生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

地域医療崩壊の元凶と再生をどう考える

2010-02-12 17:03:22 | 日記

 地域医療の崩壊が、ここ生駒市に限らず全国レベルで起きています。誠に嘆かわしいことです。
 何故こんな悲惨な事態に陥ってしまったのでしょうか。理由は多様です。
1.医師の数が少なすぎる(女性医師の比率が高くなっていることもあります)
2.勤務医数が少ない。一方開業医数が多い。
3.本当の意味での地域医療連携ができていない。
4.開業医のサラリーマン化。
5.その他諸々の要因。
 今日は、4.開業医のサラリーマン化 について述べます。
私の幼い頃は、開業医さんは昼も夜もありませんでしたし往診も当たり前でした。
現在はどうでしょうか。「ビル診」が増え、診療時間が終われば遠く離れた自宅に帰ります。急患があっても医者はいませんし、連絡も取れない場合も多いのです。
「かかりつけ医」という定義から外れた開業医が多くなっているのです。開業医がサラリーマン化する気持ちも解らないではありません。夜昼なく働き、急患にも対応し、場合によっては、救急病院へ同行するといった激務では、命を縮めてしまうかもしれません。人間ですから、御身大切で楽して儲けたい気持ちになるのも当然と言えば当然です。
 でもちょっと待ってください。そもそも医師になれたのは、自分の優れた能力の故だと自惚れていませんか。
国公立に限らず私立であっても、医科大学に巨額の国費(=我々の税金)投入されているいるのです。簡単に言えば、一般庶民の税金で医師の資格を貰えたわけです。であるならば、市民にその恩返しをしてもらわなくてはなりません。
 この謙虚な気持ちを忘れてしまっているところに、開業医の本質的な問題があるように思えてなりません。
 奈良県においても新医療計画が策定され、地域医療の再生に向けての方策が書かれています。仏様はできます。しかし、その計画遂行上最も大切なことは、”仏様に魂を入れる”ことです。
 魂を入れる第一歩が、開業医のサラリーマン化の是正だと思います。激務をこなしている勤務医とタイアップし、勤務医と同じ目線で患者を診てゆく。制度の問題ではなく医師の本来の基本姿勢の問題です。
 奈良県新医療計画、生駒市立病院計画等を良い機会にして、開業医の意識や姿勢が良い方向に変革されることを切に願っています。医師会もここに焦点を当てて地域医療再生に取り組んで欲しいものです。

 毎度開業医(医師会)批判めいた話ですみません。


2月9日の奈良県医療審議会と生駒市立病院計画

2010-02-11 17:09:14 | 日記

 2月9日に奈良県医療審議会が開催され、新医療計画に基づく基準病床数が確定しました。そして既存病床数の中に、生駒市立病院210床と阪奈中央病院56床が算入されました。一先ずは 良かったと思います。
 しかし問題は、今まで徳洲会を指定管理者とする市側の計画に反対をしてきた市議会が、これをどう受け止め議会でどう行動するのか です。
 先だっての市長選挙では、山下市長の病院計画の是非が最大の争点として戦われ、結局山下市長が圧勝しました。であるならば、この2月末に開催予定の市議会において、反対派も賛成に回るか退席するかが議員としての最低の見識だと考えます。
 いずれにしても、市議会での可決が210床の市民病院を開設するための最低条件です。また、今回議案が否決されれば、「これで2回目の否決。生駒市議会の議決は今後も無理だな!」と県側が判断すれば、もしかして210床の権利は剥奪される恐れもあります。
 一方2月10日に、生駒市医師会が反対声明をホームページに掲載しました。主張内容は従来と同じことで、当事者意識の欠如した時代錯誤の反対のための反対に終始しており、今更真剣に読む気にもなれませんが、ご興味のある方は下記URLをご参照ください。

http://www1.kcn.ne.jp/~icdoctor/ikoma/information.html

 

 


再診料690円で決着

2010-02-10 18:11:09 | 日記

 中医協において、再診料が690円で決着したようです。中小病院は90円アップ、診療所は20円ダウンということになります。診療側代表の抵抗が激しく、当初は650円程度の見込みであったものが、この線で手を打つしかなかったのでしょう。ま こんな所だと思います。
 また医師会批判になります。先だっても言ったように、開業医が相当の利益を上げていることはまぎれもない事実です。最近まで「高額納税者番付」なるものがありましたが、奈良県では9割以上が開業医でした。
 先だっても指摘しておきましたが、損益分岐点分析のような姑息且つ作為的な手段を使っていました。これでは市民の賛同は得られません。「腕の良い医者がベストの医療を提供したのだから、儲かって当然だ」と正々堂々と市民に訴えればよいのです。
 今回の再診料の引き下げは20円の小幅に留まりました。開業医にとっては、大した影響は無いと考えます。
 それよりもこれを機に、地域における開業医の果たすべき役割をもう一度原点に立ち返って考え直して欲しいものです。
 今日の地域医療崩壊は開業医や医師会に責任はありません では済まされないことです。
 開業医の先生方、くれぐれも謙虚に地域医療再生にご努力くださいますよう お願いいたします。


生駒市立病院計画と市議会の見識

2010-02-08 17:30:14 | 日記

 2月下旬にも生駒市議会が開催されるようですが、最大且つ緊急のテーマは、生駒市立病院開設案件です。
指定管理者を徳洲会とする市側の議案を、議会側は今までと同じように否決するのでしょうか。
 今までの議会での反対議論を聞いていますと、反対理由は概ね以下のようなものでした。
1.市長の進め方が強引
2.市長には医師会との協調姿勢が見られない。医師会の強力が無ければ良い医療は提供できない
3.指定管理者候補を民間にするのは反対。特に「徳洲会」は信用できない

 反対理由のそれぞれは一見もっともらしい感じを受けますが、本当にそうなのかを反対議員諸氏は掘り下げて判断しているのでしょうか。大いに疑問です。医療業界の実態を自ら勉強もしないで、人の尻馬に乗って反対している程度の議員が多いと思います。
これだけ重要な案件を、学級委員を選ぶ程度の感覚で採決に加わっている議員の見識を疑うものです。

上記3点について簡潔に説明します。
1.旧来のしがらみを廃し事前根回し中心の行政を変革すべく、敢えて議会の場で議員と真剣に議論をいしょうという山下市長の正姿勢の表れです
2.むしろ医師会側の市民病院反対という姿勢が先ずあった。生駒地区の医療崩壊を招いた元凶が医師会側にあるのに、その反省もなく、今や生駒市の救急体制は問題ない と開き直っている態度は、私でも愛想を尽かせています。市長は引き続き医師会との対話の努力をする と言ってはいますが、期待はしないほうが賢明だと考えます。
3.民間アレルギー、特に徳洲会アレルギーはどこから来たのでしょうか。
多分医師会のネガティブキャンペーンの結果だと思います。
確かに徳洲会は、過去に政治がらみのスキャンダルがありましたし、医療面では行政や医師会に喧嘩を売るような言動をしたこともありました。しかし、それも患者のための視点がベースにありました。私も徳洲会を100%是とはしませんが、お粗末な公立病院や民間病院よりは余程益し と思っています。

今度の市議会は高い見識を表明できる最後のチャンスです。議員諸氏におかれては、過去のしがらみに捉われることなく、真剣な議論のうえ採決に望んで欲しいと念ずる次第です。

 今日は心底からの念願です。


 


再診料をめぐる医師会の主張への疑問

2010-02-06 17:13:01 | 日記

 中医協において、再診料をめぐる議論が決着をみていません。現行の再診料は、病院が600円、診療所が710円となっています。一物二価のおかしな仕組みになっています。厚労省は今回の診療報酬改訂時に、再診料を両者の中間あたりの650円辺りに決着させ、おかしな仕組みを解消させると共に500億円程度の財源を捻出したいようです。
 これに対して、医師会が猛反発しています。
開業医の収入が年間で600億円程度減少するため、今でも経営が苦しいのに、さらに経営を悪化させるとの主張です。
 確かに開業医の収入は減りますが、現状の開業医の儲けを見れば、経営が破綻するようなレベルの話ではないし、今後急増する医療費のことを考えれば、「3方1両損」も納得していただかなくてはなりません。
 医師会の反論のなかで、「損益分岐点」が高くいつ経営危機に陥ってもおかしくない状態だ といったことが書かれていますが、とんでもない反論材料だと 私はびっくりしています。
 それは、医療法人のデータだということです。開業医が医療法人を開設し、開業医はその法人から給料をもらう経営形態が増えていますが、法人に限定したデータを使って反論しているのです。医療法人とは言っても実質個人経営と同じです。法人としての利益の大半は経営者である院長の給与として支払われ、法人としての利益を残すケースは稀です。よって、法人の診療所の損益分岐点が高いのは当たり前のことなのです。
 法人からいくらの給与が支払われているのか、その額をもって反論するべきではないかと考えます。
 医師会も業界団体でもあり、業界の利益を守る使命があるのでしょうが、余りにもお粗末且つ恣意的なデータ使用(どこかの会計関連グループのデータのようですが)は慎まれたほうが良いと思います。
 医師会の主張については、以下URLをご参照ください。

http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20100106_2.pdf