散日拾遺

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真田十勇士にその人あり

2016-12-30 19:08:40 | 日記

2016年12月30日(金)

 根津甚八が昨日亡くなった。健康を損なっているとは聞いていたが、まだ69歳で残念このうえもない。

 東大の同級生に大蔵省(現・財務省)へ進んだS君という演劇好きがあり、学生時代に彼がマメに誘ってくれたおかげで状況劇場の芝居はけっこう見た。1976-7年頃のことで、それだけに座長の唐十郎に李礼仙、根津甚八らが1978年の大河ドラマ『黄金の日々』に出たときは嬉しかった。これも早く亡くなった川谷拓三が杉谷善住坊役を好演するなど溌剌たる脇役陣が染五郎(当時)の助左をもりたて、マドンナに栗原小巻、竹下景子や夏目雅子の豪華な女優陣、信長役の髙橋幸治と秀吉役の緒形拳が『太閤記』以来10年ぶりに競演したのも話題を呼んだ。根津扮する石川五右衛門が釜ゆでにされる場面は凄絶だった。

 この年末、実は根津が話題にならないかなと思っていた。というのも御存じ『真田丸』がヒットしたからである。何の関係があるかって?根津甚八という名前は真田十勇士のそれだもの。三谷脚本では猿飛佐助しか登場しなかったが、霧隠才蔵に三好清海入道までは僕でも知ってる。続いて三好伊左入道、穴山小助、由利鎌之助、筧十蔵、海野六郎、望月六郎、そして根津甚八だ。新聞によれば本名は根津透(とおる)とあり、姓を生かして真田十勇士から芸名を取ったに違いない。時節に言寄せて、誰かがその由来をインタビューしたりしないかなと、ほのかに期待していたのだ。

 彼が自動車事故を起こしたのは、わが家から400mほどの場所である。それ以来ふっつりと存在を消した。けじめというものだろうが、仕事で償う再起の姿が見たかったとも思う。名優だった。

 

Ω


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