散日拾遺

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「習い性」は名詞にあらず

2016-01-26 13:20:34 | 日記

1月20日(水)

 朝ドラが面白くて、今回また見ている。

 ディーン・フジオカの英語が実にきれいで、そのくせ日本語も自然なので何者かと思っていたら、福島出身の生粋の日本人なんだね。アジア放浪中に香港でモデルデビューし、台湾で俳優業に入ったというから、日本で生まれアジアで育った国際派である。みごと!

 趣味のボクシングのスパーリング風景がまた素人離れしていて、音楽もやるというからよくせき多才な人である。朝日連載中の『春に散る』を映画/ドラマ化するなら、ヒーロー役一押しだ。人生、楽しくて仕方ないだろう。

 良い俳優だけに、脚本も良いものを提供してほしい。彼の扮する五代友厚が、リスクを冒してでも新機軸に挑戦することを止められない自分の性格を、「よくよく私の『ならいしょう』らしい」と自ら評する場面があって、げんなりした。

 「ならいしょう」って、「習い性」のつもりですか?ほかに考えられないよね。だけどこれは「習い、性となる」、つまり習慣がすっかり定着として性格の一部になったという意味で、「習い性」などという名詞はどこにもない・・・はずです。

 「習い性となる」は、英語の "Habit is a second nature." にほぼ相当するとされる。ただし後者の nature は「天性」の意味が強いから、厳密にいえば主張のポイントが違う。前者では「習い」と「性」の相互移行性が前面に出ているのに対して、後者では学習によって養われる「habit」と、天性としての「nature」との対比が顕著である。だから訳としては「習い、性となる」を充てるべきではなく、原文そのままに「習慣は第二の天性」とすべきだ。ナポレオン軍をワーテルローで破ったウェリントンが「冗談じゃない、習慣は天性の10倍だ」と喝破したなどという逸話も、これを踏まえている。

 敬語を全部「される」で片づける悪癖なども、耳に障って仕方がない。

 あ、そうだ。これはNHKとは違う話だが、電車内の公共広告で「防寒対策」について事細かく記したものがあったが、ヘンですよ。「寒さ対策」もしくは「防寒策」だってば。

 


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