散日拾遺

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二十四節気 夏至 / ナツカレクサにカラスビシャク

2023-06-21 14:47:15 | 日記
2023年6月20日(水)

 

 夏至 旧暦五月中気(新暦6月21日頃)
 夏の季節のちょうど真ん中、北半球では昼が最も長くなる日です。
 この頃は梅雨のまっ盛りでもあり、じめじめとした日が続くことも。農家では、田植えの繁忙期にあたります。
 咲きはじめの花菖蒲、雨に映える美しい紫陽花などが目にやさしく、心なごませる時期でもあります。
(『和の暦手帖』P.54-55) 
***
 早くも夏至、このあと盛夏に向かう中で、陽は次第に短くなるのが何としても不思議である。太陽の力は今が極み、暑さを貯めて熟れさせるのは地上の側の事情なのだ。

七十二候
 夏至初候 及東枯(なつかれくさかるる) 新暦6月21日~26日
 夏至次候 菖蒲華(あやめはなさく)   新暦6月27日~7月1日
 夏至末候 半夏生(はんげしょうず)   新暦7月2日~6日

 いやはや、これは調べが要る。
 及東は夏枯草の古名だそうで、草木が繁茂するこの時期に枯れていく草を指すのだという。ウツボグサと呼ばれるものがそれであるらしい。
 ウツボグサ(靫草・空穂草、Prunella vulgaris subsp. asiatica)は、シソ科ウツボグサ属の多年生植物の一種。日当たりのよい山地に自生し、草丈30センチメートルほどで地下茎を伸ばして殖える。夏に紫色の花穂をつけるが、花が終わると褐色に変化して枯れたように見えることから、カコソウ(夏枯草)の別名がある。漢方に使われる薬用植物で、利尿や消炎に用いられる。
 学名の Prunella には扁桃腺炎の意味があり、欧米でも同症の治療に用いられたという。「日本各地、アジア東部に分布する」との別の解説と矛盾するようだが、セイヨウウツボグサなるものの亜種とする記述もあり、大きくは地球上に広く分布する一族らしい。
 そのウツボグサこと夏枯草(カコソウ)が枯れる(ように見える)夏至の候、シソの仲間と言われれば確かにそのように見える。


 半夏のほうは漢方薬で名が売れている。半夏厚朴湯、半夏瀉心湯など。これはカラスビシャクなるものの別名、あるいは乾燥させた根茎を指すのだと。
 カラスビシャク(烏柄杓、Pinellia ternata)はサトイモ科。和名の由来は、仏炎苞とよばれる形状のカラスが使う柄杓に見立てられたもので、「カラスが使う」は「役に立たない」の意味だそうである。旧約の世界から日本の田舎まで、カラスはどうも良い役がもらえない。
 方言の名称が面白い。ヒャクショウナカセ(鹿児島県)、カラスノオキュウ(群馬県)、さらに「ヘソクリ」というのもあり、これは上述の根茎を掘って薬屋に売り、小銭を貯めたところに由来するのだと。
 その姿はこんな具合。博学なブログ主さんは、半夏生(ハンゲショウ)について「夏至から11日目、太陽が黄経100°を通過する日」であり、かつ「カラスビシャク=半夏が生える頃合い」であると紹介してくれている。


 東邦大学のサイトが充実しているが、これは「無断転載禁止」と明記あり。

 野田市のサイトが、これまた熱っぽくまとめている。

 「役に立たない」カラスビシャクにも、ずいぶん愛好家がいるものだ。

Ω
 

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