答えは現場にあり!技術屋日記

還暦過ぎの土木技術者のオジさんが、悪戦苦闘七転八倒で生きる日々の泣き笑いをつづるブログ。

2024年06月04日 | ちょっと考えたこと

いわく「ド天然」またいわく「ド正論」。他にも「どストレート」や「どハマリ」などなど。近ごろの巷には、「ど」を頭につける表現があふれている。

いや、名詞や形容詞の前につけて強調の意味を込める「ど」という接頭詞は、今に始まったものではない。いわく「ど根性」またいわく「ど真ん中」。他にも「どケチ」や「ド素人」、「どえらい」「どでかい」「どぎつい」「ど派手」などなど。

もともとは、近世以来の上方俗語であるらしい。二十歳前後という若い時分に大阪ぐらしをしていたぼくにとっては、馴染み深いものである。
しかし、近ごろのこの氾濫は、いささか「ど」が過ぎているような気がして、どこかで苦々しく感じていた。そしてそれは、最近の風潮だとばかり思っていた。そして、それへのアンチを表そうとしてこの稿を書くことを思いついた。

で、その論を補強するべく調べていくうちに、おもしろい文献を見つけたのである。

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どということば、すべての発語なり、たとへば、きちがいを、どきちがい、ぬす人を、どぬすびと、こじきを、どこじき、ひつこい(しつこい)というを、どびつこい、というたぐい、いくらもあるべし、余はおしてしるべし。
(『新撰大阪詞大全』(天保12、1841年)
(原本は旧仮名遣いで書かれているので現代仮名遣いに変更した)
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どうやらごく最近に限ったことではなかったらしい。
少なくとも大阪では、「ド当たり前」に使われていたようだ。
その用法の「ど」が過ぎているかのように思えた接頭詞「ど」も、近年の関西弁浸透の余波と考えれば、当然のなりゆきだろう。
ただ、その言い回しが上品か下品かといえばそれはまた別の話。「ど」が過ぎた「ど」は、どうにも下品でぼくはキライだ。
もっとも、そういうオマエは上品なのかよ、と言われれば黙って笑うしかないのだが。

コメント
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