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東京ミッドタウンで能狂言があったので、出かけた。
友枝昭世師の舞囃子「高砂」、野村萬斎師の狂言「棒縛」、シテ塩津哲生師・ワキ宝生閑師の能「船弁慶」と、実力人気共に当代瑞一の役者が揃い、期待満々で行ったのだが、かなり裏切られてしまった。
それぞれの演者は相変わらずの熱演で、唸らせる場面の連続だったのだが、いかんせん舞台環境が最悪だった。遊覧ヘリが、騒音を蹴立てて頻繁に上空を飛び回るのはまぁ仕方ないにしても、能狂言を少しでも理解しているプロデューサなら、こんな酷いことにはならなかったと思う状況が多々あった。
1.観客入れ過ぎ
多分1500人以上の席が埋まっていたと推測するが、やはりせいぜい500人が限界だ。銭儲けも程々にしてくれぃ
2.PA(音響装置)お粗末
ピンマイクの音質なのか、声質が演者の声とは違うものになっていて、おまけに、頻繁に歪み(音割れ)が発生。場内アナウンスが一番綺麗な音だったのは、洒落にもならない。
3.スピーカ配置お粗末
指向性の狭い安物スピーカと、お粗末な配置のお陰で、演者の立ち位置とは関係のない方向から声が聞こえる違和感には、ほとほと参った
4.舞台が低過ぎ
客席は僅かに傾斜しているが、前席の人の頭でほとんど舞台は見えない。多分、満員の観客を想定せずに、舞台の高さを設計している
5.舞台バックが明る過ぎ
ミッドタウンタワーやガーデンテラスなどの照明が明る過ぎて、メッチャ邪魔。消せとは言わないが、演能中だけでも照度を落とす位の配慮が欲しい
結論を言えば、1500人以上も入れようとしたのが、間違いの始まりと思う。能楽堂での能狂言を既に知っている人はいいが、初めて鑑賞した人には、能狂言の面白さや醍醐味は全く伝わらずに、「アラ」ばかりが目に付いたことだろう。二度と能狂言に行こうなんて思わないかもしれないし、能狂言の裾野を拡げるどころか、逆に裾野をチョン切ってしまったように思う。
一千万円程度の売り上げがあった筈だが、それでこの程度の設備とは、企画制作会社の良心を疑ってしまう。今年が二回目だそうだが、もう止めてくれませんか?
主催の産経新聞社って、こんなお粗末な状態だったのを知っているのかネ?
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