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早大卒なのに年収200万円。努力が報われない40代女性の人生

2024年09月20日 21時05分22秒 | 雇用と職のこと
輝かしい未来を見据えて猛勉強。努力が実って難関大学に入学、卒業し“高学歴”という肩書を得たにもかかわらず低収入に陥っている人がいる。なぜエリート街道から外れてしまったのか。早稲田大学卒業も、現在の年収200万円になった40代女性を取材。言うに言えぬ低収入の理由とその背景に迫る!

狙うは常に「トップ」も息切れ。レールを外れ、転職に次ぐ転職


早稲田大卒の太田みさえさん(仮名・42歳)

 早稲田大学第一文学部卒の太田みさえさん(仮名・42歳)は、就職氷河期真っただ中に大手銀行に一般職として入行、20代半ばで結婚と幸せな人生を送ってきたが、あるとき風向きが変わった。 

「第1子の育児休暇の終盤に第2子の妊娠が判明し、立て続けに産休に入る形に。職場の人からは『給料だけもらえていいね』と疎まれました。銀行員時代の月収は手取り20万円程度でしたが、年功序列である程度昇給は見込めたはず。でも気まずいし、後輩に職階を抜かれた恥ずかしさもあり、そのまま退職しました」 

 育児が落ち着いてきたころ、大手企業勤めで共働き志向の強い両親から「そろそろ働けば」と促されて再就職を決意。これまでの人生の成功体験から、彼女自身も再就職でキャリアアップできるとタカをくくっていたが……。 

「復帰1社目、2社目の会社では昇給が叶わず、どちらも3年で辞めました。資格やスキルを身につけてこなかったので仕方ないですが、どこでも一番下からのスタートになることが、ふと受け入れられなくなる時期が来るんです。それが3年なんだと思います」  
   

学歴に絡めた嫌みに魂は悲鳴

  彼女より低学歴でも有能な人と比較されることも多く、「早稲田で何を学んできたんだ」など学歴に絡めた嫌みに魂は悲鳴を上げる。 「いい大学、いい企業に入れば安定した人生を送れると信じ、勉強を頑張り、現役で早稲田に入りました。それなのに当時の努力は報われないなってつくづく思います」



現在の年収は200万円
  現在の仕事は、保険の外交員。契約ノルマを達成できなかった月の最低保証額はわずか5万円で、年収も200万円程度。 「ノルマもキツいし、交通費も自腹で正直生活も苦しいけど、この年で業界トップクラスの企業の正社員になれた喜びのほうが大きいので、なんとか続けられています」  
   

大学時代は「トップ」にこだわる人生だった
  大学時代はファッションにお金を使い、所属していたサークルでは幹部の男性を彼氏にするなど「トップ」にこだわる人生だったという。  一旦レールから外れると再就職では簡単には戻れない現実がある。


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テイラー・スウィフトの「ハリス支持」表明から24時間で動いた40万人の「未登録者」層

2024年09月20日 18時05分56秒 | 文化と芸能







テイラー・スウィフトの「ハリス支持」表明から24時間で動いた40万人の「未登録者」層 ファンが語る「リベラルと保守両方にアピールし得る影響力」
9/19(木) 7:02配信




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AERA dot.
「カマラ・ハリス支持」を表明したテイラー・スウィフト(写真/アフロ)


 11月の米大統領選に向け、歌手のテイラー・スウィフトが「カマラ・ハリス支持」を表明した。情勢に大きな影響を与えると見られるこの動き、米国のテイラー・ファンはどう受け止めたのかを取材した。


【写真】テイラーが「ハリス支持」を表明した画像


*  *  *


「この声明、かなり綿密に計算されたタイミングで発表された感じ」


 ミシガン大学の4年生で21歳のオリビア・ケインは、テイラー・スウィフトが、9月10日の大統領選ディベートTV放映の直後に、インスタグラム上で「カマラ・ハリス支持」を表明したのを見て、そう感じた。中学生の頃からテイラー・スウィフトの曲を聴いて育ったケインは、今年5月にフランスのパリで行われたスウィフトのコンサートに米国から飛行機に乗って駆けつけたほどの大ファンだ。


 ケインは、ドナルド・トランプ陣営が、生成AIによって加工を施されたスウィフトやファンたちの画像をSNS上に掲載し、あたかも、テイラー・スウィフト本人がトランプを支持しているかのようにネット上で演出していたのを見て、驚愕し、憤慨した。テイラー・ファンたちの間では「なぜテイラーはAI加工された自分の顔写真を勝手に利用したトランプ陣営を法廷で訴えないのか。こんな行為をされても沈黙したままで、なぜ反論しないのか」という疑問の声がかなり出ていた。


 だが、ケインは、今年8月にオーストリアのウィーンで開催予定だったスウィフトのコンサートが「テロ攻撃計画」を受けて中止になった事件が、全てを変えたのだと分析する。


「自分だけでなく、ファンの命も狙われる可能性があるとわかった以上、テイラーはかつてないレベルで自分の行動に慎重にならざるを得なかったはず。だから批判されても長い間、沈黙していたのだと思う」


 そしてハリス支持を表明するのに、最も安全なタイミングを計算した結果、ディベート終了の直後との判断を下したのだろう、と語る。


 ボストン在住の臨床心理士で、心理学者でもある35歳のクリス・サーピーも、大のテイラー・ファンだ。「1989」のアルバムが一番好きだと語る。彼女は、スウィフトが「ハリス支持」を表明した24時間以内に、40万人以上が、スウィフトがインスタ上に張ったリンク経由で「有権者登録」手続きをうながす政府サイトを訪れた社会現象を、複雑な気持ちで見つめていた。


「セレブリティが自分のプラットフォームを使って、民主主義をポジティブな方向に動かしていくのは好ましいこと。でもその一方で、セレブに言われなきゃ動かない人がこれだけ多いというのもちょっと悲しい。この切羽詰まった時期に、まだ有権者登録をしていなかった市民がこれだけ多数いた、ということは、もしテイラーが呼びかけなければ、貴重な票が無駄になっていた可能性もあるわけだから」


 一方、大学生のケインは、政治に無関心な人々に「有権者登録」をさせるのが、どれだけ至難の業か、実体験から骨身にしみて知っているだけに、40万人がスウィフトによって登録をうながすサイトに誘導されたという事実の重さをかみしめた。


 ケインは高校3年生だったコロナ禍中に、地元政治の行方に強い危機感を抱き、出身地であるニューヨークの路上に立ち、民主党の地元候補者のボランティアとして、市民に有権者登録をよびかける活動をした。「道行く人々に『有権者登録しませんか?』と呼びかけても『ニューヨークはどうせ民主党が強いんだから、自分ひとりぐらい投票しなくても結果に影響ないから』と多くの人に素通りされてしまった」と言う。


 アメリカでは有権者登録をしない米国市民は選挙で投票できない。それが実は結構なハードルなのだ。


 では、ハリス陣営がのどから手が出るほど欲しいであろう「トランプ支持者だけどテイラーが好き」という人の票や「トランプかハリスか迷っている」という人の票の行方は、このスウィフトの「支持声明」によって影響を受けるのだろうか?


 ケインとサーピーは「トランプかハリスかの選択で迷っている人を、自分の周囲ではひとりも見たことがない」と言う。


 また、サーピーは昨年、ミズーリ州のカンザスシティーで開催されたスウィフトのコンサートを観に行った時のことをこう説明した。


「ミズーリ州は言わずと知れた共和党の牙城。つまり政治的には真っ赤な保守の土地。この地に住んでいた私はそれを当然熟知している。でも、テイラーのコンサート会場内では、トランプ支持者っぽい人は見かけなかった。もしかしたら、私のアンテナが鈍いだけかもしれないけど、テイラー・ファンたちの中にトランプ支持者が存在するのか、謎」


 その会場内では、ファン同士がフレンドシップ・ブレスレットを交換し合う光景が見られ、後にスウィフトの恋人となるNFLアメリカンフットボールチーム「カンザスシティー・チーフス」の選手、トラヴィス・ケルシーが、この会場で、スウィフト本人にフレンドシップ・ブレスレットを手渡していたとも伝えられている。


 サーピーは会場の様子をこう語る。


「多くの米国でのテイラーのコンサートは、白人女性の観客が大多数。はっきり言って人種の多様性はそれほどなく、均質な集団で、その点はあまりいいことではないなと思う。ただ、ファン同士の仲は良く、非常に楽しくて和気あいあいとした安心できる空間であることは確か」


 そう語るサーピー自身も白人女性だ。


「テイラーの恋人の選択に多くのトランプ支持者たちが驚愕して真っ青になっていたのが印象的だった。これ以上なくアメリカ的で、愛国的という形容詞さえ似合ってしまうカップルだけに、保守派は自分の領域に、リベラルなテイラーが突然土足で入ってきたように脅威を感じたはず」


 だが、カリフォルニア在住で71歳の歌手のキャシー・ロックスは、やや違った見方をしている。


「テイラーが育った土地は南部のテネシー州。南部の歴史は、壮絶な黒人差別の歴史でもある。1950年代に生まれた私にはその当時の記憶が鮮明にある。そんな中で、テイラーは南部の良心の部分を体現してきた典型例。しかも彼女の歌手としての出発点はカントリー・ミュージックだったことを抜きには語れない」


 保守派と親和性が高いカントリー・ミュージックというジャンルで人気を得て活躍し、その後、世界的なポップスターへとキャリアの変遷を経てきたスウィフト。


 カントリー・ミュージックを聴くのが好きで、公立高校や大学のスポーツ行事に招かれて、アメリカ国歌を観客の前で歌ってきた歌手のロックスにとって、スウィフトがリベラルと保守派の両方にアピールし得る最大の魅力とは、コロナ禍中、コミュニティーのフードバンクに多額の寄付をしたりするなど「自分が得た名声や金銭を人々のために使おうと行動してきた利他行為」だと言う。


 カトリック教徒の両親の元、4人きょうだいと共に育ったロックスは、1970年代に自分が同性愛者であることを告白すると、世間からさまざまな差別を受けた。ストレス解消のためにお酒に稼ぎを注ぎ込んだ結果、「ベビーブーマー世代でありながら不動産を購入しそこない、月1400ドルの賃貸アパートでギャングの襲撃も時には起きるような地域に住んでいる」とジョーク交じりに自虐的に語る。


「だから、今の若い世代が、物価の高騰に悲鳴を上げ、いくら働いても家を買えない苦しい生活で政治的無気力に陥ってしまう気持ちが、手に取るようにわかる」


 ロックスは、ケインやサーピーと同様、白人女性だが、スウィフトのコンサートチケットを買う金銭的余裕はない。だが、スウィフトのドキュメンタリー映像を見て、その中で、過去にスウィフトが、トランプ支持者から批判を浴びせられるとしても、自分の政治信条を明確に主張したいと発言していたことに感化されたと語る。


 また、10代の頃からスウィフトの音楽に浸ってきたというサーピーは「ネット上のリベンジポルノ」というインターネット社会の深刻な問題を題材に司法心理学の研究をし、博士号を取得した。さらに臨床心理の専門家としても、これまで、さまざまなトラウマを抱える患者たちと向き合ってきた。 


 そんな彼女がスウィフトに惹かれるのは「自分で詞を書き、音楽を作ったアルバムの原盤権を失うというかなり精神的につらい目に遭っても、新たにアルバムを録音し直すというど根性を見せ、自分の尊厳を失わなかったところ」だと言い、また「今後、生成AI画像などのフェイク画像で受けた被害に対し、もし彼女が本気で訴訟を起こしたら、今後の重要な判例になり得る闘いをしそうな予感がして、多くの同様の犠牲者を救う法律の制定に繋がるのではないか」と期待もしている。


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 スウィフトのハリス支持表明という後押しによって、ハリスはトランプに勝てると思うか?ーーという質問に、マサチューセッツ州ボストン在住のサーピーは「その可能性はあると思う」と答える一方、ミシガン州という激戦地に住むケインは「テイラーのハリス支持が勝利の決め手になることはない。民主党にエネルギーを注入する効果はあるけど」と即答した。


 コロナ禍中、高校の授業がリモートで行われる中、毎日スウィフトの音楽を聴いて慰められ、喜びと希望を忘れずにすんだと語るケインは「テイラーのコンサートに行くとファン同士の連帯を強く感じられて、政治的に分断された世の中の現状とは全く違った景色が見える」と語る。  


 その一方で、ケインは、ガザに住むパレスチナ人たちがイスラエルからの爆撃を受け、すでに大量の死者が出ていることに、スウィフトが沈黙していることには失望した気持ちを抱いてもいる、と吐露した。


 サーピーも、スウィフトのファンならばスウィフトがすることを全て肯定すべきという崇拝型のファンとは自分は一線を画している、と言う。


「いくらスターであっても彼女はあくまでひとりの人間。どんなにフォロワー数が多くても、巨万の富を手にしていても、ひとりの女性であることには変わりなく、女性が発言すれば、男性が発言するのとは全く違ったレベルのとんでもないバッシングを受ける。今回で言えば、たとえばイーロン・マスクは早速、性的脅しと取れるメッセージをテイラーに対してX上で掲載した。テイラーがそれに恐怖を感じないわけがなく、彼女が批判を受けずに呼吸ができる日は1日たりともないはず。それでも自分が持つパワーを使って世の中を変えようとする彼女に、私は共感する。私は猫ではなく、犬派だけど、同じ子どものいない女性として連帯したい」と語った。


(在米ジャーナリスト・長野美穂)




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日本では太平洋は日の出の海ですが、対岸のカリフォルニアでは日没の海です

2024年09月20日 17時05分26秒 | 天候のこと
日本では太平洋は日が昇る海です。
対岸のカリフォルニアでは太平洋に日が沈みます。
初めて見たときはなんとも不思議な光景でしたね

しかし、夜までいると怖い場所ですから、これで妥協です。








8/5/2023
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京都で隣人から「うちの前に車を停めてもええで」と言われても絶対に停めてはダメな理由 

2024年09月20日 15時03分29秒 | 社会のことなど

京都で隣人から「うちの前に車を停めてもええで」と言われても絶対に停めてはダメな理由 地元の不動産会社が教える「古都」のホンネと建て前
(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース 




京都で隣人から「うちの前に車を停めてもええで」と言われても絶対に停めてはダメな理由 地元の不動産会社が教える「古都」のホンネと建て前

8/15(火) 11:02配信2023

デイリー新潮
“京都の人は何を尋ねても笑顔で答えてくれる”
誰もが一度は住んでみたいと思う古都の風景


<京都への移住に関心を持つ首都圏の若者が増えている>。こんな書き出しから始まる記事が京都新聞に載ったのは6月14日のことだ。記事は、東京で開催された京都への移住希望者を対象とするイベントなどに触れ、とりわけ若者を中心とした“移住熱”の高まりを指摘する。そして、背景には<新型コロナの影響でテレワークが進んだことや都会暮らしへの疑問、子育てをする上で自然環境を求める意識>があると報じている。


【写真】京都・夏の街角スナップ どこを切り取っても絵になる街である


「京都移住への関心は間違いなく高まっていると感じます。ただ、京都には長い歴史に基づいた、独特な文化や慣習、物の考え方が根づいています。その点をきちんと理解せずに引っ越すと、近隣で浮いた存在になってしまうこともあるのです」


 そう語るのは株式会社洛斗コーポレーション代表で、一級建築士の畑尚樹さんである。同社は京都を拠点に戸建てやマンションの設計・改築を手がけ、不動産業に加えて京町家をリノベーションした一棟貸しのゲストハウスビジネスも展開している。


 そんな京都に根を張る“不動産のプロ”のところにも、ここ最近、「投資目的ではなく、京都への移住を前提にした問い合わせが少なくない」そうだ。では、なぜ京都が“移住先”として人気を博しているのだろうか。


「やはり、多くの人が“古都”という響きに憧れを抱いているのだと思います。よく耳にするのは、学生時代に修学旅行で京都を訪れた方が、大人になって再訪して“やっぱり京都はいいなぁ”と惹かれるパターンですね。たしかに、京都には風情のある綺麗な街並みや神社仏閣、祇園祭といった他の地域では味わえない文化的な要素が目白押し。東京とは違って、都会でありながら、自然や田舎の感じもほどよく残っている。しかも、観光で訪れると、京都の人は何を尋ねても笑顔で答えてくれるので“一度は住んでみたい”と思っていただいているようです」


「どっからきはったん?」
 だが、本当に京都移住を目指そうとすると、数えきれないほど多くの“落とし穴”が待ち受けているのだ。観光で足を運ぶことと、実際に住むことの間に、京都ほど大きな落差がある街も他にあるまい。


 畑さんによれば、移住希望者がまず気を付けるべきは、京都人の「ホンネ」だという。


「京都人が“何を尋ねても笑顔を答えてくれる”のは、あくまでも観光客向けの顔と心得るべきですね。一定期間のお付き合いは笑顔で済ませても、隣に引っ越して来るとなれば話は別。ちょっとしたやり取りの行き違いで、相手の態度が数日前までとは全く変わってしまうこともあります」


 たとえば、京都に家を建てるため、ご近所にあいさつへ訪れたとしよう。隣家の住人の第一声は「どっからきはったん?」。この時、京都府内の別の場所から越してきたのならともかく、“東京から来ました”などと嬉しそうに答えると、「なんで、わざわざ京都にきはったん?」と白けた雰囲気になることもあるという。さらに、「東京は便利でよかったんですが、京都の落ち着いた雰囲気に憧れまして……」などというのは避けた方がいい。「こんな不便なとこに、わざわざ遠くからすんませんなぁ」と返されるのがオチだからだ。


大事なのは、決して“ふるさと自慢”をしないことです。京都人の物差しは“京都かそれ以外か”なので、引っ越す前の街について聞かれたら、枕詞に“京都にはかないませんけど”をつけて端的に回答するのが正解です。そうして上手く立ち回ると、“ええ人え”といった評判が町内に出回ることになります。ちなみに、うちの会社には先祖の代から京都に住み続けて7代目の女性スタッフがいるのですが、彼女によれば、同じ京都でも伏見から京都市内に引っ越すと“遠いところからよくきはって”と言われるそうです」



何よりも大事な近隣へのあいさつ
 なんとも気を遣うやり取りの連続……。移住希望者だけでなく、京都で建築や改築に携わる畑さんの会社も地元でのコミュニケーションにこそ神経を使うのだという。


「東京の人が京都の町家を買って、うちの会社がリノベーションを請け負った場合、工事前には私たちも近所へのあいさつ回りをします。その際、我々が“京都の会社”だと説明すると安心してもらえる。それは京都人のホンネを理解しているからです」


 畑さんは、京都への移住を希望する人には地元に通じた不動産業者と関係を築くことを勧める。それも、京都生まれ京都育ちの担当者が望ましいそうだ。


「できれば物件探しもネットではなく、地場の不動産屋に相談するのがいいですね。担当者には、京都人が何よりも重視する近隣への“あいさつ”にも付き合ってもらう。最初のやり取りに失敗すると、その後もずっと気まずい状態を引きずってしまいます。一方、京都育ちの担当者が同行すると、咄嗟の反応や受け答えに京都人らしさが滲み出るので、相手も心を開きやすいんです」


警察に通報されることも
 それに加えて、“ホンネ”を汲み取ることも重要だ。


「たとえば、建築工事の資材を積んだトラックの停車場所を探している時に、隣家の人から“うちの前に停めてもらってもええで”と言われたとします。しかし、絶対に停めてはいけません。この言葉を額面通りに受け取ると“常識がない”と判断されてしまう。それどころか、警察に通報されることもあります。そうした言葉は社交辞令と受け流し、とにかく近隣に迷惑をかけないように配慮すると、“さすが京都の業者さんやわ”と言われるようになるんです」


 ここまでの話を聞くと、軽い気持ちで京都への“移住”を口にするのは許されないと思えてくる。だが、畑さんは次のように語るのだ。


「京都人は、観光客や移住者を含めて外から人が入ってくることを嫌がっているわけではないんです。むしろ、本心では外の人と喋りたいし、仲よくしたいと考えている人が多いと思います。ただ、“角が立たないようにコミュニケーションを取ること”を京都人がとても大事にしているという点は理解してほしい。移住してすぐに受け入れてもらおうとするのではなく、まずはほどよい距離感で生活してみる。その積み重ねによって周囲が徐々に警戒心を解いていけば、“地蔵盆”など地元の行事に招かれるようになるはずです。それに、最初は大変かもしれませんが、京都に移住したのをきっかけに日常生活の中で細やかな気配りを身につけてしまえば、その後のビジネスシーンなどにもきっと活かせると思いますよ。おススメです」


 なるほど、結論として京都への移住はおススメということらしい。いずれにしても、長い歴史のある街で受け入れてもらうには、それなりに時間をかけるべきということか。


「そうですね。3代くらい住み続けたらかなり警戒心も解けると思います(笑)」



 京都、おそるべしである。


デイリー新潮編集部















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徒然草 第百八十八段

2024年09月20日 13時00分51秒 | 文化と芸能

徒然草 第百八十八段


>一生のうちにすべきことを見つけ、よく考え、一番大切だと思うことを決め、他は全部捨ててしまおう。一つに没頭するのだ


現代語訳



9・8・2021

 ある人が息子を坊さんにさせようと思い、「勉強をして世を理解し、有り難い話の語り部にでもなって、ご飯を食べなさい」と言った。息子は言われたとおり、有り難い話の語り部になるべく、最初に乗馬スクールへ通った。

「車や運転手を持つことができない身分で、講演を依頼され、馬で迎えが来た時に、尻が桃のようにフラフラしていたら恥かしい」と思ったからだ。次に「講演の二次会で、酒を勧められた際に、坊主が何の芸もできなかったら、高い金を払っているパトロンも情けない気持ちになるだろう」と思って、カラオケ教室に通った。この二つの芸が熟練の域に達すると、もっと極めたくなり、ますます修行に勤しんだ。そのうちに、有り難い話の勉強をする時間もなくなって、定年を迎えることになった。

 この坊さんだけでなく、世の中の人は、だいたいこんなものである。若い頃は様々な分野に精力旺盛で、「立派になって未来を切り開き、芸達者でもありたい」と、輝かしいビジョンを描いている。けれども、理想を掲げるばかりで、実際は目先の事を片付けるのに精一杯になり、時間だけは容赦なく過ぎていく。結局、何もできないまま、気がついた頃には老人になっていたりする。何かの名人にもなれず、思い描いた未来は瓦解し、後悔をしても取り返しようもない年齢だ。衰弱とは、坂道を滑り降りる自転車と同じである。

 だから、一生のうちにすべきことを見つけ、よく考え、一番大切だと思うことを決め、他は全部捨ててしまおう。一つに没頭するのだ。一日、一時間の間に、仕事はいくらでも増えてくる。少しでも役立ちそうなものにだけ手を付けて、他は捨てるしかない。大事なことだけ急いでやるに越したことはない。どれもこれもと溜め込めば、八方塞がりになるだけだ。

 例えば、オセロをする人が、一手でも有利になるよう、相手の先手を取り、利益の少ない場所は捨て、大きな利益を得るのと同じ事だ。三つのコマを捨て、十のコマを増やすのは簡単なことである。しかし、十のコマを捨てて十一の利益を拾うことは至難の業だ。一コマでも有利な場所に力を注がなくてはならないのだが、十コマまで増えてしまうと惜しく感じて、もっと多く増やせる場所へと切り替えられなくなる。「これも捨てないで、あれも取ろう」などと思っているうちに、あれもこれも無くなってしまうのが世の常だ。

 京都の住人が、東山に急用があり、すでに到着していたとしても、西山に行った方が利益があると気がついたら、さっさと門を出て西山に行くべきだ。「折角ここまで来たのだから、用事を済ませ、あれを言っておこう。日取りも決まってないから、西山のことは帰ってから考えよう」と考えるから、一時の面倒が、一生の怠惰となるのだ。しっかり用心すべし。

  一つの事を追及しようと思ったら、他が駄目でも悩む必要は無い。他人に馬鹿にされても気にするな。全てを犠牲にしないと、一つの事をやり遂げられないのだ。ある集会で、「ますほの薄・まそほの薄というのがある。渡辺橋に住む聖人が、このことをよく知っている」と言う話題になった。その場にいた登蓮法師が聞いて、雨が降るにも関わらず、「雨合羽や傘はありませんか?
 貸して下さい。その薄のことを聞くために渡辺橋の聖人の所へ行ってきます」と言った。「随分せっかちですな。雨が止んでからにすればよいではないか」と、皆で説得したところ、登蓮法師は、「とんでもないことを言いなさるな。人の命は雨上がりを待たない。私が死に、聖人が亡くなったら、薄のことを聞けなくなってしまう」と言ったきり、一目散に飛び出して、薄の話を伝授された。あり得ないぐらいに貴重な話だ。「出前迅速、商売繁盛」と『論語』にも書いてある。この薄の話を知りたいように、ある人の息子も、世を理解することだけを考えねばならなかったのだ。


原文

 或(ある)者、子を法師になして、「学問して因果(いんぐわ)の理(ことわり)をも知り、説経(せつきやう)などして世渡るたづきともせよ」と言ひければ、教のまゝに、説経師にならんために、先づ、馬に乗り習ひけり。輿(こし)・車は持たぬ身の、導師(だうし)に請(しやう)ぜられん時、馬など迎(むか)へにおこせたらんに、桃尻(ももじり)にて落ちなんは、心憂(う)かるべしと思ひけり。次に、仏事の後(のち)、酒など勧(すす)むる事あらんに、法師の無下(むげ)に能(のう)なきは、檀那(だんな)すさまじく思ふべしとて、早歌(はやうた)といふことを習ひけり。二つのわざ、やうやう境(さかひ)に入(い)りければ、いよいよよくしたく覚えて嗜(たしな)みけるほどに、説経習うべき隙なくて、年寄りにけり。

 この法師のみにもあらず、世間(せけん)の人、なべて、この事あり。若きほどは、諸事につけて、身を立て、大きなる道をも成(じやう)じ、能(のう)をも附(つ)き、学問をもせんと、行末久しくあらます事ども心には懸けながら、世を長閑(のどか)に思ひて打ち怠りつゝ、先づ、差し当りたる、目の前の事のみに紛れて、月日を送れば、事々成(な)す事なくして、身は老いぬ。終に、物の上手にもならず、思ひしやうに身をも持たず、悔(く)ゆれども取り返さるゝ齢(よはひ)ならねば、走りて坂を下る輪(わ)の如くに衰へ行く。

 されば、一生の中、むねとあらまほしからん事の中に、いづれか勝るとよく思ひ比(くら)べて、第一の事を案じ定めて、その外(ほか)は思ひ捨てて、一事(いちじ)を励むべし。一日の中(うち)、一時の中にも、数多(あまた)の事の来(きた)らん中に、少しも益(やく)の勝らん事を営みて、その外(ほか)をば打ち捨てて、大事を急ぐべきなり。何方(いづかた)をも捨てじと心に取り持ちては、一事も成(な)るべからず。

 例へば、碁(ご)を打つ人、一手(ひとて)も徒(いたづ)らにせず、人に先立ちて、小を捨て大に就くが如し。それにとりて、三つの石を捨てて、十の石に就くことは易(やす)し。十を捨てて、十一に就くことは難し。一つなりとも勝らん方(かた)へこそ就くべきを、十まで成(な)りぬれば、惜しく覚えて、多く勝らぬ石には換へ難し。これをも捨てず、かれをも取らんと思ふ心に、かれをも得ず、これをも失ふべき道なり。

 京に住む人、急ぎて東山(ひがしやま)に用ありて、既に行き着きたりとも、西山(にしやま)に行きてその益(やく)勝るべき事を思ひ得たらば、門(かど)より帰りて西山へ行くべきなり。「此所まで来着きぬれば、この事をば先づ言ひてん。日を指さぬ事なれば、西山の事は帰りてまたこそ思ひ立ため」と思ふ故に、一時の懈怠(けだい)、即ち一生の懈怠となる。これを恐るべし。

  一事を必ず成(な)さんと思はば、他の事の破るゝをも傷むべからず、人の嘲(あざけ)りをも恥(は)づべからず。万事に換へずしては、一(いつ)の大事成るべからず。人の数多ありける中にて、或者、「ますほの薄(すすき)、まそほの薄など言ふ事あり。渡辺(わたのべ)の聖(ひじり)、この事を伝へ知りたり」と語りけるを、登蓮法師(とうれんほふし)、その座に侍(はべ)りけるが、聞きて、雨の降りけるに、「蓑(みの)・笠(かさ)やある。貸し給へ。かの薄(すすき)の事習(なら)ひに、渡辺の聖(ひじり)のがり尋(たづ)ね罷(まか)らん」と言ひけるを、「余りに物騒がし。雨止みてこそ」と人の言ひければ、「無下(むげ)の事をも仰(おほ)せらるゝものかな。人の命は雨の晴れ間(ま)をも待つものかは。我も死に、聖も失(う)せなば、尋ね聞きてんや」とて、走り出(い)でて行きつゝ、習ひ侍(はべ)りにけりと申し伝へたるこそ、ゆゝしく、有難う覚(おぼ)ゆれ。「敏(と)き時(とき)は、則(すなは)ち功あり」とぞ、論語と云ふ文(ふみ)にも侍(はべ)るなる。この薄(すすき)をいぶかしく思ひけるやうに、一大事の因縁(いんねん)をぞ思ふべかりける。




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