答えは現場にあり!技術屋日記

還暦過ぎの土木技術者のオジさんが、悪戦苦闘七転八倒で生きる日々の泣き笑いをつづるブログ。

諦めがわるい男

2024年08月02日 | ちょっと考えたこと

このごろは、あたらしい現場の3次元お絵かきをしているのですが、自分で言うのもなんなのですけれど、「やっとここまで来れたな」と、少しばかり感慨深げなのです。そして、「つくづく時間がかかる男だな」と、我ながら可笑しくもあります。といっても、それほど大したレベルにあるわけではありません。どころかむしろ技術的には、まったく大したことがないと言った方が適切なぐらいのレベルでしょう。それでも「やっと」なのですから、あとの言葉が「つくづく」となるのです。

かつて、〈3次元〉の必要性と重要度に気づいたぼくが、まず最初に起こしたアクションは、外部講師を招いての社内研修である『グーグルスケッチアップの基礎』講座でした(当時はGoogleだったのです)。2011年の夏、今からちょうど13年前のことです。
その実習講座は、ぼくの目論見に反して、参加者8名のうち1名だけが可能性を見せたのに対し、ぼくを含めた残る7名はまったくの期待薄。それほどかんたんなものではないのだなと思い知らされた日だったのですが、その1名が、それから会社のBIM/CIM(当時そんな言葉はこれっぽっちもなかったのですが)をリードしていったのを思えば、失敗に終わったかなと感じたそのささやかな試みは、じつはその後につづく大きな一歩だったと捉えるべきでしょう。

ぼくはといえば、「使い方の可能性を探るのがオレの役割で、テクニカルな部分の習得は若い人たちがやればいい」と会社内外で公言していましたが、じつのところそれは、半分は真の想いだったにしても、あとの半分は、できない自分を誤魔化すための屁理屈だったはずです。


元来があきらめやすい人間です。じつの親にも、ちいさい頃から「熱しやすくて冷めやすい」と評されていました。「だから長続きしない」とも。
その評価にはずいぶんと反発をしたものですが、今となって思い起こせば、まことに正当かつ適切なものでした。さすがだとシャッポを脱ぐしかありません。

そんなぼくが、なぜだかこれだけはあきらめなかった。というか、どうしてもあきらめ切れなかった。ですからときには水面下で、またときには大っぴらにマスターしようとしてきました。その道の達人に直接教えてもらったことも一度や二度ではありません。テキストもいくつか買いました。参考にしたウエブサイトも多数あります。

ところが、如何せん能力がない。いや、そうは認めたくないが、そう認めざるを得ない現実に、何度も天を仰いで嘆息したものです。しかし、あきらめ切れなかった。その経緯の一つひとつを詳らかにするほど覚えてはいないのですが、牛のように、ゆっくり歩いては立ち止まり、立ち止まってはまたゆっくり歩きをつづけているうちに、気がつけば、「なんとかまあまあ」というぐらいのレベルにはたどり着いたようです。
ところがこれは、何より効率を重んじるビジネスの世界では非常によくない。〈時間対効果〉を指標にすれば、自慢げに語れるような資格はまったくありません。しかし、すでに鬼籍に入って久しい両親に、「やればできるぞオレだって」と胸を張るほどではないにしても、小鼻をふくらませて主張するぐらいのことはしてもよいかなとは思います。

そして、いつか彼彼女らが夢に出てくることがあったら、こう言ってやろうと思っています。
父ちゃん母ちゃん、貴方がたが「熱しやすくて冷めやすく」「あきらめが早い」と思っていた息子は、存外あきらめの悪い男だったのですよと。

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