散日拾遺

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20年前の凄すぎるランナー/正岡子規と呉秀三

2018-08-27 09:13:50 | 日記

2018年8月26日(日)

 完全休養、というか終日へたばっていた。蟻の大群が来たら巣に運ばれちゃったかもな。

 女子マラソンを録画で見た。野上恵子アッパレの銀で思い出すのはちょうど20年前、本日解説の高橋尚子の鮮烈デビューである。正しく言えばデビュー戦ではないが、1998年12月6日のこのレースで多くのファンが彼女の凄さを知った、その意味での「デビュー」と言っておく。日本は冬でも常夏のタイ・バンコクはレース中の気温が32℃を超え、当然ながらスローペースの消耗戦になるはずのところ。

 あろうことか高橋はスタート直後から独走の一人旅、25kmまで世界記録のラップを1分以上も上回る驚異の走りを見せる。気温の上昇にはさすがに勝てず30km付近で「失速」したものの、2時間21分47秒は自身のもつ日本記録を4分あまり短縮し世界歴代5位、当時のアジア記録を更新するものだった。

 解説者としては多弁な高橋だが、20年前のことはほとんど語らない。しかしこちらは覚えている。二度びっくりしたのがゴール後のこと、疲れて座り込むでもなく後からゴールする選手を気遣ってかいがいしく世話を焼く姿だった。たいへんな選手が出てきたと思った。その後の世界記録更新よりも五輪の金メダルよりも、この日の衝撃が忘れられない。

 野上選手、2位でゴールの後、走って来た方向を振り向いて丁寧に二度礼をしたね。拍手。

***

 原稿の最終チェックのためにネットを見ていたら、斎藤茂吉に『呉秀三先生』という著書のあることを知った。

 呉秀三(1865-1932)、斎藤茂吉(1882-1953)

 両者のプロフィルと時代を考えれば接点があるのも当然で、何で今まで気づかなかったかと思うぐらいである。さっそく kidle 版で購入し、冒頭を見て驚いた。呉と子規の間に親交があったというのである。

 正岡子規(1867-1902)、なるほどぴったり同時代人だ。

 「「只今は帰りがけに巴里によりて遊居候 その内に帰朝致久振(ひさしぶり)にて御伺申すべく存候 御左右その後いかが被為入候哉 三十四年八月十八 呉秀三」とあり(中略)正岡先生はこの絵ハガキを『仰臥漫録』と簽(せん)した帳面に張りつけて朝な夕なにながめておられたのであった。」(斎藤茂吉『呉秀三先生』kidle 版)

 読み進めるにつれ、さて何が出てくるだろうか。夢野久作(1889-1936)が出てきたらすごいが、まさかね・・・

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