好きな音楽を聴きながらやがて日付が変わろうとしている。
〝もうすぐ時計の針は12時を回ろうとしています。今日と明日が出会う時、クロスオーバーイレブン・・・〝
学生時代、ラジオから流れるエンディングロールは心地よいというよりも虚しさをおぼえた。
「次の式が収束することを証明せよ」
数学ゼミの偏屈教授から出された問題に苦しんだ日々を思い出す。
「二つの条件を満たす曲線は二次式以上となることから・・・」
根本的な理屈が理解できていないことを見抜かれ解答を突っ返されること半年。数か月は図書館で答えを求めたり、同級生や他の教授に助けを求めたりと努力をしていたが、やがてその気力も失せ教室から足が遠のいてしまった。
とても苦い思い出。あの失われた6か月でワタシの人生は大きく分岐した。
「もしもあの時・・・それは幸なのか不幸なのか?」
どちらかといえば団塊の世代の手下としてバブルを築き上げてきたワタシタチ。オイルショックやインフレに苦しみながら「夢(バブル)」に向かって我武者羅に走り続けた。
生き延びるためには闘わなければならない。
勝ち取るためには相手以上に努力しなければ失う。
名誉や名声なんて言うものは後から付いて来るもの、そのために少しでも有利なポジションに付かなければ・・・
そしていま半沢直樹からコテンパンにやっつけられているのはワタシタチの世代なのか?しかし残念ながら副頭取や専務などの大物ではない。出世と窓際の岐路に立たされた悲しい戦士だ。
「世のため、人のため」なんていうお人好しでは出世できないという刹那的思想の元、私利私欲を肥やした上司を扱き下ろす半沢次長にロスジェネ達は胸を撫で下ろす。
そういう意味ではあの時右(いや左?)に曲がったワタシは幸せ者だ・・・と夜中にほくそ笑みながらビートルズに酔う。
拝