京の話題

12000年以上続いた「平安京」の文化・寺社仏閣・お祭り等を紹介します。

日本で最大の神事、20年に一度の「式年遷宮」は今年・10月2日ですもう一度考えてみます。

2013-10-01 08:12:49 | うんちく・小ネタ

6月5日夜のNHK番組「歴史ヒストリア」で式年遷宮の特集をしていました、以下NHKでの付けたしと、もう一度、この「式年遷宮」について考えてみたいとおもいます。最近盛んに「近鉄」でせんでんしています。

伊勢神宮のご祭神はもちろん、神様の最高位の「天照大神」です。(神様にも勿論順番があります)

 今年、平成25年10月は20年に一度の「伊勢神宮」で日本で最大の神事「式年遷宮」(しきねんせんぐう)が行われます。

伊勢神宮の神域に入る「五十鈴川」に架かる、「宇治橋」

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伊勢神宮(内宮)に流れる神なる川・五十鈴川の御手洗場(ここで手を清めて、内宮に参拝します)

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20年に一度で今回は第62回目です。この数字から何年まえからこの神事が行われているかと解かります。「歴史ヒストリア」で放送していたように「伊勢神宮」は日本で形ある最古の神社で「壬申の乱」(天武天皇元年・西暦672年)の後に、第40代「天武天皇」とそのお妃、第41代「持統天皇」がお造りになった「御宮社」で、その「内宮」を20年に一度、すぐ横に全く同じ新しい「御神殿」を建ててそっくり「御祭神」や新しい「装飾品」を移動する、大変な神事です。その時に費やす檜の御神木を一万数千本使用し、その木は木曽から切り出します。

内宮(皇大神宮)※伊勢神宮の内宮は特に「皇大神宮」よ呼ばれます

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内宮本殿の入口(ここから先は一歩たりとも入れません)

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 以上までは、NHKの「歴史ヒストリア」にて放送されていました。20年前に建てられたて取り壊される御神木の一番太い柱は「伊勢神宮」の「五十鈴川」に架かる「宇治橋」の「大鳥居」になります。「五十鈴川」は神宮の「内宮」を流れる神聖な川で、そこは神域への入り口となる「宇治橋」が架かり、そのその前後は巨大な「大鳥居」が立っています。参拝者は必ずこの「大鳥居」をくぐって「内宮」の神域に入ります。

 ではその後、20年前の古い「御正殿」の檜の、材木はどうなるのでしょう。その運命を聞いた人は驚くと思います。

 20年前の「御正殿」の「棟持柱」(むなもちばしら)から建てられた「宇治橋」の前後に建つ「大鳥居」

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「御正殿」とは、それぞれ神宮の「内宮」と「外宮」の中心となるお宮の御建物で、そこは「御神体」が納められています。「御正殿」の「棟持柱」は、湿気などの水分の重みで「御屋根」が下ってきたときに、支える左右二本の柱で、「神宮」の「御神殿」に使われる木材のなかで特に重要な柱です。

 「棟持柱」は20年間使用した後、鉋(かんな)をかけられて少しは細く短くなり新品同様となって、「宇治橋」の「大鳥居」として甦り、さらに20年間使用されます。「宇治橋」の外側の鳥居に使われるのが「外宮」の「御正殿」の「棟持柱」で、内側の鳥居に使われているのが「内宮」の「御正殿」の「棟持柱」です。参拝者は「御正殿」に近づく事ができないため、また直接見ることもできなため(もちろん天下のNHKでもカメラを持ち込む事は出来ません)しかし、お役目を終えて鳥居になると、その禁断の御用材に誰でも接することが出来ます。

 しかも「宇治橋」の「大鳥居」は20年後、再び鉋をかけられてまた少し細く短くなり、今度は「桑名市」「亀山市」で伊勢国の入口の鳥居としてまた20年間使用されます。この時点で木材は60年経過しています。さらに、鉋をかけられて、次は全国の神社に「御神木」として分けられ、これを拝領した神社は再び鳥居や社殿の材料として、朽ちるまで大切に使われます。

 この日本で最も重要な祭りが20年に一度行われる「式年遷宮」です。「内宮」と「外宮」をはじめとする「御正殿」や主なお宮とそれらに付随する鳥居や板垣など、そして1500点以上の夥しい数の「御装束神宝」が新しく作りなおされます。「式年遷宮」に必要な檜は約一万三千本が用いられるため、「式年遷宮」が森林破壊をしていると思いがちですが、全くの逆です。

手入れをしない森林は、根が腐り、ますます朽ち果てます。樹木は大木になると代謝が低下して光合成能力が落ちます。そのために、二酸化炭素の吸収力と酸素の発生量が低下するからです。また、大木を伐採することで、その周辺に太陽の光がよく届くようになり、新たな木を育てることになります。間伐して樹木を育てて、大木を一定の割合で伐採することは、森林破壊でなく、むしろ森を再生することになります。

木は成長する過程で、二酸化炭素を多いに吸収し貯蔵するため、木は二酸化炭素の貯蔵庫になります。木を燃やす時に発生する二酸化炭素は、その木が成長する過程で吸収した二酸化炭素がいっせいに大気に戻された結果です。一方、伐採されて木材として利用されると、朽ちる過程で二酸化炭素をゆっくりと大気に戻します。そのため、二酸化炭素と酸素の収支を考えると、木を木材に換えて長時間使用すること実に理にかなっています。

「昭和四年度御遷宮絵巻」

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 1300年以上、途切れも無く続いたこの「式年遷宮」は、結果として森を再生させることになります。神なる木を畏れながら大切に利用する「式年遷宮」の仕組みに、自然を破壊することなく、むしろ、自然に優しく接し、循環する典型が、昔からの日本人の自然に対し、神を守る「和」の知恵があった神事が、まさに「式年遷宮」がその象徴と思います。

※誤記が有りました、修正済みです。