Dr. Jason's blog

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知的財産権? -MBAと弁護士達の陰謀-

2005-02-15 | Business
 先般の松下とジャストシステムの係争はちょっとした茶番になっていると思う.
 裁判官がソフトウェアに無知なのに売名のために担当したのか,それともわざとWindowsのAPIには言及しなかったのかは興味のあるところだ.松下も,国内のソフトウェア会社をいじめているヒマがあったら,米国のサブマリン特許や,アジアの新興国での模倣などにもっとエネルギーを割いたほうが良いのではないだろうか?
 知的財産権とは,「特許権,実用新案権,意匠権,商標権の4種の工業所有権に,さらに著作権,トレードシークレット,ノウハウなどを加えたものの総称」とされている.(http://www.furutani.co.jp の用語辞典より引用)しかし,元来,特許/実用新案,意匠/商標,著作権とは,それぞれ全く異なる背景から生まれた社会的メカニズムとそれを守るための法律である.
 そもそも,ソフトウェアが特許の対象に適しているかどうかから見直すべきではないだろうか?すくなくとも,ハードウェアとのインターラクションのない,単独のソフトウェアが,他の発明・発見と同等の意味で,特許をの対象であるという意見には同意できない.
 知的財産権に関係する制度の歴史は古く,特許権は13世紀のイギリスの織物技術特許に,著作権は15世紀のドイツの印刷技術の発達に伴う海賊版防止のための複製権として始まっているといわれている.更に国際条約としては,1883年のパリ条約(特許),および,1886年のベルヌ条約(著作権)がその始まりである.1967年の「世界知的所有権機関」WIPO(World Intellectual Property Organization)の設立をきっかけに,複数の異なる権利が,知的財産権として総合化されといわれている.(http://www.jaeic.or.jp/より引用)
 しかし,ビジネスのネタとして「Intellectual property」を,まとめて扱うように考えたのは,たぶん米国の工学部で学び,そのあとMBAを取ったビジネスマンと弁護士たちであろう.
 米国では,工学や理学の修士をとったあとで,MBAをとったり,ロースクールを出て弁護士になるやつらが沢山いる(そもれも,若手ではなく,キャリア20年の弁護士にそのような経歴のやつが沢山いる)のだ.これに対して,日本の弁護士は文系出身者が多く,たまにいても,最新のソフトウェアやネットワークなどの目に見えない分野には疎い場合が少なくない.敵方の弁護士や判事達は,CやJavaのプログラムを書いたり,Linuxなども使っていたりすると思うと,米国のプロパテント政策にやられっぱなしになっているのも無理もないことかもしれない.
 形ばかりの,ロースクールもどきではなく,ちゃんと理学,工学について修士レベルの学位を取ったものを,優先的に弁護士として育成するような社会的なシステムが必要なのではないだろうか?
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