夜行観覧車 (双葉文庫) | |
湊 かなえ | |
双葉社 |
今回は、湊かなえ『夜行観覧車』を紹介します。物語としては高級住宅地のひばりヶ丘に住んでいる高橋さんの夫(高橋弘幸)を妻(淳子)が殺したという話です。この後、高橋家の3人の子供と遠藤家の3人の家族、小島さと子がどう感じたかということを描きたいのかなと思います。最終的な結論についてはまあ妥協の範囲でしょうね。真相についてはその家族だけが知っていればいいわけですから。
あらすじにも書いてあるので、誰が殺したのかというのは明白ですね。犯人捜しを目的にしているわけでなく、殺人が起きた時の周りの印象というのが面白いところでしょう。ミステリーもサスペンス要素もないです。
ここに出てくる登場人物に共感する者はいなかったです。みんな自己中です。自己中で、他人のことに鈍感すぎるからこそ、人を傷つけているという意識に欠けるのですね。お互いもっとコミュニケーションを取れればよかったんでしょうけど、それって何か起こってから考えることなのかもしれないですね。
リミッターが外れたら、何かあった時にこういうセンセーショナルなことが起きるのかなとは思うんです。人を殺すのはよっぽどのことがない限りそういう風に思わないんだけど、我慢の限界を超えた時どうなるのかというのはわからないわけです。