散日拾遺

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春分の日/卒業式&卒業式

2014-03-21 08:08:30 | 日記
2014年3月21日(金) 

 春分の日 vernal equinox ~ 漢語でも欧語でも、なかなか意味深い呼び慣わしだ。冬至に最低点まで落ち込んだ太陽の力が回復に向かい、この日に中点を過ぎていよいよ高く昇り始める。春秋の分岐点に「彼岸」を置き、祖霊と対話する時と定めた古人の智恵が思われる。
 キリスト教は、この時に「復活」の知らせを重ねた。考えるだけでゾクゾクする。

 今日は放送大学の卒業式で、僕のところの卒論生も各地から集まってくるんだが、大阪からの夜行バスは高速道路の事故で1時間遅れ、東北新幹線は雪のため大幅遅れだそうで、西も東も難渋している。窓に広がる西の空は見事に晴れ上がって一片の雲もない。
 皆、気をつけておいでなさい、待ってますから。

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 昨日は三男の中学卒業式、晴れ続きのこの日頃に一日だけ、割り込んだ氷雨に降りこめられた。10時の開式前に、東日本大震災から三周年を覚えて黙祷する。沈黙、瞑目。体育館の屋根を打つ雨音が、ひときわ大きく頭の底を打つように感じられる。三周年とは、彼らがここに入学して以来ということでもある。そういう世代なのだ。
 次男のほうは、大学合格発表翌日に震災が起きて入学式が中止になった。入学して最初に経験したことのひとつが、瓦礫処理のボランティアだった。そういう世代である。

 この中学校は区立のナンバースクールで、年々生徒数が減少し今は2クラスしかない。近々、統廃合にかかるのは必至と噂される。規模の小ささからくる覇気のなさを入学時には懸念したのだが、これは良い方向に裏切られた。地域の元気なクソガキどもが、生き生きのびのび毎日ぶつかり、食卓の話題には事欠かなかった。日本の公教育の在り方には首をかしげることが多々あり、あらためて書き留めておきたいけれど、制度は事のたかだか半面でしかない。そこで誰と出会い、どのように出会うかのほうがずっと重要だし、この面において三男は恵まれていた。
 彼は入学式で挨拶し、選挙は名ばかりの御用生徒会長を務め、卒業式でまた挨拶をした。「思ってもないことを、あれだけ感情こめて語れる演技力に脱帽したぜ」と、妙な褒められ方をして悦に入っている。親友のひとりは、サッカーの全国大会出場を目ざして四国の高校に入学する。さらに有望と思われるサッカー少年があり、野球少年がある。雑多で賑やかで、ケンカしながら仲良しである。
 要するに地域の学校なのだ。それが彼には、殊の外よかったと思う。

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