散日拾遺

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統合か分断か

2020-08-10 06:49:58 | 日記
2020年8月10日(月)
 「核の脅威、地球温暖化、コロナ禍の三つの問題には共通の特徴がある。それは、われわれすべてが当事者であることだ。」

 「今こそ『分断』ではなく『連帯』に向けた行動を選択してほしい。」

 田上市長による長崎平和宣言から。
 前者は若者に向けて、後者は世界の指導者に向けての訴えだが、聞いた直後から頭の中で加工が起き、今朝目覚めたときには以下のように圧縮されていた。

 「三つの課題が共通して突きつける二者択一のテーマ、それはこれらの解決に向けて人類が統合と連帯を果たせるか、それともこれらを処理しようとして人類がいっそうの分断と敵対に陥るか、今後どちらの道を辿るかということだ。」

 正確に反復するという意味では落第だが、市長のお叱りを受けることはあるまいと思う。宣言文は、終末時計がこれまで最短の残り100秒を指す現状を的確に要約し、核の問題とコロナ禍を正しく関連づけてみせた。その反射作用でと言い訳しておく。
 実際、75周年の式典の中継が終わった瞬間から、TV画面はコロナ一色の日常に復帰した。先日来、自治体首長の発信から耳目を離すことができない。各知事がコロナ対策を構想するにあたって、コロナ後を見通しての統合促進を意識しているか、それともコロナから逃げ切りたい一心で分断も敵対も介意しない姿勢なのか、関心はかかってそこにある。
 disappointing な言動が圧倒的に目立つ中で、三村青森県知事の「(帰省を)温かい心で受け入れて」という発言が光った。今このように言うことには並々ならぬ勇気がいる。皮肉なことに、その青森で東京からの帰省者が匿名の投げ文で恫喝される事件が報じられた。投げ文に「知事がテレビで言ってるでしょうが!!知ってるのかよ!!」と書かれてあるのが少々不思議で、こちらに届く情報に依る限り、「知ってない」のは投げ文の主の方である。敵意で一杯になると、情報が目にも耳にも入らないのは人の常というものだ。
 日々、各地で闘いが進行中である。コロナとの闘いよりも深刻な、統合か分断かの闘いである。そんな現状であるからこそ、三村知事の以下の発言に心からの敬意を表する。この引用には、さしたる加工は加わっていないはずだ。

 「適切な感染防止策を実行しているにもかかわらず、感染地域から移動してきたということだけで、帰省者に対して差別的な感情を抱くことが危惧される。一人一人が思いやりの気持ちをもつよう希望する。」

Ω

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