『超・人~virtuoso~』というドキュメンタリー番組を毎週録画して見ています。芸術・エンターテインメントから職人技・スポーツまで、様々な分野の超人たちについて、高速度カメラによる撮影などを駆使してその秘密や努力を紹介する番組です。
スポーツに限らないので、あまり興味がない超人が出てくる事もあります。でも時々、知らなかったけどとても面白いと感じた超人もあります。マリンバ奏者、プロクライマー、なわとび選手。ついこの間の砂像彫刻家なんかとても興味深かったかな。
先週は競泳の柴田亜衣選手でした。スイマーで知らぬ人はいないアテネ五輪の女子800m自由形金メダリストです。競泳選手が出演するのはこれで2人め。1人目は去年の9月放送の中西悠子選手(バタフタイ)でした。『フラットなバタフライ。』(2005-11-02)。
ちなみに競泳以外では鈴木絵美子&原田早穂(シンクロナイズドスイミング)、寺内健(飛板飛込選手)などが水泳関係で扱われていました。
さて、今回の柴田選手は自由形の長距離選手。彼女の優れている点は身体が大きく、上半身の力が強く、腕の掻きによる推進力が強い事だそうです。番組では実際に高速度撮影した彼女のストロークをスロー再生して分析。
彼女のストロークは片方の手で水を後ろに押すと同時に、反対の手で遠くの水をキャッチしています。いわゆるコンティニアス・ストローク。水泳以外ではあまり聞かない用語ですが、conntiue+ousで切れ目なく掻き続けるクロールです。
この、左右の手のバランスが柴田選手は完璧なのです。比較としてインターハイ出場レベルの選手の泳ぎが示されましたが、こちらは片方の手を掻き始めてから反対の手が入ってくる。タイミング的には、右手だけ、左手だけで泳いでいるのだそうです。差は歴然とな。
でも、この片手だけになる泳法だってとても速いです。左右の手のぐるぐる回しになるコンティニアスに対してキャッチアップと呼ばれるのが、両手を前方に揃えて片手づつ掻くストローク。説明不要でしょうが、かのイアン・ソープ選手のストロークはキャッチアップ気味です。
これはやはり、選手それぞれに個別の完璧なストロークがあるって事なのだと思います。例えば柴田選手はあまり足を疲れさせない2ビートキック。その分上半身の力が推進力に占める割合も大きいでしょう。一方ソープは裸足でも足ひれ状態の大足でキックの推進力も大きい。泳ぎ方が違っても当然です。
さて、ここからが問題。自分が参考にするとしたらどっちかなぁって話。
以前から何度か書いていますが、僕は基本2ビートキックです。自転車で鍛えて太くなっちゃった足は、6ビートキックではすぐに疲れてしまいます。そうなるとやはり上半身の比重の大きい柴田選手の泳ぎの方が良いのかなぁ。
元々コンティニアス・ストロークしか出来ませんでしたが、最近はこれをキャッチアップ気味に変えるようにしてきました。だって最近の流行ですし(笑)。大きくゆったりと泳ぐにはこの方が良いように思う。でもこれでキックも少なめだと、僕の重い身体はかなり水没気味になります。
今回の番組を見て、レースペースで泳ぐ時はやはりコンティニアスの方が良いように思いました。奇しくも僕は柴田選手と身長もほぼ同じですし(正確には1cm低い)。コンティニアス2ビートでスピードアップを目指すには参考になります。
ただ、超人柴田選手は他にもいくつも速さの秘密を持っています。
1つは速いタイミングの呼吸。右呼吸の映像では左手が入水するタイミングで顔を上げ、右手が水に入る時に顔を沈めています。これは普通の呼吸よりも速めだそうです。小さい動作も呼吸でスムーズに泳げる。さらに速い呼吸はピッチも上げやすい。なるほど。
でもこれは自分がどういうタイミングで呼吸してるかが分からないとお話になりませんね。多分僕も呼吸のタイミングは速いけど、これは単に早く酸素が欲しいから。時々焦って前に顔上げてる時があるぐらいです(爆)。
柴田選手の秘密のもう1つは、水の抵抗が小さいこと。手が水の中に入るときの水飛沫が小さく、波もすぐ消えます。水に対して無駄なエネルギーを使っていない証拠だそうです。先ほどのインターハイ選手と比べて、入水時の水飛沫は低く泳いだ後の波も穏やか小さい。
普段のプールでも時々バシャンバシャンと大きく入水して泳いでる人を見るけど、確かに無駄なエネルギーが多そうです。これは理解出来る。だからと言ってその泳ぎを出来るとは思えないけれど。まあ目指してみる価値はあるよね。
さらに違うのが、掻く腕にほとんど空気の泡が付かないってこと。これは以前Get Sportsで佐藤久佳選手の泳ぎを見た時も似たような事を言っていました。100m自由形で日本人で初めて50秒を切った彼のフォームはハギトモをして理想像の泳ぎとか。『持って生まれた才能。』(2006-03-04)。
彼らの入水した腕は泡を殆ど掴まずに水だけをしっかりと掻きます。これも無駄のない泳ぎが出来ている証拠の一つ。
実は以前から意識してこの泡を掴まないストロークはちょこちょこトライしています。入水角度やスピード、ダウンスィープのタイミング、手の向きや指の開き具合など様々な要素がここにあるのだと思う。色々試してみていますが、全然分かりません。
さらに彼女の泳ぎは、上半身が水面に対して高い位置に保たれて背中にほとんど水がかかっていない。水面に対して身体を高い位置に保つことで抵抗の少ない泳ぎをしているのです。これはほとんどムリ。僕はどちらかと言うと重い身体を沈みがちに泳いでますから。
これらの抵抗の少ない泳ぎは、日本人髄一とも言える練習量の多さから培われた物だそうです。去年見た別の番組(情熱大陸)でも、柴田選手の練習量の多さを言及していて『とにかくたくさん泳ぐから身体が自然と抵抗の少ない泳ぎをするようになる』と言ってました。
今の練習量は変わらず、1日17km。到底想像できません。10km泳いだらもう翌日はヘロヘロだもの。やはり才能だけでなく、それをしっかり活かせる努力をして、あの結果に結びつくわけね。
どうになその努力なしに、あの泳ぎの真似事だけでも出来るようにならないものかしらん。ついついラクしようと考えてたりして。でも道は遠いようです。
ちなみに、番組の後半ではその彼女の努力の裏側とか、メダル以降の現状とかを更に詳細にレポートしておりました。でもそれは真似できることじゃありませんし。技術的な話でもないので、またの機会にということで。
※BS-i 超・人 #64 柴田亜衣 金メダルからの道(公式HP)
火曜日の食事
・朝がコーンフレーク、牛乳。野菜ジュース。
・昼がチョレギ海藻サラダ、オニギリ。
・夜がゴハン、豚肉と鶏肉のまぜまぜ炒め、もやし炒め、サラダ。ビール350ml。
スポーツに限らないので、あまり興味がない超人が出てくる事もあります。でも時々、知らなかったけどとても面白いと感じた超人もあります。マリンバ奏者、プロクライマー、なわとび選手。ついこの間の砂像彫刻家なんかとても興味深かったかな。
先週は競泳の柴田亜衣選手でした。スイマーで知らぬ人はいないアテネ五輪の女子800m自由形金メダリストです。競泳選手が出演するのはこれで2人め。1人目は去年の9月放送の中西悠子選手(バタフタイ)でした。『フラットなバタフライ。』(2005-11-02)。
ちなみに競泳以外では鈴木絵美子&原田早穂(シンクロナイズドスイミング)、寺内健(飛板飛込選手)などが水泳関係で扱われていました。
さて、今回の柴田選手は自由形の長距離選手。彼女の優れている点は身体が大きく、上半身の力が強く、腕の掻きによる推進力が強い事だそうです。番組では実際に高速度撮影した彼女のストロークをスロー再生して分析。
彼女のストロークは片方の手で水を後ろに押すと同時に、反対の手で遠くの水をキャッチしています。いわゆるコンティニアス・ストローク。水泳以外ではあまり聞かない用語ですが、conntiue+ousで切れ目なく掻き続けるクロールです。
この、左右の手のバランスが柴田選手は完璧なのです。比較としてインターハイ出場レベルの選手の泳ぎが示されましたが、こちらは片方の手を掻き始めてから反対の手が入ってくる。タイミング的には、右手だけ、左手だけで泳いでいるのだそうです。差は歴然とな。
でも、この片手だけになる泳法だってとても速いです。左右の手のぐるぐる回しになるコンティニアスに対してキャッチアップと呼ばれるのが、両手を前方に揃えて片手づつ掻くストローク。説明不要でしょうが、かのイアン・ソープ選手のストロークはキャッチアップ気味です。
これはやはり、選手それぞれに個別の完璧なストロークがあるって事なのだと思います。例えば柴田選手はあまり足を疲れさせない2ビートキック。その分上半身の力が推進力に占める割合も大きいでしょう。一方ソープは裸足でも足ひれ状態の大足でキックの推進力も大きい。泳ぎ方が違っても当然です。
さて、ここからが問題。自分が参考にするとしたらどっちかなぁって話。
以前から何度か書いていますが、僕は基本2ビートキックです。自転車で鍛えて太くなっちゃった足は、6ビートキックではすぐに疲れてしまいます。そうなるとやはり上半身の比重の大きい柴田選手の泳ぎの方が良いのかなぁ。
元々コンティニアス・ストロークしか出来ませんでしたが、最近はこれをキャッチアップ気味に変えるようにしてきました。だって最近の流行ですし(笑)。大きくゆったりと泳ぐにはこの方が良いように思う。でもこれでキックも少なめだと、僕の重い身体はかなり水没気味になります。
今回の番組を見て、レースペースで泳ぐ時はやはりコンティニアスの方が良いように思いました。奇しくも僕は柴田選手と身長もほぼ同じですし(正確には1cm低い)。コンティニアス2ビートでスピードアップを目指すには参考になります。
ただ、超人柴田選手は他にもいくつも速さの秘密を持っています。
1つは速いタイミングの呼吸。右呼吸の映像では左手が入水するタイミングで顔を上げ、右手が水に入る時に顔を沈めています。これは普通の呼吸よりも速めだそうです。小さい動作も呼吸でスムーズに泳げる。さらに速い呼吸はピッチも上げやすい。なるほど。
でもこれは自分がどういうタイミングで呼吸してるかが分からないとお話になりませんね。多分僕も呼吸のタイミングは速いけど、これは単に早く酸素が欲しいから。時々焦って前に顔上げてる時があるぐらいです(爆)。
柴田選手の秘密のもう1つは、水の抵抗が小さいこと。手が水の中に入るときの水飛沫が小さく、波もすぐ消えます。水に対して無駄なエネルギーを使っていない証拠だそうです。先ほどのインターハイ選手と比べて、入水時の水飛沫は低く泳いだ後の波も穏やか小さい。
普段のプールでも時々バシャンバシャンと大きく入水して泳いでる人を見るけど、確かに無駄なエネルギーが多そうです。これは理解出来る。だからと言ってその泳ぎを出来るとは思えないけれど。まあ目指してみる価値はあるよね。
さらに違うのが、掻く腕にほとんど空気の泡が付かないってこと。これは以前Get Sportsで佐藤久佳選手の泳ぎを見た時も似たような事を言っていました。100m自由形で日本人で初めて50秒を切った彼のフォームはハギトモをして理想像の泳ぎとか。『持って生まれた才能。』(2006-03-04)。
彼らの入水した腕は泡を殆ど掴まずに水だけをしっかりと掻きます。これも無駄のない泳ぎが出来ている証拠の一つ。
実は以前から意識してこの泡を掴まないストロークはちょこちょこトライしています。入水角度やスピード、ダウンスィープのタイミング、手の向きや指の開き具合など様々な要素がここにあるのだと思う。色々試してみていますが、全然分かりません。
さらに彼女の泳ぎは、上半身が水面に対して高い位置に保たれて背中にほとんど水がかかっていない。水面に対して身体を高い位置に保つことで抵抗の少ない泳ぎをしているのです。これはほとんどムリ。僕はどちらかと言うと重い身体を沈みがちに泳いでますから。
これらの抵抗の少ない泳ぎは、日本人髄一とも言える練習量の多さから培われた物だそうです。去年見た別の番組(情熱大陸)でも、柴田選手の練習量の多さを言及していて『とにかくたくさん泳ぐから身体が自然と抵抗の少ない泳ぎをするようになる』と言ってました。
今の練習量は変わらず、1日17km。到底想像できません。10km泳いだらもう翌日はヘロヘロだもの。やはり才能だけでなく、それをしっかり活かせる努力をして、あの結果に結びつくわけね。
どうになその努力なしに、あの泳ぎの真似事だけでも出来るようにならないものかしらん。ついついラクしようと考えてたりして。でも道は遠いようです。
ちなみに、番組の後半ではその彼女の努力の裏側とか、メダル以降の現状とかを更に詳細にレポートしておりました。でもそれは真似できることじゃありませんし。技術的な話でもないので、またの機会にということで。
※BS-i 超・人 #64 柴田亜衣 金メダルからの道(公式HP)
火曜日の食事
・朝がコーンフレーク、牛乳。野菜ジュース。
・昼がチョレギ海藻サラダ、オニギリ。
・夜がゴハン、豚肉と鶏肉のまぜまぜ炒め、もやし炒め、サラダ。ビール350ml。
それでも上手な人の泳ぎをたくさん見るってのは重要なイメージトレーニングにはなると思います。僕だって自分の泳ぎと引き比べるなんておこがましいレベル。それでも、ほんの少しでも、きっかけのさわりだけでも掴めればくらいのつもりでいます。