生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

有料老人ホーム類似施設への危惧

2010-07-28 17:36:45 | 日記

私は、有料老人ホーム「類似施設」が気になって仕方がありません。

厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営指導指針」というものがあり、新規に開設しようとする者は、都道府県に事前の届けを義務付けています。その類型は以下の4つです。
1.介護付(介護等のサービスを内部で提供するもの)
2.介護付(外部サービス利用型)
3.住宅型
4.健康型
一方、権利形態は以下の3つとしています。
1.利用権方式
2.建物賃貸借方式
3.終身建物賃貸借方式

ここでは詳細に触れるつもりはありません。
問題は、事業者にとっては結構ハードルの高い事前届を嫌がって、敢えて有料老人ホームとしない「類似施設」を選択する事業者が急増していることです。
”シニア向け分譲マンション” とか ”高齢者向け賃貸マンション”とかを謳っているシルバーマンションです。中身は玉石混淆です。法整備の不備もあります。

私の危惧する点を以下記載しておきます。
1.火災等の事故が発生した場合の保障です。
  類似施設はあくまで、一般のマンションでありアパートです。個々人の責任で対応
  するしかありません。そこには守ってくれる法律は存在しません。
2.悪徳医療者や悪徳介護事業者の食い物にされる恐れがある点です。
  名古屋地区のある業者が有名です。その手口は次のとおりです。
  ①専ら要介護度の高い老人を入居させる(介護給付費の上限が高い) 
  ②手の掛からない寝たきり老人を優先的に入居させる(動き回る徘徊老人は手
    がかかるので入居させない)
  ③その上で、訪問診療・訪問看護・訪問介護等の外部サービスを集中的に投入
    する(集合住宅なので、移動時間は殆どゼロになり極めて効率的)
3.結果として、類似施設の存在する市区町村の医療費や介護給付費が急増するこ
   とです。
  有料老人ホーム並びに類似施設を管轄する奈良県は、類似施設へのチェックが
  極めて甘い県です。言うなれば”やりたい放題”の県です。一方、兵庫県特に神
  戸市の類似施設へのチェックは相当厳しいと聞いています。ここ生駒市でも類似
  施設が出来そうです。行政が認識しない間に既にいくつか存在しているようです。
  大阪に比べて地価の安い奈良県特に交通の便の良い生駒市が、類似施設を悪
  用した悪徳老人ビジネスの拠点とされないよう、行政のチェックをお願いしたいも
  のです。「類似施設村」はお断りです。

今日のところは雑駁な話です。いずれ改めて記事にします。


   


生駒市医師会の「生駒市病院事業計画案」のお粗末さ

2010-07-18 17:53:21 | 日記

先日、生駒市宛に生駒市医師会から「生駒市病院事業計画案」なるものが提出されました。私も目にする機会がありましたので興味深々で見てみました。たったの3分で読み終えました。

先日の記事でも指摘しておきましたが、その余りにものお粗末さには改めて愕然とさせられました。自らを指定管理者候補とぶち上げておきながら、こんなお粗末な案しか作れないわけですから、万が一医師会が指定管理者に決まった場合は、医師会としてはどうする積もりなのでしょうか。はっきり言って100%無理です。神経を疑います。

固有名詞は無い、具体性は無い、収支計画は丸抜け といった態で、受け取った生駒市としても取り扱いに困ることでしょう。多分眺めて終わり ということでしょう。真面目に検討する気には絶対になれないでしょう。

こんな程度の悪い冗談を言う前に、医師会としてもっとやるべきことが沢山あるのではないですか。それも、厳しい反省のもとに。

二次、三次救急が崩壊の危機に直面していますが、その原因の一端は一次体制の不備にあるのだという意見が大勢を占めてきています。生駒市でもその通りで、一次の体制に相当な不備があります。

生駒市では「生駒メディカルセンター」が休日・夜間の一次を担っていますが、診療時間帯や専門医師の常置等の面で中途半端な体制のままです。その割には、年間で170百万円もの多額の税金をつぎ込んでいます。センター発足時と異なり現在では開業医も増えてきており、医師会がその気になりさえすれば開業医輪番体制は構築可能だしそのほうが余ほど効率的で効果的です。

今頃になってお粗末な生駒市病院事業計画を出してくるのではなく、こうした開業医輪番体制の早期構築とか、その結果としてのメディカルセンターの縮小とか廃止といった 自らがやるべきことを医師会は求められているのだということです。
当然のことながら、休診日の統一も撤回すべきでしょう。

いずれにしても、やるべきことをやらない者の主張にはいかなる正義もありませんし、悪い冗談としか受け留められません。


生駒市医師会が生駒市立病院の事業計画書を提出とは?

2010-07-11 17:15:17 | 日記

新聞報道によると、生駒市医師会が生駒市立病院の事業計画書を市に提出したようです。医師会のホームページにも掲載されていないので詳細は不明ですが、今までの言動や推進委員会の発言等で大方の推定は可能です。改めて医師会の欺瞞性を独断と偏見で暴いてみようと思います。

なお、新聞報道の概要は次の通りです。
「134床。緩和ケア病棟5床を含む。救急、小児等の不足分野に限定。指定管理者には、公的医療機関もしくは大学(医学部)などの言い医育機関、医師会を候補とする。

第1に、指定管理者候補の固有名詞が無いことです。市の計画がここまで煮詰まっている時期に、机上の空論や絵空事のような計画書を提出する感覚が全く理解できません。これでは市としても検討のしようがないのでしょう。

第2に、病院推進委員会という場で事業計画を個々具体的に議論を積み重ねていることを全く否定するということです。また、この推進委員会は議会で可決した条例に基づく市長の諮問機関です。議会を否定するということでもあります。民主主義のルール自体を否定することでもあります。

第3に、不足医療(=政策医療・赤字医療)に特化せよという主張は身勝手の極みだということです。
公立病院であろうが民間病院であろうが また開業医であろうが、そもそも医療業務自体が公益的であるとされている医療機関である以上、政策医療(*私はこの言葉が嫌いです。何を意味するのか理解できていません)を実施する使命を負わされているのです。民間だからとか一介の開業医だからといった理由で、そこから逃げるわけにはゆかないのです。

第4に、政策医療を公立病院だけに押し付ける医師会の主張こそが、今の地域医療崩壊させた元凶だということです。
民間病院や開業医は採算の良い部分を担当し、赤字部分は公立病院で担当せよというわけです。こうした「尻拭い」をさせられた公立病院の窮状が全国各地で発生しています。救急や小児・産科の勤務医が、余りにも過酷な勤務状況に耐え切れなくなって、公立病院から脱落してゆくのです。一人医長から始まって、診療科の閉鎖、さらには、病院自体の閉鎖にまで追い込まれていったのです。

第5に、「公立病院改革ガイドライン」への悪乗りです。
ガイドラインでは、「採算性の理由で民間が担えない政策医療を公立病院が担うこと」と言います。私は上記したようにこの主張には反対です。公も民も同じです。現に、公立病院以上に政策医療を行っている民間病院も多数あるからです。
志と経営能力の範疇の話でしょう。志が低く経営能力の低い理事長や院長は、公益性を持つ医療業界には不適だと言っておきます。

第6に、医師会計画書の採算性・市民負担の問題です。
従来の医師会の主張からすれば、この計画では毎年5~10億円の赤字垂れ流しということになると推察します。これを誰が負担するのでしょうか。医師会自らが負担するのですか?。負担するわけありません。結局市民が負担することになるのです。
上記ガイドラインでは、一方では公立病院の採算性の向上を主張します。赤字部門を担当しても採算は確保するように という主旨です。当たり前のことです。ではこの医師会計画書はそれにどう答えるというのでしょうか。

糾弾したいことはもっともっとありますが、書いているうちに何か空しい気持ちが募るばかりで疲れてきました。

生駒市民病院とは全く別次元の計画として、「医師会病院」なるものを自前で勝手に開設してはどうですか。市民の巨額な税負担を強いるまえに、自分たちで独自に市民のための病院を作ったら如何ですか。政策医療を実施する開業医の連携・集合体のようなものでも良いでしょう。
本当に市民のための病院を! というなら、それだけの覚悟が必要です。であるなら、私としても協力は惜しみません。

この医師会事業計画書は市民を欺くものであり、そこには一片の正義もありません。
特に今日は厳しく医師会批判をすることになりました。残念です。情けないです。

 


民業圧迫議論の空虚さ

2010-07-08 18:00:04 | 日記

 医師会を中心に、補助金の有無をめぐっての公立病院と民間病院の不公平議論が展開されて久しくなります。補助金を貰える公立病院は、資金面での有利さで民間病院の経営を圧迫する という主張です。

 ここ生駒市医師会の去る2月のQ&Aでも同様の主張がなされています。

 私の独断と偏見で言わせて貰えば、「話のすり替え」で議論に値しない性格の主張だということです。

 そもそも私の考えは、医療サービスというものは民間中心で行うのが基本中の基本であるということです。現に、赤字といわれる”政策医療”を十二分に実施し、経営上もしっかりと黒字を計上している立派な民間病院も決して珍しくありません。こうした民間病院は、補助金をめぐる不公平議論は元から眼中にありません。患者ニーズを逃げることなく正面から受け止め、政策医療も含め満足度の高いサービスを提供することにより、地元の信頼を得ることができ、その結果として外来患者や入院患者が確保され、当然のことながら利益も確保されるわけです。90%台の病床稼働率を確保している民間病院から見れば、病床稼働率が70%台程度の公立病院は脅威でも何でもありません。

 先だっても書きましたが、被害者意識や不公平議論からは何も生まれません。民間だからこその強みがあります。特に「裁量権」あたりがその最たるものでしょうか。理事長や院長の的確な判断や指示が、即実行に移せます。これこそ民間の強みです。条例なんかに縛られ動きの鈍い公立病院とは決定的に違うところです。
民間病院がその有利性に基づく本来の民間活力を発揮し、場合によっては公立病院を凌駕することです。その結果としての公立病院不要論は支持できます。

 民間が確固たる信念を持たず、やるべきことをやらず、殻に閉じこもり、逃げを打ち、赤字部門を公立病院に押し付け、自己弁護に終始しているようでは、益々公立病院支援政策(補助金を含む)が声を大きくしてゆきかねません。これでは本末転倒です。
 地域の民間病院が自立することこそが、今の医療業界に求められていることなのだと考えます。

 


やはり 自由開業制限しかないのか

2010-07-04 21:19:10 | 日記

 前回の記事への若干の補足です。

 ある識者は、ことここまできた医療崩壊への短期的対策としては、「自由開業制への制限しかない」との意見を述べています。業界内で好き勝手に、場合によっては被害者面をし、自ら危機を打開してゆく気もない業界人には期待できない との意見です。

 その通りだと思います。この識者の意見には大いに賛同するものです。

で、問題の現実はどうかというと、こんなところです。
・救急や産科や小児や諸々は赤字で民間病院はやらない・公立や公的病院でそうした赤字部門や政策医療をやるべきだ。(変な公立病院ガイドラインのせいでしょう)
・そこの勤務医の厳しい勤務実態や訴訟リスク等は、その経営母体と勤務医でしかるべき対応すればよい。36協定遵守や訴訟対応もしかり。
・勤務医が逃げてゆく事態は、医師会としては憂慮しているが医師会のせいではない。
・医師会は行政に対して意見は言う。でも医師会としての具体的対応策は行わない。
・医師会としては、責任は全て行政にあると考えている。むしろ被害者だ。
・勤務医と開業医の偏在は医師会の責任ではない。
・医師不足の元凶は、新医師臨床研修制度にある。
・勤務医→開業の流れは、自由開業制のもと、医師会としては規制するつもりはない。
・そもそも、医師不足ではない。いずれ医師過剰になる。
・たらい回しとかについては、マスコミに国民が踊らされているだけ。実態はそんなに酷いことはない。
・その他諸々。

 一々解説するつもりはありませんが、医師会を背景とする勢力のモドキは、
自らの失政の責任を放棄し、責任を行政のみに押し付け、むしろ自分たちは被害者と言い、モンスターペーシェント論で患者を加害者とし、医師は不足ではないし医療崩壊ではないと言い、それを打開しようとする者も内から出ず、もし出てくれば出る杭を打ち、開業希望者には医師会条件を付して自由に開業させる
といった 自己中心且つ自己矛盾の論理を展開しています。

 こうした体質からは、今まさに求められている 開業医→勤務医(開業医兼務も)の緊急策は期待できそうもありません。
 自らやる気がさらさら無いのなら行政が決断するしかないでしょう。
 そもそも患者を無視ないし疎かにした業界ですので、行政介入もくそもありません。批判は全くありませんので、厚労省さんは自信をもって強硬策を進めて結構かと思います。
 医学部定員増も長期スパンでは結構ですが、自由開業制限こそが当面の有効策であることは間違いありません。