白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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酒井佑規-李沂修

2020年03月14日 23時59分59秒 | 幽玄の間

<本日の一言>
今年は全然雪が降らなかったな、と思っていたのですが・・・。
まさか今日降るとは!
春が来るのはもう少し先でしょうか。



皆様こんばんは。
本日は日本棋院ネット対局幽玄の間で中継された、十段戦予選の酒井佑規二段(15)-李沂修八段(31)戦をご紹介します。
酒井二段は独特の碁で、見ていて面白いですね。
なんと言いますか、あの殺意を抑えきれない感じが・・・(笑)。

1図(実戦)
酒井二段の黒番です。
黒1、3と打ちましたが、普通の棋士なら黒6か黒4と、中央から打ちそうです。
と言うのは、実戦のように白4、6と頭を出されると、黒×が弱くなってしまうからです。

では、なぜ酒井初段が黒1、3と打ったかですが、白3と打って生きる手が残っていることが我慢ならなかったのでしょう(笑)。
普通の棋士はどう打ったら碁に勝てるかを考えますが、酒井二段は石を殺す方法を第一に考えているのかも・・・。



2図(実戦)
白1と頭を出され、右上黒も心配になってきますが、ここで黒2、4の豪手!
白Aと下がりたくなりますが、黒Bから白×をもぎ取れるという読みですね。
前から狙っていたのでしょう。



3図(実戦)
というわけで白1、3とつながりましたが、黒4とコウを取って黒Aの切りを狙っています。
中央の黒が弱いことなど、全く意に介していないかのようです。
むしろ白×を取りにいくコースがないかと考えているかもしれません。



4図(実戦)
白1、3と打って黒の断点を強調してきましたが、このタイミングで黒4の切りを決行!
黒も負けるとボロボロになるコウですが、コウ替わりで2手連打できれば下辺白大石が死ぬというわけですね。
結局、黒は振り替わりで白×をもぎ取ることになりました。


腕力に自信のある棋士は沢山いますが、ここまで振り切れるタイプは少ないです。
上野愛咲美三段のハンマーは有名ですが、酒井二段は何を装備しているのでしょうか。



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