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和泉の日記。

気が向いたときに、ちょっとだけ。

あとがき。

2014-07-31 16:43:07 | いつもの日記。
丸一年ぶりになるSS「被害妄想」でした。

一年ぶりに書いた作品がこれ!?
酷いな!

と自分で思っております。
オチとかねーし。
そんなもん期待されても困るし。

ああ、平常運転だなあ、と思っていただければ何より。

要するに、
「暑くなってきましたね。体調には気をつけましょう」
と言いたかっただけの作品です。
暑中お見舞い申し上げます。

ブランクはすげー感じましたね。
何か、どう書いていいのか分からないような。
何回か推敲したほうがいいんじゃねーかという、
ガラにもないことを思いました。
推敲嫌い。

ともあれ、またボチボチ書けるようになるといいな。

【SS】被害妄想

2014-07-31 16:36:14 | 小説。
街灯もまばらな夜道を歩く。
時計の針は21時丁度を指してた。

熱帯夜。
今日も肌に浮かぶじっとりとした汗で、スーツが体にまとわりつく。
不快だ。
あたしは、この不快感を拭い去ろうと足早に家路を急ぐ。

ああ、気持ちが悪い。
この不快は――きっと気温や湿度だけではない。
そう、見られている。
視線を感じる。
誰か分からないが、じっとあたしを見つめる視線。
気持ち悪い。
キモチワルイ――。

これは男の視線だ。
粗野で横暴で乱雑な、男の視線。
あたしは確信していた。

きっと男は、あたしを殺してしまうつもりなのだ。
鋭利な刃物で背後からぐさりと一突き。
そのまま刃物を捻り、あたしのはらわたをグチャグチャにする。
一度引き抜き、今度はまた違う場所を刺す。
刺す。
刺し殺す。

夥しい出血は、不快な汗に混じり、あたしの境界線を曖昧にする。
男はそんなあたしの血に塗れ、嬉しそうに嗤うのだ。

周囲は、そんなあたしに気付くこともなく、いつも通りに廻る。
小さな殺人に構っている暇などない。
カツカツと音を立てながら、次の日の予定にでも思いを巡らせているのだ。

ああ、何と矮小なのだろう!
あたしという存在は、あってもなくても同じことなのだ。
激痛にのたうちまわりながら、絶望する。

血は止まらない。
道路に染み出し、側溝へと流れこむ。
やがて雨が降り、その痕跡さえもなくしていくのだ。

あたしを刺した男もいつの間にか消えている。
まるで最初からいなかったように。
あたしが、最初から一人で狂人を演じているかのように。

いや、あたしはおかしくない。
狂ってなどいない。
何故ならば、これは全て妄想だと分かっているから。
全てはあたしの被害妄想にすぎないのだから。

ただ、視線を感じることは間違いなかった。
これも嘘なら、あたしはいよいよ狂人と区別がつかなくなってしまう。

ああ、暑い。
不快だ。
視線を感じる――。