生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

勤務医不足が全国で2.4万人

2010-09-29 21:46:34 | 日記

厚労省の必要医師数実態調査の結果が本日公表されました。全国で2.4万人、奈良県では347人不足という結果です。概要を拾い読みしてみましたが、正直遅きに失する感じがするとともに、この結果を受けて医療崩壊を再生できる実効性のあるものが本当に出てくるのかといった疑問も感じました。

概要の冒頭に以下の記載があります。
「本調査は、全国統一的な方法により各医療機関が必要と考えている医師数の調査を 行うことで、地域別・診療科別の必要医師数の実態等を把握し、医師確保対策を一層効果的に推進していくための基礎資料を得ることを目的としたものであり、厚生労働省が実施した調査としては初めてのものです」

「初めてのものです」とは、いかにも自慢げな表現です。「申し訳ありませんでした。遅ればせながら…」と言うべき筋のものではないでしょうか。

医師不足に起因する現下の医療崩壊を招いたそもそもの原因は、医療費を押さえたい厚労省(なかでも現場を知らない事務官)の意向と、医療マーケットの過当競争を回避したい日本医師会の意向がマッチした結果、永年に亘って医師数の増加を抑制してきたことにあります。

今回のアンケート結果は、医療崩壊の大きな原因としての勤務医不足の切実な実態を反映しています。小手先の対策では対応不可能です。今こそ、勤務医・開業医の枠を取り払った医療業界のガラガラポン的な抜本的構造変革を厚労省に期待したいものです。

ここ数年では、さすがに厚労省も日本医師会も医師数抑制論を若干転換しましたが、ここ奈良県ではどうも1周遅れのようです。
この9月25日付で奈良県医師会が「生駒市の医療のあり方を考える」という怪文書(ある方の表現です)を、生駒市議会議員に送付しました。

怪というべき内容を一つ挙げておきます。曰く、
「救急患者を受け入れできない理由は、処置中・専門外が大部分を占めており、決して病床数の不足によるものではない…」。だから生駒市立病院の新規開設は必要ない と。

はっきり言いますが、生駒市の病院の医師不足は明白です。「処置中」「専門外」なら救急を断るのは当然のことと開き直っているようですが、救急指定の看板を自ら放棄しているものです。開き直りからは何も生まれません。だからこそこれを理由に断らない市立病院を今市民が求めているのです。
病床不足が理由にならないことは、生駒市の各病院のベッド稼働率を見れば明白です。70%~80%のベッド低稼動です。入院患者がいないのではなく、市外の病院に逃げているのです。何を今更こんな自分の恥を文書で説明するのか理解できません。
共に 怪 です。

医師会に今求められているのは、
過去を素直に反省し、
自己正当化をせず、
自己の利益よりも市民・患者の幸せを行動規範の中心に置き、
医師会員、非会員関係なく、患者のための「真の医療連携」を行う
ということです。

特に地元の生駒市医師会には、日本医師会や奈良県医師会の意向とは関係なく、地元密着の医療と連携をお願いしたいものです。

 


生駒市議会で市立病院関連議案が可決

2010-09-27 15:55:58 | 日記

9月27日生駒市議会で、生駒市立病院関連議案が可決されました。12:10の僅差とはいえ、3名の議員が賛成側に回った結果でした。
どうなることかと危惧していた時期もありましたが、何はともあれ良かったと安堵しています。

しかし、むしろこれからが大変です。クリアすべき課題が山積しています。
医療連携、特に「真の連携」です。現在の生駒市における医療連携は、何度も言っているように相当お粗末です。一次を担うべき開業医が、休日や夜間は休業しています。メディカルセンターに全てを任せっきりにしている現状です。一次のしっかりとした下支えが弱体化したために、二次・三次病院にしわ寄せが行き疲弊してしまっているのです。救急車の立ち往生事態の大半も、ここに起因すると思います。
真の連携の出発点であり根幹は、この一次の再構築にあると考えます。
耳障りばかり良い割には実態を伴わない表層的な「連携」という言葉は、百害あって一利なし です。

市医師会、県医師会、地元民間病院さらには市議会議員から、「連携」という言葉がくどいほど発せられました。しかし、本質的な使われ方をしたことは一切ありませんでした。特に、患者不在の使われ方や市立病院反対のための脅迫めいた使われ方も多々ありました。

とんでもない話ではありますが、しかしながら現実に医療者側から発せられているのも事実です。市立病院開設までに、この「口先連携」をいかに医療者全員を巻き込んで「真の連携」に変革してゆくのかが極めて重要な課題です。

「真の連携」をキーワードにした一次の再構築こそが、まずもって進められるべきことだということを、医師会というよりは地元開業医の先生方に理解をしてもらいたいことです。各先生が率先して行動に移して頂くよう期待する次第です。
でないと、24時間365日をモットーにする市立病院が開設されれば、こうした開業医の方々は市民・患者からソッポを向かれることになりかねません。心して頂きたいものです。


奈良県医師会の「生駒市の医療のあり方を考える」???

2010-09-26 17:35:35 | 日記

9月25日付けの掲題レターが、生駒市議会議員に送付されたようです。詳しくは、吉波議員のブログをご参照ください。
http://shiminha.cocolog-nifty.com/

今頃になって、生駒市医師会と歩調を合わせた形で議員あてにレターを送付するのは何故なのでしょうか。27日の生駒市議会本会議で指定管理者議案等が決議される予定ですが、それに反対して欲しいとの最後の足掻きなのだと思います。

それにしても、レターの内容はお粗末至極です。これを市議会議員の判断材料にせよ というのでしょうか。見識ある議員なら困惑するはずです。

今回のレターでは、徳洲会批判はありませんでした。徳洲会批判はむしろ医師会自身の品位を下げることを理解したのでしょうか。

レターの問題点は、挙げれば切りがありません。馬鹿らしくて一々指摘する気にもなりません。
ただ一つだけ指摘しておきます。

患者・市民が不在だということです。主張の全てが、供給サイドの論理で上から目線です。誰が賛同しますか。むしろ反発でしょう。これに賛同する議員が居るとすれば驚きです。

いずれにしろ27日の本議会が勝負です。未だに旗色を鮮明にしない議員がいるようですが…。


生駒市議会市民福祉委員会で指定管理者議案可決

2010-09-16 20:46:32 | 日記

本日9月16日、生駒市議会の市民福祉委員会において、市民病院の指定管理者の指定議案(=徳洲会)が賛成多数で可決されました。5年に亘る懸案がやっと前に進みました。残るは27日の本会議での最終議決になりました。良い結論に至るよう願うものです。

本日の市民福祉委員会の議論の内容を、少し紹介しておきます。
(反対派議員の発言)
1.医師会や地元病院からの意見書では、事前合意のない市民病院とは連携ができない と強硬な意見がだされている。大変不安を感じるが市長は危惧がないのか。
2.徳洲会勤務医師から、内部の悲惨な状況を聞いている。大丈夫か。
3.公募手続きの不備あり。
4.日付改竄問題も残っている。足湯事件と同じだ。
(賛成派議員の発言)
1.指定管理者としては結構厳しい内容の推進委員会答申を徳洲会は受け容れてくれるか。
2.市民参加の運営協議会設置は画期的。市民の啓発活動の拠点にして欲しい。
3.院内保育所を早期に設置して欲しい。
4.静岡県の榛原総合病院は徳洲会が支援開始したが、評価は高いと聞いている。
5.医師会の嘆願書は、会員総意のものなのか。総意ではないと聞いている。
6.医師会他の意見書は、独禁法抵触疑いあり。
7.”連携できない”などといった医師会発言は、医療者の発言としては如何なものか

以下私の感想です。
・総じて、反対派議員の意見は雑駁でした。医師会や地元病院の意向を酌んだ利益擁護ののための意見でした。「連携」を危惧した意見ですが、その連携という言葉を理解できないままに、言葉に踊らされているようでした。反対派議員の知識レベルには医師会の恫喝や煽りも効果があったようですが、冷静な賛成派議員には、医師会のいう連携という言葉の空虚さばかりが伝わったようです。
・山下市長は、極めて冷静に答弁していました。
 医師会との話し合い(談合や独禁法違反にならない範囲内で)を行ってきたし、今 後も行うこと
 議会で議決頂いたうえで、市民参加の運営協議会を開催すること
 公募手続には一切不備はないこと
 足湯事件と今回改竄事案とは全く次元の異なること
・どこからどう見ても、賛成派議員や市長の見識が反対派議員のそれを圧倒していました。レベル・格の相違でした。低レベルの組織に組するとその議員自体が低レベルに陥る という当然の帰結でした。結果として反対派議員の評価は下がるしかありません。
・27日の本会議でどうなるかです。
 0点の生徒にいきなり100点を取れとまでは言いませんが、せめて50点はお願いします。その意味では、反対票よりは退席を選ぶ方が良いのではないでししょうか。如何ですか、反対派議員各位?。 


生駒市医師会などの意見書の怪?

2010-09-13 20:15:24 | 日記

驚きました。呆れました。絶望しました。恥ずかしい限りです。

9月11日の毎日新聞の記事です。先ず読んでみてください。

生駒市医師会などが意見書 
生駒市の新病院設立問題で、市医師会(梅川智三郎会長)などは10日、山下真市長あて の意見書を提出したと発表した。 医師会と6病院の連名で、今月3日の市と7病院との意見交換会を踏まえ、現計画に反対 の意思を示した。「市立病院が地域の中核を担う病院として、地域の医療機関に連携協力 を求めるのであれば、十分な事前の合意に基づいて病院事業計画を策定されることを強く 求める」としたうえで、「合意形成がないままに現計画案に基づく病院事業が進められた 場合には、当該病院との連携協力はできない」と指摘している。

これが生駒市の医師会並びに6病院の本音です。なお、近畿大学奈良病院は外れていますが当然でしょう。

この意見書が如何に欺瞞に満ちたものなのかを以下説明します。
1.市長の諮問機関である「生駒市病院事業推進委員会」が医師会代表参加のもと  で10回に亘って開催され、正式に答申がなされました。紆余曲折があったにせよ、この答申は医師会も最終同意したものです。上記意見書はこの答申を無視するもので、民主主義の基本を否定しかねない暴言です。

2.連携の問題です。
「連携できない」とはなんという言い草でしょうか。医療者が発する言葉ではありません。上から目線であり、市民・患者不在の言い草です。
医療連携は決して医療者の権利ではありません。医療者の当然の義務なのです。
応召義務も医療連携も当たり前の話ですが、それが当たり前ではなく、医療者の権利のような筋書きになってしまっているようです。本末転倒、主客逆転、患者不在の今の医療崩壊を如実に表している意見書です。変に納得してしまいました。
連携 連携と耳障りの良いだけの言葉は不要です。
医療者が使命を全うしようとすれば、また患者本位の医療を行うのであれば、表面的な連携という言葉は無意味で不要です。自然に連携はできるものです。

3.現状の連携のお粗末さです。
連携を金科玉条のように主張する意見書ですが、その実態はどうなのでしょうか。
何年か前の医師会の数字ですが、確か年間に1,000件程度の連携実績でした。こんな程度です。
さらにお粗末なことに、今では医療連携のデータさえも採っていないというではありませんか。連携こそ命というわりには余りにもお粗末な話です。

4.連携よりも我が事大事か。
「連携」という言葉は綺麗ですが、綺麗ごとでは済まされないドロドロとした金銭的な世界もその裏に見え隠れします。自分の患者を他に紹介すれば連携になりますが、患者を一人失うことになります。恬淡とした医療者なら結構ですが、そうでない医療者はどうでしょうか。口触りの良い連携と自己の利益が相反する事態は悩ましい限りです。赤ひげ先生は幻想の時代です。医療者も経済人です。多くを期待してはなりません。

といったことです。皆さんどう感じましたか。
医師会などの皆さんも聖人君子ではありません。むしろお金大切な人種です。利益擁護団体たる医師会と民間病院の利益確保を図るための上記意見書は、その当然の帰結でしょう。
9月市議会でこの意見書がどう扱われるのか、無視されるのか(私は無視すべきと考えます)、注視したいと思います。