生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

自治体病院の病床稼働率は余りにも低すぎる

2010-02-16 17:04:00 | 日記

 生駒市立病院開設計画にも関係する大切なポイントですので、今日は病床稼働率について頭を整理したいと思います。
入院患者数/許可ベッド数=病床稼働率です。日々、週間、月間、年間等で算出します。病院経営の成否の根幹を成す重要な数字です。
 全国公私病連盟が平成20年度統計実績を公表しています。それによりますと、生駒市立病院(210床)規模の自治体立病院の病床稼動率は、65.4%になっています。一方、私的病院のそれは、74.5%でした。私的病院の稼働率も余り褒められたものではありませんが、65.4%は余りにもお粗末です。平均して、3つに1つのベッドが空いているということです。
 許可ベッドというものは、利用するための公共的性格を有する資本財ですし、満床時を想定した人員を配置しているのです。ハードに掛けたお金も人件費も、3分の1以上が無駄になっているのです。私的病院なら、稼働率低迷し赤字になろうが倒産しようが勝手ですが、自治体病院の場合は、通常設備資金や運転資金に巨額の税金が投入されています。納税者としては、どうぞ勝手に というわけにはゆきません。
 空きベッドの多い理由や様々です。例えば以下のようなものです。
1.入院患者が少ないほうが、現場従事者としては”楽(らく)”
2.患者が多いと仕事が多忙になり、その結果として医療事故が増えるのは避けたい
3.地域医療連携ができていないため、地元医療機関からの紹介が少ない
4.従事者は役人でサービスが悪いので、患者も敢えて自治体病院には入院しない
5.建物が総じて古い
6.患者を集めてまわる営業マンが不在
7.地域医療連携室というものはあるが、退院患者のフォローが中心
一般企業では考えられないようなカルチャーがこうした事態を招いています。
 生駒市では、現在私的病院が4ヶ所稼動していますが、聞くところによると余り稼働率は高くないようです。75%とか精々80%程度ではないかと推測します。そこに新しく市民病院が開設されるわけですから、地元医師会や病院経営者も戦々恐々とするのは当たり前かもしれませんし、市民病院反対の主張もそこから出たものです。
 でも現実をもう一度冷静に見つめてください。30%以上の患者が、生駒市以外の医療機関を受診しているという客観的データです。その理由はここでは触れませんが、市外に流出しているのです。この30%の流出患者を取り戻せばよいのです。市民病院と競合するわけではありません。むしろ市民病院を核とした連携体制を構築し、生駒市の医療機関が全体で患者を支えてゆくことこそが、生駒市の私的医療機関や医師会に望まれることです。その努力の結果として、市民病院も私的病院も90%超の高稼働率になると思います。
ここから地域医療再生が始まります。


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