない。
あるいは有能な指導者として期限重視の姿勢がここに表れたのかもしれない。
いずれにせよプロジクトを提案する者にとっては本気度を試される問いではある。

ネヘミヤはこの質問に対する答えをすぐに「説明」することができた。
プロジェクトの青写真はネヘミヤの中で既に具体的に構築されていたようだ。

ネヘミヤはプレゼンテーションをしながら、
王が自分の派遣に好意的であると察知した。
(彼は空気を読むのがうまかったみたいだ。)
すると、すかさず更なる要望を王に投げかけた。

ネヘミヤの要求は、
「ユーフラテス西方の長官たちにあてた書状」と
「王の森林管理者アサフにあてた書状」であった。

エルサムまでのスムーズな移動には、
各地域を治める長官たちの協力が必要だった。
また、城壁再建のためには建築用資材を確保する必要があった。
十分な資材と共に無事に現地に到着することを
まずはクリアしなければならなかったのだ。

ネヘミヤの要望はすべて受け入れられた。
その上、ボディーガードまで与えられた。
ネヘミヤは願望の実現に向け、大きく前進した。

詳細で具体的なビジョンには説得力があり人を動かす。

No.150 ネヘミヤ(1):プロジェクトの胎動

2008-11-02 21:30:51 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
今、あなたの内側に去来しているものは何だろう?
湧き起こる感情を無視せず受け止めることは大事なことだ。
そこから新たな力が生じることがある。

ネヘミヤは自分に正直に生き、新たな展開を人生に引き寄せた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ハカルヤの子、ネヘミヤの記録。
第二十年のキスレウの月、わたしが首都スサにいたときのことである。

兄弟の一人ハナニが幾人かの人と連れ立ってユダから来たので、
わたしは捕囚を免れて残っているユダの人々について、
またエルサレムについて彼らに尋ねた。
彼らはこう答えた。
「捕囚の生き残りで、この州に残っている人々は、
大きな不幸の中にあって、恥辱を受けています。
エルサレムの城壁は打ち破られ、城門は焼け落ちたままです。」

これを聞いて、わたしは座り込んで泣き、
幾日も嘆き、食を断ち、天にいます神に祈りをささげた。

  ネヘミヤ記1:1-4
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

先にエルサレムに帰還していた同胞がペルシヤに戻ってきた。
ネヘミヤはエルサレムの様子を彼らに尋ねた。
捕囚の子であるネヘミヤにとってエルサムは、
まだ見ぬ故郷、憧れの都だったのだ。

しかし、彼らの答えはショッキングなものだった。
都の城壁は崩れ落ちたまま野放しにされている。
現地の同胞はみじめで不幸な生活を強いられている。

エルサレムの現実を知ったネヘミヤはその場に座り込んで泣き出した。
彼の嘆きはその後幾日も続いた。
4か月が過ぎた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
アルタクセルクセス王の第二十年、ニサンの月のことであった。

王はぶどう酒を前にし、わたしがぶどう酒を取って、王に差し上げていた。
わたしは王の前で暗い表情をすることはなかったが、
王はわたしに尋ねた。
「暗い表情をしているが、どうかしたのか。
病気ではあるまい。何か心に悩みがあるにちがいない。」

わたしは非常に恐縮して、王に答えた。
「王がとこしえに生き長らえられますように。
わたしがどうして暗い表情をせずにおれましょう。
先祖の墓のある町が荒廃し、城門は火で焼かれたままなのです。」

すると王は、「何を望んでいるのか」と言った。
わたしは天にいます神に祈って、王に答えた。
「もしも僕がお心に適い、王にお差し支えがなければ、
わたしをユダに、先祖の墓のある町にお遣わしください。
町を再建したいのでございます。」

  ネヘミヤ記2:1-5
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ネヘミヤの役職は献酌官、つまり王の身近で仕える立場にあった。
普段は王の前で暗い顔など見せはしないネヘミヤだったが、この日は違った。
心配した王はネヘミヤに語りかけた。
「何か心に悩みがあるにちがいない」。

部下の表情の変化を即座にキャッチし、心の状態に好奇心を持つとは、
この王はよほどの名君であったにちがいない。

ネヘミヤは故郷の惨状を王に訴えた。

王はネヘミヤに問いかけた。
「何を望んでいるのか」。
“What is it you want?”

すかさずこんな問いを投げかけるあたりもさすがだ。

ネヘミヤは神に祈り、こう答えた。
「町を再建したいのでございます」。

ネヘミヤは、自らエルサレムに赴き、町の再建に取り組むことを決意していた。
「エルサレム再建プロジクト」は、ネヘミヤの心の中で既に動き始めていた。

プロジェクトを推し進めるものは何か。

それは・・・、
理想とのギャップに対する嘆き。
現状のままでいることへの怒り。
自分がやらなければという疼き。

皆さんの中では今、どのようなプロジェクトが進行しているのだろう?




No.149 エズラ(2):衣を裂き髪をむしる

2008-10-29 23:58:58 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
問題が発覚したらどうするか?
危機管理のことを言ってはいない。
これは経営者自身の価値観にかかわる問いである。

エルサレムに新たに赴任した指導者エズラは、
先に帰還していた民の状況を耳にした。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
このような事があって後、長たちがわたしのもとに来て、言った。
「イスラエルの民も、祭司も、レビ人も、
 この地の住民から離れようとはしません。
 カナン人、ヘト人、ペリジ人、エブス人、アンモン人、モアブ人、エジプト人、
 アモリ人と同様に行うその住民の忌まわしい行いに従って、
 彼らは、自分のためにも息子たちのためにもこの地の住民の娘を嫁にし、
 聖なる種族はこの地の住民と混じり合うようになりました。
 しかも、長たる者、官職にある者がこの悪事にまず手を染めたのです。」

わたしはこのことを聞いて、
衣とマントを裂き、髪の毛とひげをむしり、ぼう然として座り込んだ。
また、この捕囚の民の悪事に対するイスラエルの神の裁きの言葉を恐れる者は皆、
わたしのもとに集まって来たが、
夕べの献げ物のときまで、わたしはぼう然として座り続けた。

  エズラ記9:1-4
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

先に帰還していたイスラエル人は、現地の住民と平気で婚姻関係を結んでいた。
その「悪事」に最初に手を染めたのは、役職にある者たちだった。

エルサレムに到着したエズラは、その事実を知ると激しく怒り、嘆いた。
彼は着ていた衣とマントを引き裂き、自分の髪の毛とひげをむしり取った。

人々は、裂けた衣とマントをつけたまま、
ショックのあまり夕方までぼう然と座り続けるエズラを見た。

エズラから発せられた悔恨のエネルギーは、会衆に波及した。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
エズラは神殿の前で祈り、涙ながらに罪を告白し、身を伏せていた。
イスラエル人が彼のもとに集まり、
男、女、子供から成る非常に大きな会衆ができた。
この人々も激しく泣いていた。

エラムの一族のエヒエルの子シェカンヤはエズラに言った。
「わたしたちは神に背き、この地の民の中から、異民族の嫁を迎え入れました。
 しかしながら、今でもイスラエルには希望があります。
 今、わたしの主の勧めと、神の御命令を畏れ敬う方々の勧めに従って
 わたしたちは神と契約を結び、その嫁と嫁の産んだ子をすべて離縁いたします。
 律法に従って行われますように。
 お立ちください。あなたにはなすべきことがあります。
 協力いたしますから、断固として行動してください。」

エズラは立ち上がり、レビ人の祭司長、およびイスラエルのすべての人々に
この提言どおり実行することを誓わせると、彼らは誓った。

  エズラ記10:1-5
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

エズラの態度が民を動かした。

彼らは、異民族の嫁と子はすべて離縁するという過激な決意をエズラに申し出た。

リーダーの組織に与える影響力をここに見る。

それまでこの会衆は異民族との婚姻を難なく行っていた。
指導者層が率先してそれを行っていたのだから当り前だ。
ところが、エズラが激しくそれを嘆くと雰囲気が一変してしまったのだった。

組織はリーダーのようになる。

昨今、官民を問わず次々と偽装問題が発覚している。
結局は、指導者自身が不正に対し無感覚であったことにそれは起因するのだ。

あなたはどんな情報に接した時、上着とワイシャツを引き裂き、
髪の毛とひげをむしり取るのだろう?

仮に不正がある場合、そのような態度にならないのであれば、
それは会社の社風となっている可能性が高い。

リーダーの心に社員たちは敏感に反応するのだ。




No.148 エズラ(1):研究、実行、教育

2008-10-25 23:14:41 | エズラ、ネヘミヤ、エステル
会社を変え、社員を奮い立たせる。
その引き金になるのは誰か。
ペルシア帝国からエルサレムに帰還した書記官エズラについて読んでみよう。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
エズラは主の律法を研究して実行し、
イスラエルに掟と法を教えることに専念した。
  エズラ記7:1-10
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

エズラは主の律法の研究者だった。

だが、ただ研究しただけではない。
それを自らの人生で実行していた。

また、実行していただけではない。
人々に教えていた。

何事にせよ研究熱心なのは結構なことだ。
しかし、実践がなければ学者あるいは研究者で終わってしまう。

実行することで学習が深まる。
また、実行することで新たに気づくこともある。

だから、実践者の声には深みと重みがある。
耳を傾けるなら、断然、実践者の話の方が良い。

経営者には勉強熱心な方が多い。
あなたは実践者だろうか。

「御言葉を行う人になりなさい。
 自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはいけません。」
                         (ヤコブの手紙1:22)

実践が伴っている場合、今度は、他人に教えることを考えてみてもいい。
アウトプットすることで学びは更に深まるものだ。
また、あなたの貴重な学習と経験を他人に伝えることは
立派な社会貢献になるだろう。

「自分自身と教えとに気を配りなさい。以上のことをしっかりと守りなさい。
 そうすれば、あなたは自分自身と、
 あなたの言葉を聞く人々とを救うことになります。」
                         (Ⅰテモテ4:16)

エズラは、研究し、実行し、教えた。
このような人材は貴重だ。

この時期、エルサレムでは先に帰還した同胞らが退廃した生活を送っていた。
エズラの高潔さは同胞たちの乱れた世相を後に一変させる。

エズラのような人材には社風を一変させる可能性がある。