生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

生駒市医師会Q&Aへの反論

2010-02-28 17:16:32 | 日記

 2月11日の日記では、真剣に読む気にもならないと書きましたが、放っておく話でもないと思い改めて生駒市医師会の主張に反論することとしました。


 

生駒市民病院について(Q&A)   (2010-2-10 生駒市医師会)

(Q)医師会は「市民病院」の設置に反対なのか?

(A) 医師会は、生駒総合病院の廃院以来「公的病院」の設立には、当初から

積極的に賛成してきました。

病院には機能に応じて、地域のニーズに対応した政策医療やその他の医療施設の機能を支援・補完できる「公的病院」と「一般病院」の二つに分けられています。

採算性を重視した一般病院は生駒市内の4病院と周辺の協力病院を含めて6病院で機能していて、これ以上の「一般病院」は要りません。

生駒市に本当に必要なのは、

救急医療・小児医療・産科医療・災害時医療など不採算な政策医療をも行える公的病院です。

 

 → 一般病院と公的病院に分けるのは勝手ですが、採算の観点のみで区分けしても全く意味がありません。不採算と言われている政策医療を黒字化もしくは赤字を極力減らすことのできる経営力を生駒市民は求めているのです。

 

(Q)市民病院の指定管理者に「徳洲会病院」が挙げられていますが、なぜ反対なのですか?

     (A) 徳洲会病院は、民間の一般病院です。従って、採算性が重視され、不採算な「政策医療」に手をつけるとは考えられません。

たとえば、幸い今のところ重症のため入院する例が少なくて助かっていますが、インフルエンザの大流行の場合、一般病院では対応できず、公的病院の「県立三室病院・県立奈良病院」に頼らざるを得ないのが現状で、これとて収容能力に限界があります。

徳洲会病院がその役割を果たすとは考えられません。

更に、多額の市民の税金を使って今、不要な「一般病院」を一つ増やすことで、自己資金で賄っている既存の病院との間で不公平を招き、かつ病院間の過当競争にも繋がりその結果「地域医療の破壊」を招くような由々しき問題をおこしかねません。「税金のムダ使い」!!

以上の観点から、公的医療を行う「市民病院」の指定管理者に「民間の一般病院」を指定することには賛成できません。

 
 → 何を言っているのか理解できません。民間病院は採算性を重視するが故に政策医療はやらないと主張するが、きっちりと政策医療もやり利益もあげている民間病院は数多いという現実を医師会さんはどう考えているのでしょうか。

また不公平とか過当競争とかの主張は、医療崩壊からの脱却という市民の切実な願いからは遠くかけ離れた空論でいちいち反論する気には到底なれません。

 

 (Q)政策医療とは?生駒市ではどんな医療が必要です

(A) 国が政策として実施する医療を指し、高度医療を含め不採算を前提としている。これに対置するのが「一般医療」で、採算性を重視する一般の医療機関が分担します。

政策医療は沢山あり具体的に示すことは、案外難しく社会情勢とに変わってくものです。

そのなかから

市内の医療情勢・市民のニーズを取り入れて

現在の生駒市では

緊急・災害時医療 小児医療 産科医療のほか

外来部門では乳腺外来 女性専門外来 老年外来 糖尿病外来

は最低限度必要と考えます。

 

→ 公的病院=不採算部門担当=民間不可(もしくは無理) の思考回路は、何十年か前なら受け入れられたと思いますが、地方財政の厳しいこの時代になっても同じ主張をするのは、時代錯誤としか言いようがありません。

 

以上が生駒市医師会の主張と私の反論です。

3月に生駒市議会が開催されます。生駒市医師会の主張に同調する議員が過半を占めています。これら議員が推していた候補が先般の市長選挙で破れ、山下市長が圧勝しました。一方市民病院の早期開設を求める市民の声も強くなってきていますし、市民の意識も格段に向上してきています。

医師会の主張や反対派(”慎重派”とも称しているようです)議員の主張の欺瞞性を市民の多くは喝破しています。

3月の市議会が市民の気持ちを真剣に受け止めて、市民病院開設関連法案を全員一致で可決して欲しいものです。

 

 

 

 

以上 公的病院=不採算部門担当=民間不可(もしくは無理) の思考回路は、

 

 

 

何十年か前なら受け入れられたと思いますが、地方財政の厳しいこの時代になっても同じ主張をするのは、時代錯誤としか言いようがありません。

 

 

 


多くの貴重なご意見有難うございます

2010-02-26 17:05:44 | 日記

 独断と偏見に満ちたアラ還暦の独り言に対し貴重なご意見を多数頂きました。
きついご指摘もありましたが、今後とも厳しくご指導いただきたいと思います。
 勤務医の過酷な勤務実態や切れかかっている精神状態も披露いただきましたし、市民こそ反省すべきとのご意見も頂きました。その他諸々のご意見も頂きました。今の日本の医療はどうなってしまったのでしょうか。
 個人ベースから業界団体ベースにいたるまで、関係者が不満だらけで、お互いを貶し合っているばかりの異様な状況だと思います。しかしそうした中にあっても、今後のお手本になるような実例が多数あります。病院経営という範疇でもすばらしい医療実績・経営実績を残している病院が多数あります。
 それは崇高な理念と経営力(ゼニカネだけではない)が合致した結果です。勿論医療現場で日々格闘し苦悩している医療人の貢献なくしては語れないことも事実です。

 今日のところは医師会批判はやめておくます。
 これからも私なりに勉強してゆきたいと思いますので、暖かい厳しいご意見をお願いいたします。


奈良県保健医療計画(案)へのパブリックコメント

2010-02-23 12:46:53 | 日記

 先日、奈良県は2年遅れで全国で最後となる保健医療計画の案を公表しました。パブリックコメントを募集していますので、私も意見をメールしました。その内容は以下のとおりです。

 第5節 3.具体的な取組策(救急) についてです。
 「救急患者を断らない医療体制の確立」のため、管制塔機能等々の施策を掲げていらっしゃいます。それはそれで結構なことで、是非とも前向きに進めて頂きたいと思います。 しかし救急を断る根本原因への踏み込みが弱すぎると思いますし、結果 施策も形だけのものになっているように思えてなりません。 二次救急病院が自分のミッションを忘れて、「ベッド満床」とか「医師不在」といった言い訳にもならない言い訳で救急を断る原因は様々ですが、私経験上以下のような理由があると思っています。
1. 救急は赤字で採算が取れない。よって救急は極力やりたくない。
2. 特に、休日や夜間は人手も足りないし、また救急のための人手は置きたくない。 3. そもそも、医師数等もぎりぎりで回しており、救急に人を回す余裕はない。
4. しかし、急性期病院を名乗っている以上、形だけでも救急告示病院の看板は欲しいし補助金も欲しい。
5. 医療過誤が怖い。
6. 当直医師は医局派遣の若手で経験も少なく、救急患者には対応できない。
7. 医師が救急受入を了解しても、看護師他のスタッフが多忙とか何とかで嫌がる。 8. 専門外。指先の火傷 程度なのに、内科医なので処置できない もしくは しない。
9.他諸々の理由。
10.致命的なものは、社会の公器たる意識が無い もしくは希薄なこと。
 こうした様々な理由が複雑に絡み合った結果救急患者のたらい回しが発生するわけですが、こうした根深い理由はそう簡単に解決できるものではありません。 県としての医療体制の確立とは「仏を作る」ことなのでしょうが、「魂を入れる」こととは別の話だと思います。現在の奈良県(全国レベルでも同じですが)の公的病院や民間病院は、社会の公器であるという自覚がないままに、救急の万全受入という社会的使命を放棄しています。こうした現状のお粗末な意識レベルは、そう簡単に改善されるものではなく、結局“仏は作れども魂が入らず”ということになります。そう考えておいたほうが良いと思います。
 そこで少々乱暴な提案をします。性悪説に立った荒療治の話ですので医療界ではご法度かもしれませんが、今が今の酷い状況なのですから県民は理解してくれることと思います。
1. 救急告示病院は、24時間365日対応を原則とする。
2. 輪番病院は互いに協力のうえ、特に圏域内の救急患者は100%受け入れる。 3. 救急告示病院の「救急患者拒否率」を固有名詞で公表する。公表には抵抗があるかと思うがこれくらいのショック療法が必要な状況。少なくとも県の段階で把握する。
4. 拒否率改善を県が指導し、改善が見られない場合は救急告示病院の指定を取り消す。
 以上 独断と偏見の提案ですが、現下の“弛みきって社会的責任を忘れた”救急病院を再生しなければ、そもそもの地域医療崩壊は決して止まりませんし、その再生はあり得ません。 性善説で自主性に任せておくわけにはゆきません。地域医療の末期的状態を憂える一人の県民として申し上げた次第です。今回の計画の実行は待ったなしの最後のチャンスで、この機を逃すと未来永劫地域医療再生はないと思います。私は生駒市の住民ですが、計画中の生駒市民病院はこの医療崩壊を再生へと導いてくれる先導役になって呉れると思っています。


自治体病院の病床稼働率は余りにも低すぎる

2010-02-16 17:04:00 | 日記

 生駒市立病院開設計画にも関係する大切なポイントですので、今日は病床稼働率について頭を整理したいと思います。
入院患者数/許可ベッド数=病床稼働率です。日々、週間、月間、年間等で算出します。病院経営の成否の根幹を成す重要な数字です。
 全国公私病連盟が平成20年度統計実績を公表しています。それによりますと、生駒市立病院(210床)規模の自治体立病院の病床稼動率は、65.4%になっています。一方、私的病院のそれは、74.5%でした。私的病院の稼働率も余り褒められたものではありませんが、65.4%は余りにもお粗末です。平均して、3つに1つのベッドが空いているということです。
 許可ベッドというものは、利用するための公共的性格を有する資本財ですし、満床時を想定した人員を配置しているのです。ハードに掛けたお金も人件費も、3分の1以上が無駄になっているのです。私的病院なら、稼働率低迷し赤字になろうが倒産しようが勝手ですが、自治体病院の場合は、通常設備資金や運転資金に巨額の税金が投入されています。納税者としては、どうぞ勝手に というわけにはゆきません。
 空きベッドの多い理由や様々です。例えば以下のようなものです。
1.入院患者が少ないほうが、現場従事者としては”楽(らく)”
2.患者が多いと仕事が多忙になり、その結果として医療事故が増えるのは避けたい
3.地域医療連携ができていないため、地元医療機関からの紹介が少ない
4.従事者は役人でサービスが悪いので、患者も敢えて自治体病院には入院しない
5.建物が総じて古い
6.患者を集めてまわる営業マンが不在
7.地域医療連携室というものはあるが、退院患者のフォローが中心
一般企業では考えられないようなカルチャーがこうした事態を招いています。
 生駒市では、現在私的病院が4ヶ所稼動していますが、聞くところによると余り稼働率は高くないようです。75%とか精々80%程度ではないかと推測します。そこに新しく市民病院が開設されるわけですから、地元医師会や病院経営者も戦々恐々とするのは当たり前かもしれませんし、市民病院反対の主張もそこから出たものです。
 でも現実をもう一度冷静に見つめてください。30%以上の患者が、生駒市以外の医療機関を受診しているという客観的データです。その理由はここでは触れませんが、市外に流出しているのです。この30%の流出患者を取り戻せばよいのです。市民病院と競合するわけではありません。むしろ市民病院を核とした連携体制を構築し、生駒市の医療機関が全体で患者を支えてゆくことこそが、生駒市の私的医療機関や医師会に望まれることです。その努力の結果として、市民病院も私的病院も90%超の高稼働率になると思います。
ここから地域医療再生が始まります。


日赤病院をお手本にしたい

2010-02-15 17:52:35 | 日記

 生駒市立病院開設案件をめぐって、地元生駒市医師会が民間病院を指定管理者にすることに絶対反対を唱えていることは以前にお話したところです。市民病院のような「公的医療機関」は赤字の政策医療だけを提供すればよい といった趣旨でした。
 では日本赤十字社はどうなのでしょうか。日赤は、日本赤十字社法という法律に基づいた特殊法人で、公的中の公的医療機関です。そこいらの市立病院が足元にも及ばない程の政策医療を行っています。その一方でそこそこの利益も上げています。私の知っている日赤病院の場合も、ベッド稼動は90%を超えていました。
 患者の信頼が高く、外来・入院共に患者が多く、結果として利益も上げている という形です。良い医療を徹底的に追求することが好結果を生んでいるのです。また、多くの入院希望を満たすために、ベッド稼動率を高める努力や在院日数の短縮の努力をしています。そのための後方受入病院や開業医との連携も積極的に行っています。これも利益が上がる大きな要因です。そこには、営利企業のビジネスノウハウも当然ながら取り入れています。こうした日赤と従来型の公的病院を比較してみて下さい。生駒市民はどちらを選びますか。答は明白です。          
 時代錯誤も甚だしい医師会が主張する 旧態依然の「赤字部門特化病院」は、死んでも死に切れないゾンビ公立病院を誰が望むでしょうか。。
 生駒市民病院が、日赤病院レベルとは言わないにしても、「小粒な日赤病院」になってくれれば良いなと思っています。