去る12月22日、日本医師会が定例記者会見の資料として「公益法人制度改革への対応に関するアンケート 調査結果」なるものを公表しました。
*詳しくは日本医師会HPの定例記者会見資料をご覧ください*
このアンケートは、日本医師会が都道府県医師会(47箇所)と郡市区等医師会(892箇所)に向けて実施したものです。回収数は、それぞれ47箇所(100%)と654箇所(73%)でした。郡市区等医師会の回収率は低いものの、2013年11月をエンドとする公益法人制度改革に対する医師会の苦悩振りが見えて取れます。
2013年11月までに、医師会のような「特例民法法人」は、以下3つのうちの一つを選択することになります。なお、その詳細についてはここでは触れません。医師会としては従来主張してきた「公共性」とか「公益性」が欲しいに違いありませんが、実態はどうもそうではないようです。
1.公益法人
2.非営利型一般法人
3.その他一般法人
今日は、特に身近な地域の医師会である郡市区等医師会(例えば、生駒地区医師会とか生駒市医師会)の動向に焦点を合わせてみようと思います。
アンケート問1:現時点での新制度下における貴会の方向性についてお聞かせください。
回答は次のとおりでした。
①公益社団法人と回答した医師会は46(全体のわずか7%にすぎませんでした)
②非営利型一般社団法人と回答した医師会は367(全体の56%に達しました)
③残りは検討中等でした。
アンケート問1-1:公益社団法人への移行を決めた理由等についてお聞かせ下さい(複数選択可)。
回答は次のとおりでした。
①公益社団法人になることの社会的評価の高さに魅かれたため(63%)
②税制上の優遇に魅力を感じるため(43%)
③一般社団法人への移行では会員の理解を得られないため(9%)
*①②は結構まともな回答ですが、なんせ母数自体が少ないので医師会全体の意見としては極少数
意見でしかありません
アンケート問1-2:非営利型一般社団法人への移行を決めた理由についてお聞かせください(複数選択可)。
回答は次のようなものでした(多いもの順)。
①将来に亘り、継続して公益認定基準を満たせるか不安なため(45%)
②公益社団法人になることのメリットを感じないため(44%)
③認定基準の内、公益目的事業比率を充足できないため(42%)
④公益認定取消し時に財産を失うリスクがあるため(40%)
⑤公益社団法人に比べ、自由に様々な事業を展開できるため(30%)
⑥認定基準の内、収支相償を充足できないため(24%)
というアンケート結果です。私も驚きです。 公益法人を目指す地方医師会が如何に少ないか。その理由もお粗末なこと。
ヒエラルキー構造の頂点に君臨する あの「日本医師会」も、目論見違いに大混乱しているのではないでしょうか。だから、この資料はできれば公表したくなかったに違いありません。
要は、全国の地域の医師会の少なくとも半数以上は(私は最終的に70%以上の出来上がりになると感じています)、自己の利益を守りたいがために「公益」の名を捨てざるをえず一般法人にしかなれないということです。
ここ生駒市でも、市立病院開設計画反対の医師会やそれに同調した市会議員が、医師会の「公益性」や「公共性」を声高に叫びました。また医師会は、「徳洲会を指定管理者とする市立病院とは連携をしない」とも言い切りました。
公益法人の認定を断念せざるをえないようなエゴ丸出しの医師会の主張を、誰が本気で聞き入れるのでしょうか。このアンケート結果からしても、そんな上から目線の発言は失笑を買うだけでしょう。
賢明な市民は見切っています。その見切りの裏づけ資料がこれです。
大半の地域医師会は、これからは「公益」を主張できなくなるのです。
生駒地区医師会や生駒市医師会はどうするのでしょうか。でも、どちらでもよいことです。
公益法人になろうが一般法人になろうが、医師会の実態はこんなものだということは理解していただけたと思います。
今回の公益法人制度改革をきっかけに、その化けの皮が剥がれました。化けの皮の下は単なる「自己利益擁護団体」だったことが万人の目に晒されることになります。
市民にとっては、大変有意義なことであろうと考えます。