今日も明日も元気

おやじの本音を綴ります。

スバル

2018-10-25 05:30:34 | 日記
酷い夢だった。
自分の思い通りにならず不貞腐れて喚き散らす父。一旦火がついたら収まらない父の怒りに、普段ならば腫れ物に触らぬように黙り込む妻や恐怖から涙を溜める娘たちが反撃してきた。娘たちは冷やかに無視して離れて行き、妻は夫の愚行を二度と取り返しが効かない罪を犯したと鬼のような形相で断罪した…途方もなくゴツゴツとした道を歩く苦しみから逃れるように目が覚めた。
いつもと変わらぬ布団の温もりに安堵しながら何が夢を招いたのか考えた。深酒したわけでもなく極端に疲れたわけでもない。常から頭を悩ます仕事のことも大きな問題(すなくとも)を抱えているわけでもない。
強いて言うならば大親友の死かもしれない。三十年近い親交があった五歳年上の友が癌との闘病の末、先週急逝した。末期癌の痛みから解放させるために緩和治療が行われることが多いが、そこまで進行しているとは知らなかった私(多くの人がそうであった)は最近まで電話を通じて仕事の話をしていた。友はいつもと変わらず冗談を交えながらいつもと変わらぬ柔らかい声で会話した。早朝に親友の妻から一言「死んだ」と告げられ急いで友のもとへ駆けつけた。その顔は長かった治療の辛さを全く感じさせなずとても穏やかだった。
いつものことだが知人の葬儀の間、自分の死に様を考える。多くの人が死を悼み哀しむ故人の人樣を自分は持ち合わせているのだろうか?遺族となる妻や娘たちは果たして号泣することがあるのだろうか?介護に疲れ果ててその苦しみから解放される安堵で死を喜んでいるのではないか?不謹慎ではあるがいつもそのような事を考えてしまう。
弔辞を頼まれた親友の告別式当日、早朝の星空にスバルを見つけた。友が好きだった谷村の曲が葬儀の式前に流れていた。きっとこのスバルの光があの悪夢を招いたのかもしれない。