生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

有料老人ホーム「類似施設」への危惧(パート2)

2010-08-13 19:47:37 | 日記

7月28日に類似施設の話をしましたが、今日はパート2です。

「類似」という表現は、20年前から使われている言葉です。「擬似」という表現でも同じことです。「類似」施設を放任しておくと、全く似ても似つかないような闇ビジネスを蔓延させてしかねない危惧を改めてお話します。私の実体験に基づいていることで、架空の絵空事ではないことを前もって述べておきます。

老人収容の民間施設は以下3分類できると思います。
 1.有料老人ホーム(老人福祉法上の届出が必要なもの)
 2.類似施設(老人福祉法上の有料老人ホームに類似するが届出は不要)
 3.全くの別物 (これが今日指摘したいもので、裏ビジネスも想定されています)

このビジネススキームは以下のとおりです。
1.寝たきり老人が急増しているが収容できる施設が大幅不足。施設入所できないまま在宅でも面倒見切れない寝たきり老人を、狭いワンルームマンションに入居させる。(必要悪かもしれない)
2.寝たきりなので設備も何も不要。シャワーも不要。古い独身寮の簡易改装で充分。
3.一応「住居」という建前をとるので、あくまで個室の形をとる。
4.訪問診療を受け持つ医者と提携する。(この医者の身元は結構怪しい)
5.訪問介護・訪問看護・調剤薬局と提携する。
6.食事提供は原則しない。というより、食事介助の手間がかからない「胃ろう」留置の老人を入居させる。
7.こうした訪問系サービスを、移動時間を掛けることなく集中的に投入する。
8.その結果老人1人当たり月間サービス料は、50万円~100万円に達する。
9.得た巨額の利益は、入居施設経営者・医者・訪問系事業者等で分け合う。

兵庫県はこうした老人ビジネスには厳しい姿勢で対処しています。京都府や大阪府も結構厳しくなってきています。唯一奈良県だけが寛容な姿勢です。というより、問題点が把握できていない感じです。

裏ビジネスであるかどうかは別にして、こうした「寝たきり老人ビジネス」が急拡大してゆくことです。これに歯止めをどうやって掛けるかです。行政の仕事です。

近隣府県がこうしたビジネスに歯止めを掛けています。ノー天気な奈良県は、草刈場になりかねません。芽は早いうちに摘み取ることが肝心です。

”老人が勝手に住んでいるだけ。事業者としては関知しないこと”、
”有料老人ホーム”ではない。法規制とは無関係”、
”ニーズがあればそれに応える。そのために訪問系サービスを紹介しているだけ”、
と業者は言い逃れをします。

しかしこうしたビジネスは、弱者を食い物にした悪徳ビジネスであり、貧困ビジネスの最たるものかもしれません。供給サービス不足を利用した悪徳ビジネスで、一片の正義もありません。

事業者からの行政訴訟の対象になるかもしれませんが、正義は正義です。奈良県を軸にした行政の積極的関与・介入の英断を求めるものです。
先ずは有料老人ホームまがいの施設の実態把握です。玉石混交でしょうが、広く深く実態を把握したうえで、石を排斥するのが行政の仕事です。最初から目を瞑っていては百害あって一利なし。これなくして対策も何もありません。

管轄する奈良県さん、是非目を覚まして現実を見据えてください。早期に悪い芽を摘み取ってください。奈良県(特に大都市圏からアクセスの良い生駒市)を寝たきり老人を食い物にする悪徳ビジネスの草刈場にしないでください。

 


「医師数増加に関する日本医師会の見解」の疑問

2010-08-02 16:28:05 | 日記

7月14日付けの日本医師会の定例記者会見と資料(副題:医学部を新設すべきか)を読んでみました。医師数増加に反対の立場は従来のままです。呆れ返るだけです。疑問点を以下列挙しておきます。

1.医師数抑制政策はあたかも政府だけのせいだと主張するが、過当競争を嫌う医 師会が政府の医療費抑制政策に便乗もしくは悪乗りした結果です。
2.「医師偏在解消に向けた取組について情報収集し分析する」というが、今頃になって”何を今更”という感じ。ことここに至って具体策も何も出てこないわけで、医師偏在や医療崩壊は所詮他人事なのでしょう。
3.医師総数は足りている というが、現場での医師不足の悲鳴が上がっていることへの説明がありません。敢えて説明を避けているとしか思えません。総数での議論はルール違反です。不誠実です。
 肝心なことは、①救急、産科、小児科といった厳しい環境下の勤務医が不足して
いること②高齢医師や家庭に入った女性医師といった、半リタイアもしくは全面リタイアの医師も総数の内かなりの比率を占めていること③開業医と①の勤務医との極端な偏在があること です。
特に③です。勤務医と開業医の偏在を敢えて隠し、偏在に至った責任の一端は医師会にあることを認めず、その結果最も効果的かつ即効性のある偏在是正策が無視されることになっています。
医師会がやるべきことは、勤務医と開業医との偏在是正策を早急に打ち出すことです。やり方はいくらでもあるはずです。医師会自身が医療崩壊の現実に真正面から向き合うことです。上から目線で、敢えて悲惨な現実を見ようとせず、避けて通る姿勢は頂けません。
4.将来推計では2025年にはG7並の医師2.8人/国民1000人の水準に到達するので、医学部新設は不要だと主張するが、足下の医療崩壊再生の議論をしている火事場・修羅場なのに、15年先の話を持ち出す神経は理解しようがありません。”放っておいても いずれ火は消えるわ”と言う消防士ですか?。

ここ奈良県医師会でも同類の主張がなされています。
医師数は充足、救急・産科も充足、偏在は一部地域・一部診療科に限定、新臨床研修制度が悪い、全ては医療行政の責任で医師会は関係ない  等々の愚にもつかない主張が繰り返されています。日本医師会傘下の県医師会ですので当然の主張だと 変に納得しています。

以上を読まれて”開いた口が塞がらない”と感じた方は健全な精神の持ち主であることは確かですが、でもこんな程度でそう感じるのでは、医師会ウオッチャーとしてはまだまだ初心者です。