邪魔〈下〉 (講談社文庫)奥田 英朗講談社このアイテムの詳細を見る |
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今回は、奥田英朗『邪魔〈下〉』を紹介します。下巻になって、どんどん追い詰められていく及川夫妻といった感じだろうか。恭子の立場になって考えてみると、なんでろくでもない夫のために自分が落ちていかなければならないのかという風に思うだろう。恭子の子供を守らないといけないという気持ちが強いので、今の生活を保つために自分が何とかしないといけないという風に思ったのだろう。
久野は、火災事故の犯人を挙げたいと思っている。それと同時にヤクザとつながった同僚の花村との確執や警察内部の確執とも闘っているように思える。また、7年前に最愛の妻を事故でなくしているという現実とも闘っているように思える。
最後の結論は、少しあっけないなという感じだった。久野と及川夫妻のからみがもう少しあってもいいのかなと思った。
奥田氏の小説は伊良部シリーズみたいに軽い気持ちで読めるものが多いが、『邪魔』や『最悪』のような重厚なミステリーも新しく上梓してほしいなと思うのは私だけではないと思う。