以下引用 東京新聞 TOKYO Web 2016年02月16日 http://www.tokyo-np.co.jp/article/metropolitan/list/201602/CK2016021602000188.html
手話の普及を進めるため、手話言語条例を制定する自治体が相次いでいる。関東と静岡の一都七県では、昨年末時点で八自治体。条例が目指すのは「手話を使う人たちが暮らしやすい社会」。手話は、市民生活の中にどこまで浸透しているのだろうか。 (小野理)
茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡の一都七県の自治体で、最も早く条例を制定したのは二〇一四年十二月の神奈川県。昨年十二月制定の千葉県習志野市では、「手話は言語」と定めるだけでなく、障害のない人たちと同じレベルの情報提供を保障する内容も盛り込んだ。
聴覚障害者にとって、病気になったり、災害が起きたりした時などの情報収集に欠かせない手話。全日本ろうあ連盟は「学校の教科として導入してほしい」と、子どものころから手話に親しめる環境づくりを求めている。
通院や災害といった緊急時など、専門的な事柄を円滑にやりとりできる能力を持つ人材は、まだ不足している。厚生労働相が認定する手話通訳士試験の受験者数は、ここ数年ほぼ横ばいで、合格率は多い年で三割ほど。聴力障害者情報文化センターによると、一月末時点の登録者は、七百二十三人の東京をトップに、神奈川三百三十六人、埼玉二百二十一人、千葉百十二人、静岡七十五人、群馬六十一人、茨城三十九人、栃木二十九人と続いている。
通訳士の多くが他の仕事を持っていることもあり、聴覚障害者らが病院や役所を訪れたり、企業で会議をしたりする際、確保できないなどの支障も出ているという。
「手話人口」拡大のきっかけとなりそうなのが、全国レベルで実施されている二つの手話検定。このうち全国手話研修センター(京都市)が主催する全国手話検定の受験者は、少しずつ増えている。首都圏で最多の東京では、一五年度は千人を超え、一三年前と比べ一割増となった。
また、いち早く手話言語条例を制定した自治体では、積極的に手話を学ぼうという動きも出ている。
神奈川県では、まずは地域福祉課職員を中心に業務が始まる前の早朝、ミニ手話講座が開かれ、手話への理解を深めている。
<手話言語条例> 2011年の改正障害者基本法で、手話が言語と位置付けられたことを受け、全国で制定の動きが進む。13年に鳥取県が初めて制定し、現在、全国33自治体で成立している。自治体には必要な施策を講じる責務を課すほか、手話通訳者の充実や、手話を学ぶ機会の確保を求める。
<手話検定> 「全国手話検定」と「手話技能検定」が全国で実施されている。全国手話検定は6段階に分かれ、初歩の5級は簡単なあいさつができるレベル。1級はよどみなく会話ができる能力が求められる。年1回試験があり、次回は10月。問い合わせは、全国手話研修センター=電075(871)9741。手話技能検定は年2回あり、次回は3月(申し込み終了)。問い合わせは、NPO法人手話技能検定協会=電03(5642)3353。
◆記者ひとこと
取材申し込みのため、全日本ろうあ連盟の男性担当者に電話したはずなのに、受話器からはなぜか女性の声。不思議に思いながら、後日、連盟を訪ねると、電話口に出ていたのは手話通訳の女性だったと気が付いた。スムーズな電話でのやりとりを通じ、手話通訳の大切さを実感した。条例制定をきっかけに、聴覚障害者の日常生活について考え、行動する機運が、もっと社会に広がればと思う。
記者ひとことに感動!! 当然なことで、私たちも電話通訳が必要なとき、手話通訳者(士)にお願いしていますね。
手話言語条例をきっかけにして、手話人口が増加することを確信しています。手話が当たり前に思える社会に!