京のおさんぽ

京の宿、石長松菊園・お宿いしちょうに働く個性豊かなスタッフが、四季おりおりに京の街を歩いて綴る徒然草。

飛ばしていこうぜ

2012-10-28 | インポート

 嗚呼、振り返れば、過ぎ去りし今年の時日も、10ヶ月を数えけり。

 もういくつ寝ると、お正月?

 1年の10ヶ月を過ぎれば、余すところ2ヶ月なのが、暦の理。

 2ヶ月なんて、多分、ランチのメニューを決めかねてる間に、過ぎてしまう。

 

 京都はいよいよ紅葉のシーズンを迎えようとしている。

 それに伴い、特別公開などのイベントも、数多く催される予定だ。

 今年の特別公開のラインナップに、安楽寿院というお寺がある。

 11月2日~11日の10日間だけ、普段非公開のこのお寺を拝観できるのである。

 このお寺は、実は今年の大河ドラマと縁のあるお寺で、まあ、そういうことで、公開されるのだろうと思う。

 

 時は平安末期。

 そう、正に平清盛の時代。

 安楽寿院のある地には、鳥羽離宮というものがあった。

 安楽寿院があるのは、今の地名で、京都市伏見区竹田。 

 昔からその辺りは、鳥羽と呼ばれているので、鳥羽離宮。

 離宮は言うまでもなく、皇室の別荘だ。

 造り始めたのは、白河上皇で、完成したのは鳥羽上皇の時代。

 はいはい、大河ドラマで出てきましたねー、と、まあ、そんな感じ。

 

 この鳥羽離宮、今やいくつかの遺蹟を残すのみだが、かつては広大な敷地を誇る離宮だった。

 どのくらい広大かというと、東京ドーム……何個分なのかは、面倒だから計算しない。

 とりあえず、180万㎡とも言われている。

 もう、ちょっと、想像つかない広さだしね。

 

 その敷地の大部分が、実は池になっていて、それに面して、いくつかの建物が配されていた。

 その一つが、東殿と呼ばれる御堂で、それが、安楽寿院である。

 行ってみると、その面影が、まあ、ほとんどない。

 却ってそれが世の無常を思わせるのが良い。

 栄華を誇っていても、いつかは滅びる。

 正に『平家物語』の精神であって、それを思いながら訪ねるのが良い。

 重要文化財に指定された本尊阿弥陀如来は、清盛の同時代、平安末期の作。

 今回、こちらも公開されるので、この機会に見ておいて損はなさそうだ。

 11月3日には、近くの城南宮で、曲水の宴も開かれるので、観光にちょうど良いだろう。

 ちなみに、城南宮も、鳥羽離宮の旧蹟の一つである。

”あいらんど”