散日拾遺

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帰松補遺: サンザシ/いいえの

2015-11-19 11:11:34 | 日記

2015年11月19日(木)

 今回帰省の少し前、ふと田舎の庭にサンザシを植えてみたいと思った。

 サンザシ(山査子) ・・・ Wiki コピペ

 サンザシ(山査子、学名: Crataegus cuneata)は、バラ科サンザシ属の落葉低木。中国産で、日本にも古くに持ち込まれた。熟すると赤くなる果実は生薬、果実酒、ドライフルーツなどの用途があり、盆栽の素材としても好まれる。

 サンザシや近縁のオオミサンザシ(C. pinnatifida)の干した果実は、生薬名で山査子(さんざし)といい、消化吸収を助ける作用がある。加味平胃散(かみへいいさん)、啓脾湯(けいひとう)などの漢方方剤に使われる。

 近縁種のセイヨウサンザシ(C. oxyacantha)の果実や葉は、ヨーロッパではハーブとして心悸亢進、心筋衰弱などの心臓病に使われる。

 サンザシ酒は甘酸っぱく、一部の中華料理店などでは、中国酒として供されている。ドライフルーツとしては、果実を潰して砂糖や寒天などと混ぜ、棒状に成形して乾燥させたものが多い。中国では「山査子餅」(シャンジャーズビン)として円柱状に成形した後、薄くスライスして10円玉のような形状にしたものが多く、酢豚などの料理に入れたりする。

 果実をそのまま種子抜きして乾燥させ麦芽糖などでコーティングしたものもあり、この場合は含有成分から厚生省認可基準「ビタミンC含有栄養機能食品」の表記ができる。

  

 

 いかし、何でこのタイミングで思いついたんだろう?ひとつは単純なことで、たぶん10月16日の金曜日あたりだったと思うが、診療の帰りに無性に腹が空き、荻窪駅の売店でソイジョイを買って食べた。それにサンザシのドライフルーツが入ってたのである。(ビタC含有?)

 

 

 でもそれだけではない、ふうんこれがサンザシの味かと思った時、サンザシという響きの野趣というか風雅というか、野を渡る風のような、木々のざわめきのような、それだけじゃないな、う~ん…

 わかった!書いていて思いだした!!

 

Hagen:

Rüstig gezecht, bis der Rausch euch zähmt!

Alles den Göttern zu Ehren,

daß gute Ehe sie geben!

ハーゲン:

すっかり酔いの回るまで、飲めや歌えの宴を張れ!

良縁を得るように、神々を言祝ぐ時なのだ

 

Mannen:

Groß Glück und  Heil lacht nun dem Rhein,

da Hagen, der Grimme, so lustig mag sein!

Der Hagedorn stickt nun nicht mehr;

zum Hochzeitrufer ward er bestellt,

家臣たち:

大いなる幸と喜びが、今しもラインに笑いかける

気むずかし屋のハーゲンが、かくも楽しく弾けようとは!

ハーゲドルン(さんざし)も、もう刺しはしまい

めでたい婚礼の仕切り役を、ハーゲン自ら買って出た

 

 ワーグナーの『指環』四部作を締めくくる『神々の黄昏』、大団円間近い2幕3場、グンターの花嫁となるブリュンヒルデを連れてジークフリートが今しもラインに帰還する。それを迎えるハーゲンと家臣たちである。気むずかしい陰謀家のハーゲンの、打って変わった哄笑には訳がある。父アルベリッヒの代からもちこした神々への遺恨を晴らし、指環を取り戻す待ちに待ったこの機会、ハーゲンは婚宴の場でジークフリートを謀殺する企てを胸に秘め、その喜びを抑えかねているのである。

 サンザシはドイツ語で Hagedorn、Hag- には野生の意味があり、Dorn は英語の thorn つまりトゲである。バラの近縁でもあるサンザシ類は、なるほど鋭いトゲを持つ。西洋サンザシは東洋種よりさらにトゲトゲしいかどうか、そこはわからないがヨーロッパ各国語でトゲの別名のように使われているようだ。それを踏まえ、「気むずかし屋のハーゲン Hagen も、もうそのトゲ Hagedorn で刺すことはすまい」というのが歌詞の意味で、この部分は Hagen の野太いバスと、笑いさざめく家臣団のテノールの合唱がものの見事に掛け合って、婚礼への期待をいやがうえにも盛り上げる。

 その実 Hagen は、禍々しい背後からの一突きを周到に準備していた。

 

「暇潰し日記」さんより拝借 (http://iso65000.seesaa.net/article/225168370.html)

 

 『指環』に夢中になった20代から気になっていたのだ。植えてみようかな、サンザシ。

***

 松山空港で592便に乗り込んだ。荷物を頭上のキャビネットに収める間、身をよけてくれた男性に「申し訳ありません」と声をかけると、「いいえの」と滑らかな答えが返ってきた。

 「いいえの」、懐かしい語尾が松山弁である。伊予弁とは言うまい、豫州は長い広がりをもち、言葉も相当にばらつきがある。少なくとも松山周辺では、この語尾を聞くことができる。

 「いいんだよ、気にしないで」、そういう響きを耳が聞き取っている。