2016年8月31日(水)
この夏、ちょっとした御縁があって『統合失調症のひろば』に原稿を寄せることになった。詳しくはいずれ報告するとして、今はその冒頭に書いた一文を転載しておく。前項の学会声明に言寄せた注釈のようなものである。(負傷者数が学会の声明と違っているのは、施設職員2名を勘定するか否かによる。)
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「大変な事件が起きましたね、犯人は正気とは思われません。統合失調症ですか?精神疾患だと責任は問えないんですよね?」
相模原の障害者福祉施設で19人が殺害され、26人が重軽傷を負った事件直後のことです。親しい友人のA君からメールが入りました。たたみかけるような調子の中に、医療関係者として他人事にしてはおけないという切迫感が伝わってきます。A君らしいなと苦笑しながら、しばらく考えて返信を打ちました。
「この事件について、今の段階で確実に言えることはほとんどありません。しかし、逮捕された容疑者が統合失調症ではないことはほぼ断言できます。」
それからまた少し考えて書き足しました。
「すべての患者があらゆる場合に犯罪の責任を免れるわけではありません。本人にはどうしようもない病気のために、本人にはどうしようもない形で犯罪が行われた場合に限って、その限度で責任が減免されるのです。」
送信すると同時にため息が出ました。内科医として日ごろ良心的に診療を続けている、人なつこいA君の笑顔が目の前に浮かびました。
Ω
臨床心理を勉強している私にも大変勉強になります。
そこで、さらに2点 教えていただきたいのですが、
「本人にはどうしようもない病気のために、本人にはどうしようもない形で犯罪が行われた場合に限って、その限度で責任が減免されるのです。」
の場合とは、どんな場合のことを言うのでしょうか?
また、予防策にはどんな事が考えられますか?