「医療連携」の重要性が様々な場で強調されています。「餅屋は餅屋」ということで,診診、病診、病病 等の連携が進んでいます。これからの地域医療再生の鍵を握る極めて重要なポイントです。
生駒市立病院開設計画においても、医師会の発言や市議会議員の発言の中で、この医療連携の話がよく出てきます。”生駒市立病院も医療連携が不可欠。しかし医師会の意向を無視した地域医療連携は不可能。市立病院も医療連携を重視する以上は、医師会の意向を十二分に汲み取ることが大切”といった主張です。とどの詰まりは、”指定管理者候補を徳洲会とする市立病院とは医師会は連携しない。地域連携できないような市民病院はおかしいではないか”という脅迫まがいの主張です。
脅迫じみてはいますが、医療連携の重要性の観点からすれば結構納得のゆく医師会や議員の主張ではあります。が、その医療連携の実態はどんなものなのでしょうか。
結論から言わせてもらえば、「実態は余りにもお粗末」ということです。
生駒市医師会のデータによれば、2005年の連携数は年間ベースで、172医療機関で、957件にすぎません。1日当り2.6件、1医療機関当り5.6件です。これを多いか少ないかは議論のあるところでしょうが、少なくとも私にはとんでもなく少ないと感じられます。正直、5分の1程度の感覚です。
さらに驚くことは、2005年以降は医師会としてのデータを取っていないということです。データを取っていないということは、医師会としては医療連携の意味が無いという考えなのでしょうか。
こんなお粗末な医療連携の実態であるにもかかわらず、市立病院開設の前提条件を医療連携に置き、さらにはその為に医師会の賛同なければ医療連携はできないぞ、徳洲会なら医師会は医療連携を拒否する…と脅迫まがいに主張する医師会と議員。
でもその主張する根拠たるや、要はこの程度なのです。本来は「伝家の宝刀」なのですが、実態は「錆びた鈍らの刀」を振り回しているだけということがお解かりのことでしょう。別の言い方をすれば「空疎な言葉の空回り」であり、きつい言い方をすれば、実態を隠した「虚言」です。
医師会がもし賢明であれば、誰が見ても判る錆びた鈍ら刀は抜かないはずなのですが、他に頼るものが無いのか切羽詰まったうえでの抜刀なのか。どうなんでしょう。
新生駒市立病院は、低迷している生駒市の地域医療連携の再生と活性化に大いに貢献してくれると期待していますし、その中心的役割を果たしてくれると思います。